先天性赤芽球癆(Diamond Blackfan貧血)の効果的診断法の確立 に関する研究

文献情報

文献番号
201024128A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性赤芽球癆(Diamond Blackfan貧血)の効果的診断法の確立 に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-073
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 悦朗(弘前大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 照井 君典(弘前大学 大学院医学研究科)
  • 小島 勢二(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 小原 明(東邦大学医療センター大森病院)
  • 大賀 正一(九州大学病院総合周産期母子医療センター)
  • 浜口 功(国立感染症研究所)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 菅野 仁(東京女子医科大学 大学院先端生命医科学系専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Diamond-Blackfan anemia (DBA)は、赤血球造血のみが障害される稀な先天性赤芽球癆である。原因遺伝子としてリボソームタンパク(RP)遺伝子が同定されいる。海外では約50%のDBA患者にRP遺伝子の変異が認められているが、本邦では原因遺伝子が同定されている症例はほとんどない。本研究の目的は、DBAの診断基準を作成し、それに基づいた疾患登録を行い、本症の全貌を明らかにすることである。さらに、原因遺伝子の解析と疾患特異的なバイオマーカーの検索を行い、病態解明とともに精度の高い診断を目指す。
 
研究方法
1)日本小児血液学会の疾患登録システムの中で中央診断を伴うDBAの登録システムを発展させる。2)DBA臨床検体の遺伝子解析を行う。遺伝子解析は本学の倫理委員会の承認を得て、本人あるいは両親の同意の上実施する。3)赤血球還元グルタイオン(GSH)がバイオマーカーとして有用であるかどうかを検証する。4)上記の解析結果と臨床情報をもとに、診断基準を作成する。5)全国の小児科専門医研修施設を対象に二次疫学調査を行う。
結果と考察
DBA登録システムを立ち上げ、6例のDBAが登録された。新たに中央診断された症例とこれまでに収集した64家系(68例)の臨床検体の遺伝子解析(シークエンスおよび片アレル欠失解析)を行った。既知のRP遺伝子変異を42%に認め、RPS19、RPL5、RPL11、RPS17変異が、それぞれ12例、7例、3例および4例で検出された。RPS10、RPS26、RPL35a変異を各1例認めた。一方、RPS24およびRPS14には変異を認めなかった。注目すべきことに、RP遺伝子の大欠失を28例中7例に認めた。また、DBAの診断にGSHがバイオマーカーとして有用である可能性を見出した。以上の結果と海外からの報告を参考にして、DBAの診断基準案を作成した。全国の小児科専門医研修施設を対象に、二次疫学調査の準備を進めた。
結論
本邦のDBA患者におけるRP遺伝子変異の頻度はRP遺伝子の大欠失を含めても42%であり、欧米の約50%よりもやや低いことが明かとなった。欧米では、DBA登録制度が確立し、検体保存やそれを用いた疾患の研究が行われている。本研究班が中心となり、永続的な制度としての「日本DBA登録制度」の確立を目指したい。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024128Z