新生児・乳児胆汁うっ滞症候群の総括的な診断・治療に関する研究

文献情報

文献番号
201024119A
報告書区分
総括
研究課題名
新生児・乳児胆汁うっ滞症候群の総括的な診断・治療に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-064
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
松井 陽(国立成育医療研究センター 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 仁尾 正記(東北大学大学院 医学系研究科)
  • 工藤 豊一郎(筑波大学 人間総合科学研究科)
  • 坂本 なほ子(国立成育医療研究センター 研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、新生児・乳児胆汁うっ滞症候群の中でも1)胆道閉鎖症(以下、BA)の予後改善の鍵となる早期発見・早期手術実現のための補助手段としての便色調カラーカード法の効果を評価する。また、当該疾患の診断、治療、長期フォローアップ、肝移植までを網羅した総合的な管理の指針を確立する。さらに2)新生児・乳児胆汁うっ滞症候群のうちBAと鑑別を要する新生児肝炎症候群、乳児劇症肝不全、先天性胆道拡張症の診断指針を作成することを企図している。
研究方法
新しく開発した便カラーカードを用いたシステムを神奈川県下に導入し、パイロット研究を開始した。ポスター制作、ホームページの開設、研究会の開催等の周知活動を行った。また、新生児・乳児胆汁うっ滞症候群を構成する多彩な疾患について、小児慢性特定疾患治療研究事業の登録データや肝移植研究会登録症例の集計データを解析し、その頻度を推測した。
結果と考察
本研究着手段階では、「よい色」のカードを開発し「もれなく」配布しさえすればよいと考えていたが、実際に神奈川県下でパイロット・スタディの準備を進める過程で、1)「もれなく」配布してもらうための行政の理解と協力体制整備、2)BAという病気の重篤さ・早期発見の重要性についての保護者の理解、3)稀な症例のため、大多数の医師がBAに遭遇したことがなく情報が不足しているので医療情報の提供、4)産科と小児科の連携強化、5)地域内の基幹病院や三次医療機関の連携強化、6)行政と医療の連携強化 が必須であることが明らかとなってきた。
 一方、BAおよびその鑑別疾患として重要なその他の新生児・乳児胆汁うっ滞症候群に関して入手可能なデータを解析して行った検討からは、一部の疾患に関しては一致した解析結果を得たものの、現行の登録データの内包する問題点も浮上した。従来の統計データの慎重な解釈や、疾患の登録の基準等の改善を検討することも必要と思われた。
結論
本パイロット・スタディが、保護者の便への注意喚起や、産科と小児科の間、行政と医療機関の間のコミュニケーション活性の一助となり、今後、本システムを導入する自治体にとっても参考となることが期待される。そして、疫学的検討もなされた、BAおよびその他の新生児・乳児胆汁うっ滞症候群の総合的な管理指針や診断指針の作成によって、短期的および長期的に、患児の予後改善につながっていくことを期待している。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024119Z