在宅医療における薬剤師の多職種連携によるポリファーマシーへの介入研究

文献情報

文献番号
202524020A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅医療における薬剤師の多職種連携によるポリファーマシーへの介入研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25KC1008
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
溝神 文博(国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 病院 薬剤部)
研究分担者(所属機関)
  • 大井 一弥(鈴鹿医療科学大学 薬学部薬学科)
  • 竹屋 泰(大阪大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
2,101,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
在宅医療を受療する患者の約9割は75歳以上の高齢者であり、薬剤師による居宅療養管理指導を受ける患者の平均要介護度は2.8とされている。この集団は、ポリファーマシーや薬物有害事象のリスクが高く、多面的な薬物療法の適正化が求められる。薬物有害事象、服薬アドヒアランス低下、過剰投与、不足医療などへの対応が必要である。そのためには、処方歴や病名のみならず、高齢者総合機能評価(CGA)を基に、認知機能、日常生活活動(ADL)、栄養状態、生活環境等を含めた多角的な患者評価と、多職種連携による介入が重要となる。
こうした背景のもと、厚生労働科学研究費補助金 長寿科学政策研究事業「薬学的視点を踏まえた自立支援・重度化防止推進のための研究(22GA1005)」において、「多職種連携推進のための在宅患者訪問薬剤管理指導ガイド」が作成された。しかし、ガイドを活用した介入研究や教育プログラムの体系化は未実施であり、その実装が課題となっていた。そこで、このガイドを基盤として、在宅医療における薬剤師の多職種連携能力向上を目的としたe-learning学習プログラム「ためとこ」を開発し、薬剤師が多職種から得られる情報を統合して介入を実践できる教育基盤を構築することを目的とする。また、薬局単位でのクラスターランダム化比較試験を通じて、薬剤師のやりがい(YARIGAI)、ワーク・エンゲージメント、多職種連携行動、薬学的介入行動等への影響を検証し、その有用性を評価する。
さらに全国規模で、在宅医療を実践する薬剤師を対象に研究を実施する。介入研究を通じて、薬剤師の在宅医療における役割を明確化するとともに、多職種連携モデルの構築および学習プログラムの社会実装を目指す。
研究方法
主研究:在宅医療における薬剤師の多職種連携によるポリファーマシーへの介入研究(全員)
「多職種連携推進のための在宅患者訪問薬剤管理指導ガイド」に基づいて開発したe-learning形式の学習プログラム「ためとこ」を薬局単位で導入し、薬剤師の「やりがい」やワークエンゲージメントといった心理的指標、ならびに多職種連携や薬学的介入などの臨床行動アウトカムに与える効果を、クラスターランダム化比較試験により検証する。
在宅訪問薬剤管理指導または居宅療養管理指導を実施する薬局薬剤師を対象とした 多施設・2群並行群間のクラスターランダム化比較試験(cluster randomized controlled trial, cRCT) である。
補足研究1:多職種連携の視点による在宅医療の薬剤師介入方法の検討(担当:竹屋)
在宅医療を受療する地域在住高齢者を対象としたレジストリ研究を立ち上げており、そのデータベースを用いて、医師・看護師など他職種から在宅医療における薬物療法の課題を特定し、具体的な介入手法を探る。
補足研究2:在宅医療における外用薬に対する介入方法の検討(担当:大井、溝神)
在宅医療患者を中心に外用薬の適切な使用を促進するため、褥瘡を含めた外用薬の処方適正化および適正使用に関する調査研究を実施する。既存の研究データベースを活用し、課題を明確化するとともに効果的な介入方法を提案する。
結果と考察
主研究:e-learning学習プログラム「ためとこ」の完成
プログラム仕様
 ・プラットフォーム:e-learningシステム「ためとこ」
 ・モジュール数:27モジュール
 ・学習形式:テキスト+テスト(50分)、動画+テスト(450分)の併用
 ・評価方法:各モジュール終了時の確認テスト 
 ・アクセス方法:スマートフォン、パソコン・タブレット対応
補足研究1:多職種連携の視点による在宅医療の薬剤師介入方法の検討
在宅・施設において服薬支援を担う家族・介護職の主観的負担を評価するツールが現場で利用可能なものがない事がわかり、服薬簡素化の必要性や効果を評価することを目的に、服薬介助者負担評価スコア(Medication Support Burden Scale-7 (MSBS-7))を開発した。
初年度の研究成果は、e-learning学習プログラムの完成と、これを補完するスライド教材の開発が主となった。本研究の初年度成果である「ためとこ」は、このガイドを教育内容として具体化し、薬剤師の実践能力向上を支援する初めての統合的教育プログラムである。
結論
介入研究の準備を行い、薬剤師がCGAや薬剤起因性老年症候群の視点を取り入れた包括的な薬剤評価を行い、多職種と連携して介入するための学習コンテンツの作成を行った。ならびに、在宅・施設において服薬支援を担う家族・介護職の主観的負担を評価するツールの開発を行った。薬剤師が、ポリファーマシーの適正化と患者の生活機能維持、安全な在宅療養の支援を行うことでより良い医療に貢献できることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2026-10-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-10-14
更新日
-

収支報告書

文献番号
202524020Z