乳幼児破局てんかんの実態と診療指針に関する研究

文献情報

文献番号
201024118A
報告書区分
総括
研究課題名
乳幼児破局てんかんの実態と診療指針に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-063
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
大槻 泰介(国立精神・神経医療研究センター病院 脳神経外科診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 勝弘(岡山大学 医学部 小児科)
  • 井上 有史(静岡てんかん・神経医療センター)
  • 渡辺 英寿(自治医科大学 脳神経外科)
  • 須貝 研司(国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科)
  • 高橋 章夫(国立精神・神経医療研究センター病院 脳神経外科)
  • 小国 弘量(東京女子医科大学 小児科)
  • 廣瀬 伸一(福岡大学 医学部 小児科)
  • 亀山 茂樹(国立病院機構西新潟中央病院 脳神経外科)
  • 山本 仁(聖マリアンナ医科大学 小児科)
  • 馬場 好一(静岡てんかん・神経医療センター 脳神経外科)
  • 馬場 啓至(国立病院機構長崎医療センター 脳神経外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 乳幼児破局てんかん(catastrophic epilepsy)は、乳幼児期に頻発するてんかん発作により重篤なてんかん性脳機能障害が生じ、その結果発達の停止・退行など破局的な予後を呈する乳幼児難治てんかんをさす。多くは大田原症候群、West症候群、Lennox-Gastaut症候群など、年令依存性に変化する全般性脳波異常を示すが、その原因と病態機序は不明な点が多い。本研究は、乳幼児破局てんかんの実態を調査しその治療指針を確立するために、破局てんかんの患者数、診療実態及び治療予後を明らかにし、診断及び内科的・外科的治療に関する指針を作成することを目的とする。
研究方法
 初年度は、本邦における乳幼児破局てんかんの患者数と治療実態のアンケート調査を行ない、今年度、初年度に作成した研究プロトコルをもとに、乳幼児破局てんかんの国際多施設共同調査{Far-east Asia Catastrophic Epilepsy (FACE) study}の症例登録を開始した(臨床研究登録UMIN4120)。参加施設は日韓中台13施設で、乳幼児破局てんかんの定義は、5才以下の発症、頻発するてんかん発作、発達の停滞ないし退行とし、調査項目は、症候群診断、病因、検査所見、治療内容、発作頻度、及び発達障害の程度で、300例の集計を目標とした。
結果と考察
 FACE studyの中間集計では、主なてんかん症候群は、West症候群(36%)、新皮質てんかん(21%)、Lennox-Gastaut症候群(5.6%)、Dravet症候群(5.1%)、Rasmussen症候(2.1%)、大田原症候群(1.7%)で、主要発作型は、Epileptic spasms(ES)(36%)、全般性強直発作(21%)、複雑部分発作(18%)で、発症年齢は生後12カ月未満が80%を占めた。
乳幼児破局てんかんは全国で5000例程度にすぎない稀少疾患であり、重篤な予後を呈するにも係わらずその実態の調査は不十分で、特に外科治療は、推定患者数の 1?2%に施行されているにすぎない。診療指針の作成には、診療の実態と治療予後を明らかにし、予後に影響する因子を解析することが必要である。
結論
乳幼児破局てんかんは多くが重度の発達障害に至ると推測されるが、長期予後と有効な治療法は未だ明らかではない。一方、早期のてんかん外科治療で良好な予後を示す症例もあり、最新の画像診断や遺伝子診断をもとにした、治療可能な症例の早期診断と早期治療をめざした診療ガイドラインの作成が求められる。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024118Z