文献情報
文献番号
202523015A
報告書区分
総括
研究課題名
ウエルシュ菌食中毒制御のための検査法の開発及び汚染実態把握
研究課題名(英字)
-
課題番号
25KA1002
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
大西 貴弘(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究分担者(所属機関)
- 新井 沙倉(石田 沙倉)(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
- 渡辺 麻衣子(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
- 岡部 信彦(川崎市健康安全研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和9(2027)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ウエルシュ菌食中毒に対しては、従来から対策が行われているが、事例数、患者数共に減少の傾向が見られない。そこで、ウエルシュ菌食中毒発生の予防を目的に、食品中におけるウエルシュ菌増殖の制御、検査法確立による検査体制の強化、疫学解析、汚染実態調査および情報収集を行った。
研究方法
1)食品中でのウエルシュ菌の増殖を制御するために、ウエルシュ菌の増殖に影響を与える因子、例えば食肉添加、菌の耐熱性、芽胞形成性などについて検討を行った。2)パルスフィールドゲル電気泳動法に代わるウエルシュ菌のタイピング法を確立を試みた。3)食中毒の原因となったcpe保有ウエルシュ菌の由来を明らかにするため、食中毒事例・食品・環境等由来株を分子疫学的に解析した。4)カレーミックスの原料となっている個々の香辛料におけるウエルシュ菌汚染を調査した。
結果と考察
食肉添加によるウエルシュ菌増殖促進機構およびウエルシュ菌の耐熱性について検討を行ったところ、タンパク源を添加することによって、酸化還元電位、pHがウエルシュ菌の増殖に適した方向に変化し、ウエルシュ菌の増殖を促進することが明らかになった。また、55℃におけるD値を調べたところ、ウエルシュ菌食中毒由来株と香辛料由来株とで、D値が高い傾向が認められた。一方で、食中毒由来株であるにも拘らずD値が10以下と非常に低い株も認められた。
新たな遺伝子型別法を開発する前段階として、日本国内にて分離された多様なウエルシュ菌がどのような遺伝子を有するのか、全ゲノムデータを基に解析した。その結果、食中毒を起こすために必須のcpe遺伝子が染色体上に局在するウエルシュ菌は大きく分けて2種類の系統に属した。うち片方(c-cpe group1)はウエルシュ菌の芽胞の耐熱性に重要なSsp4のアミノ酸配列が耐熱性の構成を示すことが明らかとなった。また、このc-cpe group1に特徴的なその他の遺伝子構成も明らかとなった。さらに系統解析の結果から、畜肉以外の菌株の食中毒への関与の可能性、さらには、環境・食品およびヒトといった異なるニッチにまたがって遺伝的に連続した菌集団が存在し、そこから派生した菌群が食中毒の原因となる可能性が考えられた。
カレーミックスにウエルシュ菌の汚染が認められたことから、カレーミックスのパッケージを参考にして店舗販売されている各香辛料について調査を行った。その結果、コリアンダー及びフェンネルにおいてウエルシュ菌の検出率が高いことが明らかになった。
新たな遺伝子型別法を開発する前段階として、日本国内にて分離された多様なウエルシュ菌がどのような遺伝子を有するのか、全ゲノムデータを基に解析した。その結果、食中毒を起こすために必須のcpe遺伝子が染色体上に局在するウエルシュ菌は大きく分けて2種類の系統に属した。うち片方(c-cpe group1)はウエルシュ菌の芽胞の耐熱性に重要なSsp4のアミノ酸配列が耐熱性の構成を示すことが明らかとなった。また、このc-cpe group1に特徴的なその他の遺伝子構成も明らかとなった。さらに系統解析の結果から、畜肉以外の菌株の食中毒への関与の可能性、さらには、環境・食品およびヒトといった異なるニッチにまたがって遺伝的に連続した菌集団が存在し、そこから派生した菌群が食中毒の原因となる可能性が考えられた。
カレーミックスにウエルシュ菌の汚染が認められたことから、カレーミックスのパッケージを参考にして店舗販売されている各香辛料について調査を行った。その結果、コリアンダー及びフェンネルにおいてウエルシュ菌の検出率が高いことが明らかになった。
結論
今年度の結果から、耐熱性の弱いウエルシュ菌株によっても、食中毒が引き起こされている可能性が出てきた。不適切な冷却処理によって、耐熱性の弱い株が生残し、その後増殖し、食中毒が発生しているのではないかと考えられる。今年度検討した食中毒事例株数は十分でないが、すでに50株以上の事例由来株を自治体から収集している。来年度は、これらの株の耐熱性の調査を行い、我が国におけるウエルシュ菌食中毒の実態を明らかにしたい。
日本で分離された多様な由来のウエルシュ菌株のゲノム解析を実施した。今後、原因食品が判明した集団食中毒事例由来株を中心に解析することで、有用な遺伝子候補を確定し、ウエルシュ菌の遺伝子型別法開発へと繋げたい。また、事例株や環境株との関連性を検討したところ、ウエルシュ菌が環境、食品、動物および臨床由来といった異なるニッチ間で生態学的に連続して存在している可能性が示された。特に、環境中のリザーバーが食中毒発生の背景にある伝播ネットワークの重要な構成要素となっている可能性が考えられた。
市販香辛料の汚染調査を行ったが、2割程度がウエルシュ菌に汚染されていることが明らかになった。また、ウエルシュ菌が検出された香辛料については、特定の原産地及び専門店で販売されたものから高い割合で検出されることも明らかになった。今後さらに検体数を増やし、香辛料における汚染実態を明らかにしていきたい。
日本で分離された多様な由来のウエルシュ菌株のゲノム解析を実施した。今後、原因食品が判明した集団食中毒事例由来株を中心に解析することで、有用な遺伝子候補を確定し、ウエルシュ菌の遺伝子型別法開発へと繋げたい。また、事例株や環境株との関連性を検討したところ、ウエルシュ菌が環境、食品、動物および臨床由来といった異なるニッチ間で生態学的に連続して存在している可能性が示された。特に、環境中のリザーバーが食中毒発生の背景にある伝播ネットワークの重要な構成要素となっている可能性が考えられた。
市販香辛料の汚染調査を行ったが、2割程度がウエルシュ菌に汚染されていることが明らかになった。また、ウエルシュ菌が検出された香辛料については、特定の原産地及び専門店で販売されたものから高い割合で検出されることも明らかになった。今後さらに検体数を増やし、香辛料における汚染実態を明らかにしていきたい。
公開日・更新日
公開日
2026-08-19
更新日
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