慢性活動性EBウイルス感染症の診断法及び治療法確立に関する研究

文献情報

文献番号
201024135A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性活動性EBウイルス感染症の診断法及び治療法確立に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-080
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 成悦(独立行政法人国立成育医療研究センター研究所 母児感染研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 清水 則夫(東京医科歯科大学難治疾患研究所)
  • 新井 文子(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 木村 宏(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 脇口 宏(高知大学教育研究部医療学系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)に関して、新しい疾患モデル動物等を応用した治療法開発、新規診断法のキット化による普及、新しい初期治療法の検証等を目的とした。
研究方法
1. CAEBVモデル動物は、患者末梢血単核細胞をNOGマウスへ移植して作成した。このモデルマウスにおいて、EBV感染T及びNK細胞のin vivo増殖機構を解析した。2. CAEBV患者より樹立したEBV感染T及びNK細胞株やEBV遺伝子を導入した細胞株を用いて、細胞増殖における細胞転写因子NF-Bの役割を解析した。3. EBER in situ hybridizationとフローサイトメトリーを組み合わせた新しいEBV感染細胞同定法を、CAEBV患者18例を含む26例のEBV関連T/NKリンパ増殖性疾患患者の診断に応用し、その有用性を検証した。4. 成人症例5例においてL-aspによる初期治療の探索的臨床研究を行った。
結果と考察
1. CAEBVモデルマウスを用いた研究により、EBV感染T/NK細胞の増殖においては、CD4+細胞が重要な役割を果たすことが示され、この細胞を標的とする新規治療法の可能性が開かれた。2. CAEBVにおけるEBV感染T/NK細胞の増殖においてNF-Bが重要な役割を果たすことが明確に示され、NF-Bを標的とする治療法開発の可能性が示された。3. 新規EBV感染同定法によりCAEBVの侵襲を伴わない迅速な診断が可能であることが示された。4. 5例のCAEBV成人症例に対する探索的臨床研究においてL-aspの有効性は示されなかった。5. 分類不能型免疫不全症(CVID)患者から比較的高率にCAEBVが発症することを示唆する結果が得られたことから、CAEBVの発症には何らかの免疫不全が関与することが示唆され、全エクソン解析などにより原因遺伝子が特定される可能性が示唆された。
結論
1. CD4+細胞を細胞標的とする新規CAEBV治療法の可能性が示された。2. NF-Bを分子標的とする新規CAEBV治療法の可能性が示された。3. 新規CAEBV診断法の有用性が明確に示された。4. L-aspによるCAEBV成人例初期治療に関しては有効性を示すことができなかった。5. CAEBVの発症機構として宿主の何らかの免疫不全の存在が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024135Z