Cryopyrin-associated periodic syndrome(CAPS)に対する細胞分子生物学的手法を用いた診療基盤技術の開発

文献情報

文献番号
201024140A
報告書区分
総括
研究課題名
Cryopyrin-associated periodic syndrome(CAPS)に対する細胞分子生物学的手法を用いた診療基盤技術の開発
課題番号
H22-難治・一般-085
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中畑 龍俊(京都大学 iPS細胞研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 斎藤 潤(京都大学 iPS細胞研究所 )
  • 原 寿郎(九州大学大学院 成育発達医学)
  • 横田 俊平(横浜市立大学医学研究科)
  • 平家 俊男(京都大学大学院医学研究科 発達小児科学)
  • 河合 利尚(国立成育医療センター研究所 成育遺伝研究部)
  • 西小森 隆太(京都大学大学院医学研究科 発達小児科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
CINCA症候群、Muckle-Wells症候群、家族性寒冷蕁麻疹は自己炎症症候群の1つであり、その異常分子の名からCAPSと言われている。慢性無菌性髄膜炎、関節炎、蕁麻疹様の発疹が持続し、重症例では発達遅延、てんかん、関節拘縮、難聴、腎不全を来たし患者QOLを損ない、早期の診断及び適切な治療が必要である。診断面において、CINCA症候群中40%にCIAS1遺伝子異常を認めない症例が存在することが知られ、その半数以上がCIAS1体細胞モザイシズムによることを我々は証明した。しかしCIAS1体細胞モザイシズムが諸外国でも認められるかは未調査で、その1つの要因として同モザイク診断は技術的に困難で、簡便且つ迅速な診断法の確立が求められている。またCINCA症候群における関節病変は抗IL-1療法に不応性であり、IL-1β過剰産生以外の病態の関与が疑われ、患者QOL改善のために残された課題である。さらに真のCIAS1変異陰性CAPSにおける病態は不明であり、病態に基づいた治療の確立が望まれる。
研究方法
本研究では1)CIAS1変異陰性CAPS患者の全世界調査、2)迅速診断法の開発、3)iPS細胞の樹立とそれを用いた病態解析を中心に研究を進めた。
結果と考察
全世界におけるCIAS1変異陰性CAPS患者調査のため、海外主要施設との国際共同研究を行った。通常の解析方法ではNLRP3遺伝子変異陰性なCINCA症例の69.2%にNLRP3モザイクを認め、NLRP3体細胞モザイクはCINCAの原因の重要な部分を占めることを証明した。また、新たな細胞分子生物学的、生化学的手法を用いた簡易で鋭敏な診断基盤技術の確立のため、次世代シークエンサーを用いる診断法を確立し、既知NLRP3モザイク症例の診断に成功した。NLRP3遺伝子変異体細胞モザイク症例由来iPS細胞を2症例に増やし、iPS細胞からの血液細胞分化系を確立し、分化させたマクロファージを用い、IL-1β産生能において変異NLRP3による機能再現に成功した。本年度新たにCINCA/NOMIDにおける著明な動脈硬化病変の存在を発見、新たな合併症として検討した。
結論
本年度は、NLRP3体細胞モザイク国際研究を完了し、NLRP3体細胞モザイクの重要性を確固たるものとし、その簡便な診断法として次世代シークエンサーを用いる方法を樹立した。樹立したiPS細胞の機能解析系において変異NLRP3機能再現を確認することに成功した。モザイク患者由来のNLRP3変異陰性及び陽性iPS細胞を用いた新規治療法の開発、軟骨細胞分化系を利用した患者軟骨病態の解明が期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024140Z