新生児食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)の疾患概念確立、実態把握、診断治療指針作成に関する研究

文献情報

文献番号
201024121A
報告書区分
総括
研究課題名
新生児食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)の疾患概念確立、実態把握、診断治療指針作成に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-難治・一般-066
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
野村 伊知郎(独立行政法人 国立成育医療研究センター 内科系専門診療部アレルギー科)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 健治(独立行政法人成育医療研究センター、免疫アレルギー研究部)
  • 新井 勝大(独立行政法人 国立成育医療研究センター 内科系専門診療部、消化器科)
  • 伊藤 裕司(独立行政法人 国立成育医療研究センター、新生児科)
  • 山田 佳之(群馬県立小児医療センター、感染免疫アレルギー科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新生児食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)は1995年頃から急激に報告数が増加してきた。年間2000名程度が発症していると考えられ、重い合併症を残すことがある。実態に関しては謎が多い。これを解決するために、①疾患コホートにより詳細、正確な疾患の臨床像を把握する。②医学情報公開により患者を救う。③リンパ球刺激試験を確立する。④急性期の確定診断法を開発する。⑤消化管組織検査を行い、病態を明らかにする。⑥疾患概念を世界に発信、認知を得る;以上を計画した。
研究方法
①疾患コホート;オンライン患者登録システムにより、全国の症例を集積し、本症の特徴を明らかにした。
②医学情報公開;年2回の班会議などの議論を通じて、診断治療指針を改定、ウエブ公開して情報の普及につとめた。
③リンパ球刺激試験;全国から検体を受け付け、診断検査として寄与し、上清のサイトカイン分析から、その原因サブセット推定を行った。
④急性期の確定診断法;好酸球の体内動態を明らかにするとともに、便eosinophil-derived neurotoxin (EDN)などの評価を行った。
⑤消化管組織検査;診断困難症例において、消化管組織検査を行い、本症の病理学的特徴を明らかにした。
⑥疾患概念を世界に発信、認知を得る;臨床研究結果を国際的な一流誌に投稿するとともに、国際会議で議論を重ねた。
結果と考察
①疾患コホート;クラスター分析を行い、4つの疾患サブグループが検出された。これは実地臨床において非常に有用でることが判明した。内容はJournal of Allergy and Immunology、2011年3月号に掲載されるとともに国際会議で議論され、コンセンサスを得つつある。
②診断治療指針の改訂を繰り返し、一般公開を続けている。
③リンパ球刺激試験は、産生サイトカインから責任サブセットの特定に迫りつつある。結果は国際会議で口頭発表され、高い評価を受けた。
④末梢血、消化管組織、便EDNを詳細に解析することにより、臨床検査として高度な解釈が可能となった。
⑤消化管組織検査を行い、その特徴が明らかとなった。
⑥各種国際学会で議論を重ねており、2012年度世界アレルギー学会(WAC)ではシンポジストに指名されている。
結論
本症の実態解明が進み、医学情報のウエブ公開などにより、全国で最善の診断治療が実施されつつある。今後もこれを継続し、後遺症に苦しむ患者を一人でも減らしたいと願っている。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024121Z