製剤化の影響に着眼した劇物の製剤除外に関する包括的な裾切り値の導入およびその適用限界の検討に資する研究

文献情報

文献番号
202525012A
報告書区分
総括
研究課題名
製剤化の影響に着眼した劇物の製剤除外に関する包括的な裾切り値の導入およびその適用限界の検討に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25KD1004
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
横田 理(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター毒性部)
研究分担者(所属機関)
  • 五十嵐 智女(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
  • 福山 朋季(麻布大学 獣医学部 獣医学科 薬理学研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和9(2027)年度
研究費
22,210,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
毒物及び劇物取締法(以下「毒劇法」という。)においては、原体とともにこれを含有する製剤(希釈、混合等の調製がなされたもの)も同様に劇物に指定されると、劇物相当の毒性を有さない「ごく低濃度の製剤」についても同法の規制対象となるため、統一的な裾切り値の導入による審査の効率化・迅速化は喫緊の課題といえる。本研究では、現行の劇物又は劇物相当の物質を対象に、製剤化の影響に着眼した製剤の包括的な裾切り値の導入及びその適用限界について検討することを目的とした。
研究方法
今年度は、原体と製剤の毒性の強さを比較することによって、製剤化の影響を検討するために必要な資料の収集及びデータの抽出を行った。具体的には、4種類の公開情報(NITE-CHRIP、毒物劇物部会公開資料、FAMIC農薬抄録データベース、NITE統合版GHS分類結果)をもとに、現行の劇物ならびに劇物相当の物質を含む、のべ3220物質について検討を行い、製剤化の影響の解析に有用なデータセットの取得が見込まれた「農薬および殺虫剤を中心とする約420剤」に焦点を当て、約320剤について毒物劇物部会の評価書、農薬抄録、製剤SDS等に関する資料を収集した。
結果と考察
現行劇物及び劇物相当を含む122剤について、原体及び製剤の急性毒性試験の結果ならびに製剤の組成等のデータを抽出した。まず、農薬抄録を用いて、原体の急性経口毒性試験(マウス・ラットに限定)においてLD50値が単一値で示されている44物質に焦点を当てデータを整理したところ、その半数は毒物劇物相当の範囲に入るが、残りは普通物(毒物劇物の判定基準に該当しないもの)相当の値を示し、LD50値が1000mg/kgより大きいものも含まれていた。また、同一有効成分においても、原体の懸濁または溶解に用いた溶媒の種類、動物の種差、雌雄差、絶食の有無などでLD50値が一部ばらつくことが明らかとなった。これらの結果より、原体の試験間におけるLD50値のばらつきを考慮して、製剤の裾切り値を検討する必要があると考えられた。一方で、当該有効成分を含有する製剤の経口LD50値についても整理した。その結果、製剤の急性経口毒性は大半が普通物相当だが、劇物相当のLD50値=300mg/kg以下も14%含まれていること、また、原体の含有濃度が10%以下のものが多いことが明らかとなった。興味深いことに、有効成分10%未満の製剤においては、劇物相当の物質は皆無であった。
結論
現段階では、製剤の劇物除外の裾切り値は、10%が候補として考えられた。しかし、LD50値=400付近に1.5~1.6%製剤が存在するなど、製剤の有効成分濃度だけではなくその他の成分やそれらの物理化学的特性も考慮して、製剤の劇物除外に必要な濃度の裾切り値を検討する必要があると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2026-06-03
更新日
-

収支報告書

文献番号
202525012Z