文献情報
文献番号
201024106A
報告書区分
総括
研究課題名
先天性QT延長症候群の遺伝的背景に基づく治療指針の検討
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-難治・一般-051
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
堀江 稔(滋賀医科大学 医学部 内科学講座(循環器))
研究分担者(所属機関)
- 清水 渉(国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門 不整脈部)
- 伊藤 英樹(滋賀医科大学 医学部 内科学講座(呼吸器・循環器) )
- 牧山 武(京都大学大学院 医学研究科 循環器内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究課題では、われわれと同じく当該分野での遺伝子解析を広く行っている国立循環器病センター・京都大学と連携し、先天性QT延長症候群の遺伝的背景とそれに基づく治療指針を明らかにするため、我々が1996年から集積している症例コホートで、その遺伝子異常の分布解析・機能解析を通して、その遺伝的に決定される重症度を決定し、ひいてはテーラメイド医療への提言をする。
研究方法
対象とする遺伝子は現在までに報告されている先天性QT延長症候群の関連遺伝子のうち、LQT1,2,3とし、発端者613例を対象に網羅的に3つの遺伝子の全エクソンを読み、変異・SNPを検索した。
結果と考察
先天性QT延長症候群の発端者613例の遺伝子解析にて責任遺伝子変異が同定できたのは310例であり、家族の変異キャリアーの293例を加えて、合計603例を対象に検討をおこなった。この603例の責任遺伝子変異が同定できたケースで、単変異のみの保有者は568症例、2変異を保有していたのは35例であった。また、発端者レベルでは、単変異保有例は284名であり、その内訳はLQT1が117名、LQT2が138名、LQT3が27名、LQT5が2名、2変異保有例が26名であった。症状の有無、発症時の年齢、心電図でのQT、QTc、RR時間を検討した。単変異群と2変異群に分けると、2変異例では、QTc時間が有意に延長し、その発症率も高く発病年齢は若年であった。β遮断薬の内服率も有意に高率であった。しかし2変異症例の家族を検討すると、その家族キャリアーの臨床像は有意に軽く、従って個々の遺伝子異常の機能障害は軽度であることが推察された。複数変異症例を有するQT延長症候群の症例では単変異症例よりきめ細かい治療が必要である
結論
遺伝子検査を網羅的に行うことにより、LQTSの代表的3原因遺伝子においてさえ、複数変異のキャリアーが8.4%も存在することが明らかとなった。この値は白人で検討された他の3つの報告とほぼ同じ頻度であるが、既報と異なり、compound mutation症例では、QTc時間の延長がsingle mutation症例よりも有意に延長し発症年齢も低いことが示された。患者さんの予後を推測する上、compoundなのかそうでないのかを明らかにすることは非常に重要であることが判明し、本症候群にける遺伝的背景に基づく治療方針の決定に寄与すると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2011-12-27
更新日
-