血球貪食症候群の病態・診療研究

文献情報

文献番号
201024126A
報告書区分
総括
研究課題名
血球貪食症候群の病態・診療研究
課題番号
H22-難治・一般-071
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
安友 康二(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 石井 榮一(愛媛大学大学院)
  • 藤本 純一郎(国立成育医療センター研究所)
  • 安川 正貴(愛媛大学大学院)
  • 河 敬世(大阪府立母子保健総合医療センター)
  • 金兼 弘和(富山大学医学部)
  • 大賀 正一(九州大学病院)
  • 湯尾 明(国立国際医療センター)
  • 北村 明子(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血球貪食症候群(HPS)は原発性と二次性に大別され、多様な原因によって発症する疾患群である。HPSは致死性疾患であり、適切な診断と治療法の標準化が要求される。HPSの中には、明らかな遺伝性疾患が知られており、家族性HPS(FHL)と称される。FHLにはこれまで4種類の原因遺伝子が報告されているが、日本のFHL症例の中で、20%程度の症例では未だ原因遺伝子が同定されていない。つまり、その原因を見出すことは、HPSの診断にとっても重要であると共に、HPSの病態を解明するためにも重要な課題である。本研究では以下の項目を研究目的とした。
(1) FHLの原因遺伝子を見出す。
(2) FHLの診断法を開発する。
(3) HPSの診断・治療指針を作成する。
(4) HPSのサンプル保存体制を整える。
研究方法
(1) 治療指針、診断指針について改訂点を検討する。
(2) FHL検体の収集し全ゲノム解析を実施する。
(3) 各種治療の予後についても検討する。
(4) Munc13-4に対する単クローン抗体を樹立する。
結果と考察
(1) JPLSGと連携をしてHPSの実態把握を昨年度から継続して行った。新たな診断フローチャート作成した。
(2) 診断基準と治療基準をこれまでの症例を見直して改訂点を抽出した。
(3) 日本におけるHLH 症例はデータセンターに登録され HLH-2004治療が行われている。
(4) FHLに対しては、非血縁臍帯血移植の有用性が示唆されたが、移植後早期の治療関連死と中枢神経合併症が問題であった。
(5) 血族婚を有する1家系(FHL-102)を対象に、Illumina 370 quadを用いて全ゲノムSNP遺伝子型タイピングを行い、有意なRegional LOD 値を示す3つの領域を候補領域として同定することに成功した(J-FHL-1, J-FHL-2, J-FHL-3 )。新たなMUNC18-2遺伝子異常(FHL5)を同定することに成功した。
結論
(1) 今年度の研究により、HPS診療の実態を把握しその資料を今後の診療に生かす体制を構築することができた。
(2) HPSの診断・治療指針を改訂した。
(3) Munc18-2の変異を持つ日本人患者を同定することに成功した。
(4) 新しい原因遺伝子候補領域の同定に成功した。
(5) FHL治療法の問題点を抽出できた。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024126Z