22q11.2欠失症候群の原因解明、管理、治療に関する研究

文献情報

文献番号
201024111A
報告書区分
総括
研究課題名
22q11.2欠失症候群の原因解明、管理、治療に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-056
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中西 敏雄(学校法人 東京女子医科大学 医学部循環器小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 松岡 瑠美子(東邦大学 医学部 小児科第1講座)
  • 高垣 洋太郎(東京女子医科大学 医学部 循環器小児科)
  • 白石 公(国立循環器病センター 小児循環器診療部 循環器小児科学)
  • 丹羽 公一郎(千葉県循環器病センター 小児循環器学 )
  • 朴 仁三(榊原記念病院 小児循環器学)
  • 賀藤 均(国立成育医療センター 循環器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究目的:22q11.2欠失症候群の患者を登録し、遺伝学的解析、病態把握、自然歴の把握、手術法と手術時期、予後に関するデータ分析を多施設共同で組織的、体系的に行い、心不全治療の有効性を検討する。データに基づいて本症候群における治療、管理のための指針を作成する。
研究方法
研究方法:本症例について、病態、心奇形の組み合わせ、手術法、手術成績、予後、合併奇形の頻度、全身症状の種類と頻度を調べた。また知的障害や学習障害等の発達遅滞、統合失調症、免疫不全、血小板減少、低カルシウム血症等の全身的な症状のデータ集積を行い、125項目からなる調査票を作成し、各施設の研究分担者に配布し、本症候群の実態把握を行った。
結果と考察
結果と考察:本症候群283例、コントロール(本症候群でない心疾患合併)291例の合計574例のデータを収集した。1974から2010年に診察した症例数は男性134名、女性149名、平均年齢13.1歳(日令1ヶ月ー43歳)、人年法による観察人年は2824人年であった。心疾患の合併を89%に認め、その内訳は、ファロー四徴症が67%、心室中隔欠損が19%、大動脈離断症8%などであった。ファロー四徴症の中で、その型の内訳は、肺動脈閉鎖+主要体肺側副血管の例が39%と高率であった。本症候群では、コントロール群に比べ、uniforcalizationとラステリ手術の率が高く、心内修復術の率が低かった。最終的にチアノーゼが残存している例は20%と高率であった。15歳以上の患者のNYHA機能分類は、I度65%、II 度26%、III度8%で、心不全症状を35%に認めた。また31%で抗心不全薬を服薬していた。52%に精神発達遅延を認め、平均IQは66であった。精神症状の内訳は、統合失調症が50%、うつ病が36%などであった。20歳以上の患者の職業は、パート18%、常勤9%、学生9%、無職が30%であった。自活している患者は16%にすぎず、あとは親が生活を支えていた。既婚者は4%であった。心内膜炎などの重症感染症の年間罹患率(患者1万人対)は、127と高値であった。
結論
結論:本症候群の患者は、生涯にわたるフォローと社会支援が必要であることを示唆する。統合失調症は、本人のQOLを大きく下げ、現在のところ、薬物治療で管理されているのが実情である。心疾患の治療、管理、予後については、さらなる症例の蓄積が必要である。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201024111C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本症候群283例、コントロール(本症候群でない心疾患合併)291例の合計574例のデータを収集した。1974から2010年に診察した症例数は男性134名、女性149名、平均年齢13.1歳(日令1ヶ月ー43歳)、人年法による観察人年は2824人年であった。52%に精神発達遅延を認め、平均IQは66であった。精神症状の内訳は、統合失調症が50%、うつ病が36%などであった。20歳以上の患者の職業は、パート18%、常勤9%、学生9%、無職が30%であった。
臨床的観点からの成果
心疾患の合併を89%に認め、その内訳は、ファロー四徴症が67%、心室中隔欠損が19%、大動脈離断症8%などであった。ファロー四徴症の中で、その型の内訳は、肺動脈閉鎖+主要体肺側副血管の例が39%と高率であった。本症候群では、コントロール群に比べ、uniforcalizationとラステリ手術の率が高く、心内修復術の率が低かった。最終的にチアノーゼが残存している例は20%と高率であった。15歳以上の患者のNYHA機能分類は、I度65%、II 度26%、III度8%で、心不全症状を35%に認めた。
ガイドライン等の開発
心臓手術は、新生児期には短絡術が施行され、乳児期―小児期には、主要体肺側副血管を切断して肺動脈を1本にまとめるuniforcalizationやそれに続くラステリ手術が施行されていた。中心肺動脈が低形成の例では、心内修復術やラステリ手術が不可能な例があるが、本症候群では最終的にチアノーゼが残存している例は20%と高率であった。このことは、本症候群の先天性心疾患は、手術して終わりではなく、その後も一生問題は継続することを示唆する。現在、手術成績や予後に関与するリスクファクターについて分析中である。
その他行政的観点からの成果
精神疾患、精神症状も本人、家族にとって大きな問題である。なかでも統合失調症を15歳以上の患者の20%に認めた。統合失調症は、本人のQuality of life を大きく下げる。現在のところ、薬物治療で管理されているのが実情である。心疾患の治療、管理、予後については、さらなる症例の蓄積が必要である。
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
American Heart Association, Scientific Sessions 2011, Nov. 12-16, Orlando, Florida
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024111Z