難治性腸管吸収機能障害Microscopic colitisに関する調査研究

文献情報

文献番号
201024123A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性腸管吸収機能障害Microscopic colitisに関する調査研究
課題番号
H22-難治・一般-068
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 守(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 平田 一郎(藤田保健衛生大学 医学部)
  • 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院)
  • 三浦 総一郎(防衛医科大学校)
  • 田中 正則(弘前市立病院)
  • 松本 主之(九州大学大学院)
  • 清水 誠治(大阪鉄道病院)
  • 岡本 隆一(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 土屋 輝一郎(東京医科歯科大学医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、わが国における難治性腸管吸収機能障害Microscopic Colitis(以下MC)の現状・実態を調査し、診断・治療法の確立と標準化、発症予防の追究を行う事を目的とする。更に病因解明を目指した基礎研究を通じ、新たな治療法の開発、予防法の確立を図る。これら研究を通じ明らかとなった本症の実態を広く国民に向け開示・広報する事により本症の国民的認知を高め、最終的には早期診断・治療による本症患者のQOL向上を図る。
研究方法
難治性腸疾患の治療を専門とする全国の拠点施設により、実態調査研究と指針策定、病因追求に向けた基礎研究を各々実施する。これを有機的に連携し、発症・増悪に関わる因子解析により病因・病態を明確化し、これに立脚した診断・治療法の指針策定と標準化、難治症例に対する新しい治療法の開発を図る。具体的には1)包括的疫学解析プロジェクト、2)臨床プロジェクト、3) 病因解明および治療応用のための基礎研究プロジェクト,4) 啓蒙・広報プロジェクトの各プロジェクト研究を研究代表者の統括の下、遂行する。
結果と考察
本年度は前年度に実施した全国実態調査に難治性腸管疾患を専門とする地域中核病院を新たに対象に加え、集計及び分析を行った。その結果、以下の事実が改めて確認された。1)MCには難治・重症例が存在し、これらは40歳代を中心に認知され、著しいQOLの低下が認められた。2) MCに対する疾患概念は不明瞭であり、診断に難渋する症例が少なからず存在した。3) MCの治療には統一したコンセンサスは存在せず、多種の薬剤が使用され、明確な指針は存在しなかった4) 本邦では明確な小腸病変を伴うMC症例が認知され、欧米とは異なる疾患カテゴリとして存在する可能性が示された。病因究明を目指した基礎研究プロジェクトに於いては腸管上皮細胞機能解析に不可欠なツールである大腸上皮長期初代培養系の確立に世界で初めて成功し、本症病因の追求に画期的な基盤を樹立した。
結論
本年度研究により、MCは重症・難治例が存在する事、診断基準・治療指針の早急な策定が必要である事、同時に広く国民に向けた啓蒙活動が必要であることが明確に示された。更に病因に立脚した治療法の整備に向け、大腸上皮長期初代培養法を利用した画期的な病因研究基盤の整備に成功しており、同法を利用した研究により、本症病態の解明に飛躍的な進展が期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024123Z