後天性血友病XIII(13)の実態調査、発症機序の解明と治療方法の開発

文献情報

文献番号
201024129A
報告書区分
総括
研究課題名
後天性血友病XIII(13)の実態調査、発症機序の解明と治療方法の開発
課題番号
H22-難治・一般-074
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
一瀬 白帝(山形大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 惣宇利 正善(山形大学 医学部)
  • 岩田 宏紀(山形大学 医学部)
  • 坂田 洋一(自治医科大学 分子病態治療研究センター)
  • 丸山 征郎(鹿児島大学 システム血栓制御学)
  • 矢冨 裕(東京大学 医学部)
  • 池田 正孝(大阪大学 医学部)
  • 川前 金幸(山形大学 医学部)
  • 小林 隆夫(浜松医療センター)
  • 重松 宏(東京医科大学)
  • 村田 幸平(市立吹田市民病院)
  • 湯川 真生(近畿大学 医学部附属奈良病院)
  • 石田 文宏(信州大学 医学部)
  • 川杉 和夫(帝京大学 医学部)
  • 嶋 緑倫(奈良県立医科大学)
  • 白幡 聡(産業医科大学)
  • 杉田 憲一(獨協医科大学)
  • 前田 美穂(日本医科大学)
  • 松下 正(名古屋大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 研究の目的は、原因不明の出血性後天性凝固第XIII(13)因子(FXIII/13)欠損症と抗FXIII/13抗体による自己免疫性の後天性血友病(後天性血友病13と命名)の実態を明らかにし、検査、診断と治療の方法を確立することである。
研究方法
 研究代表者1名、研究分担者18名、研究協力者18名から成る。本年度は、分子病態、外科・救急、内科・小児科の各サブグループを構成して、各々の課題に取り組んだ。
調査広報活動:年間症例数の目標を100名として、山形大学が主管して実施した。
止血血栓学的臨床研究:主に全国の研究分担者と研究協力者(計36名)が行った。
病態と分子機序の解析に関する実験研究:主に分子病態サブグループの研究分担者が実施した。
インヒビターの精密検査と診断:分子病態サブグループの研究分担者が実施した。
結果と考察
 広報調査活動は予定した事項を全て達成し、臨床研究でも22症例と少数ではあるが良好な止血管理を実現している。また、計73例の各種疾患の症例が個別の研究分担者によって登録され、FXIII/13の解析がなされた。平均すると5.5例/月と昨年より約3倍に増加したことになるが、本疾患は一般臨床医に余り知られていないので、まだまだ見逃されている症例が多いと思われる。
 病態の解析と診断に関する実験研究では、詳細な生化学的実験の結果、精査した22症例中5例がインヒビターによる後天性血友病13であり、これらの2例はFXIII/13のAサブユニットに対する抗体、3例はBサブユニットに対する抗体が原因であることが判明した。
 これまで世界中で約30例足らずしか報告されていなかったインヒビター症例が我が国一国のみで少なくとも25例も存在することを、ドイツでの統合血栓止血学会におけるState of the Art講演で発表して注目された。今後の調査の継続如何によっては更に増加することが予想される。
 検査方法開発、病態解析については満足すべき成果が得られつつあり、応用への準備が進んでいる。特に抗体の性状やFXIII/13の動態について新知見が続々と得られているので、世界に向けて情報発信したい。
結論
 本研究は、本疾患の啓発、周知と医療レベルの向上、症例の救命に繋がっており、迅速な診断と適確な治療により、医療経済の健全化にも僅かではあるが貢献していると言える。

公開日・更新日

公開日
2013-03-04
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024129Z