好酸球性食道炎/好酸球性胃腸炎の疾患概念確立と治療指針作成のための臨床研究

文献情報

文献番号
201024120A
報告書区分
総括
研究課題名
好酸球性食道炎/好酸球性胃腸炎の疾患概念確立と治療指針作成のための臨床研究
課題番号
H22-難治・一般-065
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
木下 芳一(島根大学 医学部・内科学講座(内科学第二))
研究分担者(所属機関)
  • 千葉 勉(京都大学 医学研究科・消化器内科学講座)
  • 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院・消化器内科)
  • 松本 主之(九州大学病院・消化管内科)
  • 坂本 長逸(日本医科大学 医学部・消化器内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 平成21年度の研究で作成した好酸球性食道炎と好酸球性胃腸炎の診断と治療の指針の有用性を検討する。また、病勢判定の参考となる血液検査マーカーを検索する。
研究方法
 すでに作成済みの好酸球性食道炎の診断と治療の指針を用いて17病院において6ヶ月間前向きの調査を行い、好酸球性食道炎の有病率を明らかとするための調査を行った。さらに、胸やけや嚥下障害を訴える胃食道逆流症例のうちプロトンポンプ阻害薬が有用ではない例を対象に、好酸球性食道炎の診断の指針を用いて検討を行いプロトンポンプ阻害医薬抵抗性胃食道逆流症患者に占める好酸球性食道炎患者の割合を検討した。
 好酸球性胃腸炎に関しては新たに診断された例を対象に昨年度作成した診断指針の有用性を従来の指針と比較検討した。
 最後に、血液検体が収集できた好酸球性食道炎、好酸球性胃腸炎例を対象に血清中のIL-5、13、15、eotaxin3、TSLPの各種サイトカインの測定を行い、それぞれの例の病勢と比較した。
結果と考察
 好酸球性食道炎は、対象例2万例の中で4例発見され、好酸球性食道炎の診断の指針の有用性が明らかとなった。また好酸球性食道炎の有病率は10万人あたり20人程度であった。プロトンポンプ阻害薬抵抗性胃食道逆流症であると診断される例の約4%に好酸球性食道炎が存在していることが明らかとなった。すなわち、好酸球性食道炎は従来から考えられていたより、日本においても有病率が高いと考えられた。
 好酸球性胃腸炎においては、従来から広く用いられてきたTalleyらの診断基準に比べて、昨年度作成した診断指針の方が有用性が高いことが明らかとなった。IL-5、13、15、eotaxin3、TSLPはhypereosinophilic syndrome を有する例では高い血中濃度を示したが、好酸球性食道炎と好酸球性胃腸炎では病勢に関わらず、健常者と比較して血中濃度の異常上昇は認められず、病勢診断のマーカーとはなりにくいことが明らかとなった。
結論
 昨年度に作成した好酸球性食道炎と好酸球性胃腸炎の診断と治療の指針は有用であった。病勢診断の参考となる血清マーカーの開発には、さらなる検討が必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024120Z