若年性特発性関節炎の遺伝的要因の実態

文献情報

文献番号
201024141A
報告書区分
総括
研究課題名
若年性特発性関節炎の遺伝的要因の実態
課題番号
H22-難治・一般-086
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松本 直通(横浜市立大学 医学研究科 環境分子医科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 横田 俊平(横浜市立大学 小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
若年性特発性関節炎(juvenile idiopathic arthritis, JIA)は、16歳未満で発症する関節を主病変とする慢性炎症性疾患で、その原因は未解明である。その発症には自己免疫が関与し、小児膠原病としては比較的頻度が高い。発症率は年間10万人に2-20人程度である。2008年に抗IL-6受容体抗体(tolicizumab)が、全身型JIAの症例に著効することが、研究分担者・横田らにより報告された(Lancet, 2008)。本研究は、JIAの遺伝的な原因解明を目的とする。
研究方法
JIAの遺伝的要因を解明するため高解像度マイクロアレーを用いて全ゲノムを対象にCNV解析を開始した。その過程で興味深い候補遺伝子Xの明らかな変異(エクソン1個が欠失)を1例で認めた。この候補遺伝子Xはある炎症性疾患の責任遺伝子とされ、JIAで異常が同定されたことは極めて意義深いと考えられたため他の50症例で変異解析を行った。併せて候補遺伝子Xと機能的に関連の深いY遺伝子についても変異解析を行った。さらにJIA50例に対して高解像度マイクロアレーを用いたCNV解析を行った。
結果と考察
JIA50例で遺伝子Xおよびその機能的関連遺伝子Yの変異は認めなかった。全身型JIA50例に対して高密度マイクロアレー解析を行い両親には認めない約77 Kbと622 Kbの不連続なde novo重複を1例に同定した。この重複領域内におよそ30程度の免疫系・炎症系に深く関与する候補遺伝子が包含されJIA責任遺伝子の有力な候補であると考えた。同重複部位に存在する5遺伝子の変異スクリーニングを行うも変異は見出せていない。
結論
全身型JIAのマイクロアレースクリーニングで候補遺伝子Xのエクソン欠失を同定し、Xとその機能的候補遺伝子YをJIAの有力な候補遺伝子と位置づけ変異解析するも病的変異は見出せなかった。高密度アレーの解析で1例に77 Kbと622 Kbの不連続なde novo重複を見出しその重複の含む遺伝子群の性質から同部位にJIAの有力な候補遺伝子を含むと考え今後変異解析を行っていく予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024141Z