文献情報
文献番号
202524015A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト細胞加工製品の不均質性に関する課題の整理のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25KC1003
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
安田 智(国立医薬品食品衛生研究所 再生・細胞医療製品部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和9(2027)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
再生医療等製品に分類されるヒト細胞加工製品を用いた医療は、希少・重篤な疾患に対して有望な治療法として大きく期待されている。しかしながら、ヒト細胞加工製品は動的で複雑な生きた細胞を含む製品であり、有効性・安全性に関する品質特性が特定しづらい特徴を有し、従来の均質な医薬品の評価に用いられる試験法が必ずしも適用できるとは限らない。このようなヒト細胞加工製品の特性である『不均質性』により、短期間でのデータ収集と有効性評価が困難であることから、我が国では薬機法の成立に合わせて再生医療等製品の条件及び期限付承認制度が設立された。しかしながら、ヒト細胞加工製品の有効性・安全性・品質の持続性を確保する上では、『不均質性』を十分に理解して、製品の製造工程管理や臨床利用に活かすことが強く望まれるが、『不均質性』の科学的合理性に基づいた考え方の提示に至っていない。本研究課題では、再生医療等製品の特性としての『不均質性』の考え方を示すとともに、CMCから市販後までの製品ライフサイクルの各段階における製品の品質・有効性・安全性評価での『不均質性』に付随した課題を再度検討し、条件及び期限付承認制度等の関連制度の運用やヒト細胞加工製品のライフサイクルマネジメントにおける留意点について取りまとめ、ガイドライン案として提示する。
研究方法
令和7年度は、再生医療分野の専門家から構成されるヒト細胞加工製品の不均質性に関する課題検討ワーキンググループを新たに組織し、ヒト細胞加工製品の不均質性と関連制度の運用に関するガイドライン・文献・聞き取り等による調査、調査結果に基づく課題抽出、および意見交換を行うことにより研究を進めた。ワーキンググループにて、ヒト細胞加工製品の「不均質性」と「不均一性」の相違点と使い分けについて確認し、不均一性理解の重要性を述べている国内ガイドラインと条件期限付承認制度の運用時の薬事開発の隘路について情報共有し、不均質性と条件期限付承認制度の運用における課題および本研究班の成果物としてのガイドライン化方針についての議論を展開した。
結果と考察
細胞加工製品において、有効性・安全性が確保された再現性のある品質での製造を達成するためには、製造工程での品質特性の評価・管理が重要であり、製品/原料の不均質性と細胞集団の不均一性をどのように捉え、どのように対応していくのかが鍵となる。対象疾患に対する治療においては、製品に期待される効能・効果を明確化し、製造工程管理においては、まず目標製品品質プロファイル(QTPP)を設定する必要がある。しかしながら、低分子化合物やバイオ医薬品と異なり、細胞加工製品の品質特性は複雑かつ不安定であり、有効性に関わる作用機序が明らかでない場合も多いことから、QTPPに基づく重要品質特性(CQA)の特定は容易ではない。また、特に自己由来製品では、品質評価に使用可能な患者由来原材料の量も限られているため、重要品質特性(CQA)としての指標や不均質性に起因する許容幅が、製品開発初期段階において適切に設定されていない可能性も十分に考えられる。さらに、材料やスケールなどの製法上の変更も、製品の品質特性を変化させる要因となることに留意する必要がある。細胞加工製品の製造プロセス開発では製品の有効性に関連する力価の評価法が基礎となることから、製品の同等性/同質性評価に資する力価試験の在り方を提示する必要性が挙げられ、条件期限付承認制度においては製品ライフサイクルでの時間軸で不均質性を捉えることの重要性が示された。
結論
品質評価の考え方としては、製品の科学的理解に基づき再現性ある品質を実現することが大きなテーマとなる。日本には細胞加工製品の包括的な力価試験指針がなく、不均質性と重要品質特性に関連して、本研究班で厚労省ガイドライン案としての策定を検討する余地があることが提案された。今後は、細胞加工製品の不均質性に関する考え方を取り入れた、包括的な力価保証のガイドライン案策定を行い、関連業界団体からの意見聴取も進めていく予定である。
公開日・更新日
公開日
2026-06-25
更新日
-