文献情報
文献番号
202523014A
報告書区分
総括
研究課題名
食品取扱現場における効果的なウイルス汚染対策の策定のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25KA1001
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
上間 匡(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究分担者(所属機関)
- 岡 智一郎(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
- 遠矢 真理(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
- 村上 耕介(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
- 吉村 和久(東京都健康安全研究センター)
- 木村 博一(群馬パース大学 保健科学部)
- 元岡 大祐(大阪大学 微生物病研究所)
- 白崎 伸隆(北海道大学 大学院工学研究院 環境創生工学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和9(2027)年度
研究費
18,224,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
国内で発生するノロウイルスによる食中毒患者数は、2022年は2,175人だったが、2023年5,502人、2024年8,656人、2025年18,556人と大幅に増えている。2024年から2025年にかけての約1万人のノロウイルスによる食中毒患者数増加は、食中毒全体の患者数の増加とほぼ同数であり、ノロウイルスによる食中毒対策は食品衛生において非常に大きな課題であることが改めて示された。
増加傾向を示す食中毒起因ウイルスに対する、食品取扱現場での実行可能性を伴った衛生対策の提示に向けて、水試料からのウイルス検出法、NGSを用いた網羅的ウイルス検索法の導入、製造工程でのウイルス対策の科学的根拠を示すために、ノロウイルス、サポウイルスといった食中毒・胃腸炎ウイルスを用いて、感染性を指標とする加熱条件について検討した。
増加傾向を示す食中毒起因ウイルスに対する、食品取扱現場での実行可能性を伴った衛生対策の提示に向けて、水試料からのウイルス検出法、NGSを用いた網羅的ウイルス検索法の導入、製造工程でのウイルス対策の科学的根拠を示すために、ノロウイルス、サポウイルスといった食中毒・胃腸炎ウイルスを用いて、感染性を指標とする加熱条件について検討した。
研究方法
• 水試料からのウイルス検出については、すでに多くの検査期間で用いられているPEG/NaCl法による検体処理の条件の最適化の検討。
• NGSにより検出されるウイルスの詳細な遺伝子解析のほか、網羅的検出にロングリードNGSの有効性の検討。
• 感染性ウイルスを指標にしたウイルスの不活化評価を、効率的な培養系が確立されているサポウイルスにより検討した。
• ノロウイルスの他の食品由来ウイルスの感染状況の探知のために、下水に含まれるウイルスの調査を行なった。
• 2025年のノロウイルス流行遺伝子型の把握。
• 2024年から2025年にかけてのノロウイルス食中毒患者数拡大の要因の探索。
• ノロウイルス培養系の改良。
• 細菌検査で用いられるMPN法の考え方を取り入れた感染性ウイルス評価系の構築。
• NGSにより検出されるウイルスの詳細な遺伝子解析のほか、網羅的検出にロングリードNGSの有効性の検討。
• 感染性ウイルスを指標にしたウイルスの不活化評価を、効率的な培養系が確立されているサポウイルスにより検討した。
• ノロウイルスの他の食品由来ウイルスの感染状況の探知のために、下水に含まれるウイルスの調査を行なった。
• 2025年のノロウイルス流行遺伝子型の把握。
• 2024年から2025年にかけてのノロウイルス食中毒患者数拡大の要因の探索。
• ノロウイルス培養系の改良。
• 細菌検査で用いられるMPN法の考え方を取り入れた感染性ウイルス評価系の構築。
結果と考察
増加傾向を示す食中毒起因ウイルスに対する、食品取扱現場での実行可能性を伴った衛生対策の提示に向けて、水試料からのウイルス検出法、NGSを用いた網羅的ウイルス検索法の導入、製造工程でのウイルス対策の科学的根拠を示すために、ノロウイルス、サポウイルスといった食中毒・胃腸炎ウイルスを用いて、感染性を指標とする加熱条件について検討し、次のことを示した。
• 水試料からのウイルス検出については、すでに多くの検査期間で用いられているPEG/NaCl法による検体処理が有効である。
• NGSにより検出されるウイルスの詳細な遺伝子解析のほか、網羅的検出にロングリードNGSの利用が有効である。
• 感染性ウイルスを指標にした評価により、70℃以上であれば1分で十分不活化されるが、65℃1時間の加熱条件はウイルスによっては不十分な可能性がある。
• ノロウイルスの他に、サポウイルス、E型肝炎ウイルスの感染、健康被害の発生可能性がある。
• ノロウイルスGII.17がGII.4に変わって主流行株となり、感染者拡大の要因となった可能性がある。
• MPN法の考え方を取り入れたICC-PCR法を用いることでプラーク法が利用できなくても感染性ウイルスの評価が可能であること。
一方で以下の課題が示された
• ノロウイルス以外の食品由来のウイルスについて探知する手段が限られていること
• ノロウイルス、サポウイルスの培養系では評価可能なクリアランスレベルが未だ小さいこと
• 加熱による不活化以外の、洗浄による除去、不活化効果に関する知見が少ないこと
• 水試料からのウイルス検出については、すでに多くの検査期間で用いられているPEG/NaCl法による検体処理が有効である。
• NGSにより検出されるウイルスの詳細な遺伝子解析のほか、網羅的検出にロングリードNGSの利用が有効である。
• 感染性ウイルスを指標にした評価により、70℃以上であれば1分で十分不活化されるが、65℃1時間の加熱条件はウイルスによっては不十分な可能性がある。
• ノロウイルスの他に、サポウイルス、E型肝炎ウイルスの感染、健康被害の発生可能性がある。
• ノロウイルスGII.17がGII.4に変わって主流行株となり、感染者拡大の要因となった可能性がある。
• MPN法の考え方を取り入れたICC-PCR法を用いることでプラーク法が利用できなくても感染性ウイルスの評価が可能であること。
一方で以下の課題が示された
• ノロウイルス以外の食品由来のウイルスについて探知する手段が限られていること
• ノロウイルス、サポウイルスの培養系では評価可能なクリアランスレベルが未だ小さいこと
• 加熱による不活化以外の、洗浄による除去、不活化効果に関する知見が少ないこと
結論
飲料水、食品製造用水に対するウイルス検査法の設定により、HACCPに基づいた衛生管理の枠組みの中にウイルス対策を取り入れることが可能となるほか、感染性を指標にした食中毒関連ウイルスの加熱条件、洗浄効果などを定量的に示すことで、衛生対策の具体化を促すことにつながる事から、研究で得られたデータの活用のための情報発信にも今後注力する。
遺伝子解析により、2024年2025年のノロウイルスによる食中毒の大きな増加の要因の一つとしてGII.17への主流行遺伝子型の変遷が示唆された事から、改めて手洗いなどの基本的なノロウイルス対策の重要性について啓発していくことが重要と考えられる。
遺伝子解析により、2024年2025年のノロウイルスによる食中毒の大きな増加の要因の一つとしてGII.17への主流行遺伝子型の変遷が示唆された事から、改めて手洗いなどの基本的なノロウイルス対策の重要性について啓発していくことが重要と考えられる。
公開日・更新日
公開日
2026-08-06
更新日
-