文献情報
文献番号
202524006A
報告書区分
総括
研究課題名
新興・再興感染症流行時の血液製剤の安全性確保のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24KC1003
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
水上 拓郎(国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所 次世代生物学的製剤研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 岡田 義昭(埼玉医科大学 医学部)
- 相内 章(国立感染症研究所 感染病理部)
- 堀場 千尋(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター)
- 林 昌宏(国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所ウイルス第1部第2室)
- 小林 大介(国立感染症研究所 昆虫医科学部)
- 黒田 雄大(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
5,875,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究課題では、国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所と日本赤十字社で協力体制を構築し,定期的な情報収集・リスク評価体制を構築するとともに,血中動態・血液製剤の製造工程中での不活化評価による迅速リスク評価法を確立することを目的とした。
研究方法
情報収集とリスク分析に関し国内・国外で発生している感染症に関し, WHOのサイト, CDC, ECDC, 各保健機関のサイトを適宜確認し, 論文報告は, 内容を精査した。またin vitro感染系を用いHBs免疫グロブリン製剤の遺伝子型A, B, に対する中和活性を測定した。エムポックスに関しては、フォーカス減少法を用いた中和抗体価測定系を検討した。また、次世代シークエンスを用いた献血血液中の病原体検出法を検討した。またフクオカウイルスに焦点を当てた蚊個体を用いた感染実験と, 野外捕集蚊のウイルス保有調査を実施した。また 野生動物血清を用いた抗体スクリーニング法およびHA亜型の診断系の確立を検討した。
結果と考察
定期的な情報収集・リスク評価体制を構築し, 2025年度の情報に基づき, 分析・リスク評価を行った。
培養が困難なウイルスの培養法の改良を行い,HBVに関してはHBs免疫グロブリン製剤の遺伝子型Bへの中和活性が低いことを明らかにした。また外来性DNAを認識する分子を遺伝子改編し,パルボウイルスB19(19V)への感受性が数十倍高い細胞株の作製に成功した。
また次世代シークエンスを用いた献血血液中の病原体検出法の確立を目的とし, 非感染血液からの標準データ取得と解析パイプラインの開発, 感染血液を用いた検証と改良を行った。
エムポックスに関しては, 古典的なプラーク減少法を用いた中和抗体価測定法の課題を解決するため感染細胞で形成されるフォーカスを標識抗体で検出するフォーカス減少法を用いた中和抗体価測定系の構築し,検出に蛍光抗体を用いることで感度が向上することを明らかにした。
節足動物媒介性ウイルス感染症に関しては, 2025年の国内でのデング熱輸入症例数は, 162例で, 中南米においてブラジルを中心にデング熱の流行が確認されており, ブラジルでの献血血においては多くのデングウイルス遺伝子が検出されていた。さらにデングウイルスの遺伝子診断系におけるプライマー・プローブセットを見直し, 関係機関と共有することで献血血の検査体制の整備に努めた。
またヒトにおいてウイルス血症を引き起こす潜在的リスクを内包する昆虫媒介性ウイルスの感染動態を解明し, 血液製剤の安全性確保に資する知見を得ることを目的として, フクオカウイルス(FUKV)に焦点を当てた蚊個体を用いた感染実験と, 野外捕集蚊のウイルス保有調査を実施し,FUKVがステフェンスハマダラカによって媒介可能であることが実験的に証明した。
近年, 世界的に流行が拡大している高病原性鳥インフルエンザウイルス(Highly Pathogenic Avian Influenza Virus, HPAIV)に関し, 簡易キットにより抗インフルエンザウイルス抗体スクリーニング陽性となった野生動物血清を対象としたHA亜型の特定方法の確立を試みた。HA外套VSVシュードウイルスはウイルス力価が低いため, 改良が必要であったが, WHOのワクチン株を用いた中和試験系を構築し, 和歌山県で捕獲されたアライグマの血清から抗H5抗体の検出に成功した。さらに, 東京都内のアライグマにおいても抗体疫学調査を行い, 108頭中1頭から抗H5抗体を検出した。今後も継続的な調査を続けることで, 国内におけるHPAIVの侵入状況の可視化と, それに基づく公衆衛生リスクの評価ならびに血液製剤の安全性評価に資することが期待される。
培養が困難なウイルスの培養法の改良を行い,HBVに関してはHBs免疫グロブリン製剤の遺伝子型Bへの中和活性が低いことを明らかにした。また外来性DNAを認識する分子を遺伝子改編し,パルボウイルスB19(19V)への感受性が数十倍高い細胞株の作製に成功した。
また次世代シークエンスを用いた献血血液中の病原体検出法の確立を目的とし, 非感染血液からの標準データ取得と解析パイプラインの開発, 感染血液を用いた検証と改良を行った。
エムポックスに関しては, 古典的なプラーク減少法を用いた中和抗体価測定法の課題を解決するため感染細胞で形成されるフォーカスを標識抗体で検出するフォーカス減少法を用いた中和抗体価測定系の構築し,検出に蛍光抗体を用いることで感度が向上することを明らかにした。
節足動物媒介性ウイルス感染症に関しては, 2025年の国内でのデング熱輸入症例数は, 162例で, 中南米においてブラジルを中心にデング熱の流行が確認されており, ブラジルでの献血血においては多くのデングウイルス遺伝子が検出されていた。さらにデングウイルスの遺伝子診断系におけるプライマー・プローブセットを見直し, 関係機関と共有することで献血血の検査体制の整備に努めた。
またヒトにおいてウイルス血症を引き起こす潜在的リスクを内包する昆虫媒介性ウイルスの感染動態を解明し, 血液製剤の安全性確保に資する知見を得ることを目的として, フクオカウイルス(FUKV)に焦点を当てた蚊個体を用いた感染実験と, 野外捕集蚊のウイルス保有調査を実施し,FUKVがステフェンスハマダラカによって媒介可能であることが実験的に証明した。
近年, 世界的に流行が拡大している高病原性鳥インフルエンザウイルス(Highly Pathogenic Avian Influenza Virus, HPAIV)に関し, 簡易キットにより抗インフルエンザウイルス抗体スクリーニング陽性となった野生動物血清を対象としたHA亜型の特定方法の確立を試みた。HA外套VSVシュードウイルスはウイルス力価が低いため, 改良が必要であったが, WHOのワクチン株を用いた中和試験系を構築し, 和歌山県で捕獲されたアライグマの血清から抗H5抗体の検出に成功した。さらに, 東京都内のアライグマにおいても抗体疫学調査を行い, 108頭中1頭から抗H5抗体を検出した。今後も継続的な調査を続けることで, 国内におけるHPAIVの侵入状況の可視化と, それに基づく公衆衛生リスクの評価ならびに血液製剤の安全性評価に資することが期待される。
結論
国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所 と日本赤十字社で協力体制を構築し、①定期的な情報収集・リスク評価体制の構築,②献血血液における次世代シークエンス解析技術を用いた病原体検出法の開発を進めた。またMpoxをモデルに③血液中の中和抗体価測定系の改良と評価を行うとともに,④血中動態・血液製剤の製造工程中での不活化評価による迅速リスク評価法の開発を進めた。⑤野生動物血清を用いた抗体スクリーニング法およびHA亜型の診断系の確立をし, ⑥献血血の安全性を確保するための蚊媒介性ウイルスのウイルス学的解析を進めた。⑦蚊のウイルス保有実態と蚊媒介性ウイルスの感染・流行リスク解析, ⑧動物におけるインフルエンザウイルスの簡易検査方法の確立した。⑨B型肝炎ウイルスやパルボウイルスB19等培養が困難なウイルスの培養法の改良と不活化法の評価を行った。
公開日・更新日
公開日
2026-07-15
更新日
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