膠様滴状角膜変性症の標準的治療レジメンの確立と新規治療法の創出

文献情報

文献番号
201024112A
報告書区分
総括
研究課題名
膠様滴状角膜変性症の標準的治療レジメンの確立と新規治療法の創出
課題番号
H22-難治・一般-057
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
川崎 諭(京都府立医科大学 視覚機能再生外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 村上 晶(順天堂大学・医学部・眼科)
  • 天野 史郎(東京大学・医学部附属病院・眼科)
  • 西田幸二(大阪大学・医学(系)研究科(研究院)・眼科)
  • 稲富 勉(京都府立医科大学 視覚機能再生外科学 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、TACSTD2遺伝子変異がいかに本疾患の病態形成に関わるかについて分子レベルでの解明を試みた。また我が国における本疾患の疫学、臨床像、治療成績について検討し、その結果を元に標準的治療レジメンを作成することを試みた。
研究方法
我が国における膠様滴状角膜変性症の疫学、臨床像、治療経過について検討した。また膠様滴状角膜変性症の病態解明に関して検討した。
結果と考察
本研究班4施設から得られた膠様滴状角膜変性症患者の臨床データを一括して解析し、近親婚の有無、発症年齢、遺伝子変異型、臨床病型などの疫学的検討を行った。また本疾患に対する角膜移植術について、術式毎の治療成績や合併症の有無、ソフトコンタクトレンズ装用の有無による術後の再発の有無、再発までの期間について検討した。結果として膠様滴状角膜変性症患者のほぼ半数で近親婚がみられること、本疾患の発症年齢については80%弱が20歳までに発症すること、遺伝子型についてはp.Gln118Xが80%以上を占める事、臨床病型については、Typical mulberry typeが全体の約80%を占めることが明かとなった。術式毎の治療成績については、ほぼすべての術式で視力改善が得られたが、緑内障の合併がPTK<LTPおよびDLKP<PKPの順で高くなる傾向が明かとなった。またソフトコンタクトレンズ装用によって術後の再発が著明に抑制されることが明かとなった。また膠様滴状角膜変性症の分子病態として、TACSTD2遺伝子がクローディン1および7と結合してこれらのタンパクがユビキチン・プロテアソーム系によるタンパク分解をうけるのを阻害することでタイトジャンクションの形成に促進的に働いていることを明らかにした。
結論
膠様滴状角膜変性症の疫学背景、臨床像、治療成績および分子病態の解明について重要な知見を得ることができた。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201024112C

成果

専門的・学術的観点からの成果
これまで膠様滴状角膜変性症がどのようなメカニズムによってその原因遺伝子であるTACSTD2の変異によって発症しているのかは全く不明であったが、本研究によってTACSTD2タンパクがクローディン1および7と結合し、ユビキチン・プロテアソーム系のタンパク分解からこれらを保護していることが明らかとなった。この成果は今後分子レベルの治療法の開発につながるものと期待している。
臨床的観点からの成果
本研究によって膠様滴状角膜変性症の疫学、臨床像、治療成績についての詳細な情報を得ることができた。また角膜移植術後の再発抑制にはソフトコンタクトレンズの装用が極めて有効であることが明かとなり、今後の治療を考える上で極めて大きな成果となった。
ガイドライン等の開発
膠様滴状角膜ジストロフィ治療指針を作成した。
その他行政的観点からの成果
現時点では該当無し。
その他のインパクト
現時点では該当無し。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
14件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
9件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024112Z