文献情報
文献番号
202525011A
報告書区分
総括
研究課題名
生体情報の統合的評価を基盤とした急性毒性試験の基準策定と代替法開発に資する研究-人の健康影響評価の精緻化と動物福祉を充足する試験法開発-
研究課題名(英字)
-
課題番号
25KD1003
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 祐次(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部・動物管理室)
研究分担者(所属機関)
- 齊藤 洋克(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部)
- 相崎 健一(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター毒性部)
- 鈴木 郁郎(東北工業大学 工学部)
- 鈴木 敬久(首都大学東京 理工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和9(2027)年度
研究費
19,902,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、急性毒性試験において、人の中毒事例に有益な情報を取得することを目指し、生体情報の統合的評価が可能なシステムの構築をおこない、これを基盤として、死亡に替わる客観的なエンドポイント、すなわち「死亡予測」により、3Rsを充足する試験法を開発することである。
研究方法
モデル化合物として、ICCVAM(2006)のin vitro 急性毒性試験代替法開発で使用された化合物のうち、外れ値を示した化合物、ならびに薬理学的に心臓および脳に作用することが知られている化合物等、特徴的な性質を有する化合物を選定し、げっ歯類を対象として以下の研究を進めている。
生体情報取得システムの開発:先行研究において開発した先端素材カーボンナノチューブヤーン(CNT-Y)を表面電極として用いた簡便かつ動物への侵襲性が低い生体電位測定法の改良、カメラによる行動観察および赤外線サーモグラフィによる体温測定を組み合わせ、行動および体温を定量的に取得するシステムの開発を進める。
急性毒性発現機序の解析:急性毒性発現に関連するストレス応答や炎症に関わるタンパク質、サイトカイン等について、免疫染色等を用いた解析に着手している。今後、得られた実証的データに基づき、ヒトへの外挿性について考察する。
画像情報を用いた行動解析研究:赤外線カメラに加えて可視光カメラから得られる情報を用い、体温変化および動物行動を経時的に解析するための検討を進めている。行動解析の手法として、最新のAI技術による支援を含めた解析ワークフローの構築に向けた検討を行っている。
異常値の検出と統合評価システムの開発:AIの学習データとして利用可能な急性毒性に関する生体情報は現時点で不足している。そのため、先行研究では心電図を対象として、数学的手法による異常値検知システムを構築した。本研究では、これをさらに発展させるとともに、統合的評価システムの開発に向けた要件定義および検討を進めている。
脳波解析による急性毒性発現の予測:パワースペクトル密度解析および独自に開発したバースト解析を用いた脳波解析について検討を進めている。また、脳波に混入するアーチファクト、すなわち筋電、心電図、呼吸等に由来する成分の取り扱いについても検討を行っている。
生体情報取得システムの開発:先行研究において開発した先端素材カーボンナノチューブヤーン(CNT-Y)を表面電極として用いた簡便かつ動物への侵襲性が低い生体電位測定法の改良、カメラによる行動観察および赤外線サーモグラフィによる体温測定を組み合わせ、行動および体温を定量的に取得するシステムの開発を進める。
急性毒性発現機序の解析:急性毒性発現に関連するストレス応答や炎症に関わるタンパク質、サイトカイン等について、免疫染色等を用いた解析に着手している。今後、得られた実証的データに基づき、ヒトへの外挿性について考察する。
画像情報を用いた行動解析研究:赤外線カメラに加えて可視光カメラから得られる情報を用い、体温変化および動物行動を経時的に解析するための検討を進めている。行動解析の手法として、最新のAI技術による支援を含めた解析ワークフローの構築に向けた検討を行っている。
異常値の検出と統合評価システムの開発:AIの学習データとして利用可能な急性毒性に関する生体情報は現時点で不足している。そのため、先行研究では心電図を対象として、数学的手法による異常値検知システムを構築した。本研究では、これをさらに発展させるとともに、統合的評価システムの開発に向けた要件定義および検討を進めている。
脳波解析による急性毒性発現の予測:パワースペクトル密度解析および独自に開発したバースト解析を用いた脳波解析について検討を進めている。また、脳波に混入するアーチファクト、すなわち筋電、心電図、呼吸等に由来する成分の取り扱いについても検討を行っている。
結果と考察
生体情報を統合して死亡予測を行うため、マルチカメラ映像(熱画像1画面、可視画像3画面)、脳波および心電図を一つの画面上に表示し、実験条件とともに測定・記録する実験支援プログラム(ToxQb)の開発に着手した。急性毒性発現機序の解析では、先行研究でテトロドトキシンを投与したマウスの脳サンプルを用い、各種神経マーカーならびにストレス応答、神経炎症に関わるタンパク質の免疫染色条件の検討を進めた。その結果、海馬の一部領域において、MAP2陽性構造の配列変化を示唆する像が観察された。本所見は探索的なものであり、MAP2単独で急性毒性発現機序を結論づけるものではないが、急性毒性に伴う中枢神経系の組織応答を捉える候補所見となり得ることが示唆された。画像情報を用いた行動解析研究では、マルチモーダル観測系、DeepLabCutを基幹とするAI行動解析パイプライン、極座標(r, θ)変換による定量指標算出アルゴリズム、およびLLMを活用したAI駆動型の開発体制を構築した。本成果は、班全体で進める統合的評価システムにおいて、行動データを供給するための基盤として位置づけられる。異常値の検出と統合評価システムの開発では、先行研究で開発したMatrix Profileによる異常値検出手法についてToxQbへの統合方法について検討を進めている。脳波解析による急性毒性発現の予測では、データの個体差の取り扱い、および脳波に混入するアーチファクトの処理が課題となっている。そこで、ラット急性脳スライスを用いた多電極アレイ(MEA)計測を実施し、脳波解析と同様の手法による評価を行った。その結果、先行研究における脳波解析と同様に、化合物投与による変化を捉えることができた。このことから、先行研究においてCNT-Yを用いて計測された信号が脳由来の成分を反映していることが支持されるとともに、構築した解析手法の有効性が示唆された。
結論
生体情報の統合的評価を基盤とした急性毒性試験の新たな評価基準策定に資する基盤的成果が得られた。今後、取得した多次元データを用いたオフライン解析により、死亡予測モデルの構築を進める。さらに、その成果をToxQbに組み込むことで、オンラインで早期安楽死判断を支援する実験支援システムの開発を進める。
公開日・更新日
公開日
2026-08-20
更新日
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