文献情報
文献番号
202523008A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中の自然毒等のリスク管理のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24KA1001
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 敏之(北里大学海洋生命科学部 応用生物化学講座食品化学研究室)
研究分担者(所属機関)
- 松嶋 良次(国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産技術研究所 水産物応用開発部 安全管理グループ)
- 渡邊 龍一(国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所 環境・応用部門 水産物応用開発部)
- 内田 肇(国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産技術研究所 環境・応用部門 水産物応用開発部 安全管理グループ)
- 小澤 眞由(国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所環境・応用部門水産物応用開発部安全管理グループ)
- 沼野 聡(国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産技術研究所 環境・応用部門 水産物応用開発部)
- 山下 まり(四津 まり)(東北大学大学院農学研究科)
- 上間 匡(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
- 髙橋 洋(国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産大学校)
- 辰野 竜平(水産研究・教育機構 水産大学校 食品科学科)
- 南谷 臣昭(岐阜県保健環境研究所 食品安全検査センター)
- 柴田 識人(国立医薬品食品衛生研究所 生化学部)
- 志田 静夏(齊藤 静夏)(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
- 長澤 和夫(東京農工大学 大学院工学研究院)
- 足立 真佐雄(高知大学 教育研究部自然科学系農学部門)
- 土方 悠希(愛知県衛生研究所 生物学部 医動物研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
28,264,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ふぐをはじめとする海洋生物毒を有する魚介類の喫食や、きのこを含む有毒植物の誤食による食中毒事例は毎年報告されており、死亡者も発生している。また、近年、温暖化による海水温の上昇の影響により、これまで毒化が確認されていなかった貝類の麻痺性貝毒による毒化や、ふぐの漁獲海域の変化や雑種ふぐの発生による食中毒も懸念されている。本研究は、食品中の動物性/植物性自然毒に係る最新の知見を収集・整理し、関係行政機関や事業者への効果的な対策、及び消費者への正確な情報提供のための手法を確立することを目標とする。
研究方法
水揚げされた天然フグを外見で鑑別し、種組成や雑種個体数を調査し、一部の試料は、雑種フグの皮、筋肉、肝臓、生殖腺を分離し、毒分析をLC/MS/MSにより行った。
M-toxin類の単離・合成を行い、毒性評価手法として、Neuro2Aアッセイを最適化し、M-Toxinsの毒性を確認した。また、国内沿岸でのM-toxin類探索として、毒化した二枚貝の分析を行い、M-toxin類の蓄積部位を特定した。二枚貝の毒性変動と餌生物解析のため、TTX含有量の季節変動を測定し、メタバーコーディングで餌生物の解明を試みた。
我が国で注意が必要と考えられる植物性自然毒としてピロリジジンアルカロイドを選択し、40種を対象に分別定量可能な測定条件を検討した。また、ハーブ・スパイス類を対象とした分析法を開発し、性能評価を行った。さらに国内で流通するハーブ・スパイス製品を対象とした予備的な調査を実施した。
「汎用性の高い植物性自然毒(きのこ)の分析法・同定法の確立」では、分析法として、実際の食中毒残品における調理残品を想定して、毒きのこの実試料を含む模擬試料を作製し、標準添加法による値付けと均質性試験を行った上で参加機関に配布し、分析法2の室間共同試験を実施した。同定法では、これまでに見出したドクツルタケ特異的遺伝子配列を基に開発したリアルタイムPCR法による遺伝子検査法の性能評価として、増幅効率・検出限界・特異性を検討した。またテングタケ属きのこであり食中毒事例の多いイボテングタケについて、独自開発した種特異的DNA配列探索ツールBLAST_TSNにより特異的遺伝子配列の探索を実施すると共に、全ゲノムシークエンスおよびde novoアセンブリを実施した。
「自然毒等のリスク管理のための研究(21KA1005)」で整理した知見を踏まえた最新情報をもとに、自然毒のリスクプロファイルの更新作業に取り組んだ。
M-toxin類の単離・合成を行い、毒性評価手法として、Neuro2Aアッセイを最適化し、M-Toxinsの毒性を確認した。また、国内沿岸でのM-toxin類探索として、毒化した二枚貝の分析を行い、M-toxin類の蓄積部位を特定した。二枚貝の毒性変動と餌生物解析のため、TTX含有量の季節変動を測定し、メタバーコーディングで餌生物の解明を試みた。
我が国で注意が必要と考えられる植物性自然毒としてピロリジジンアルカロイドを選択し、40種を対象に分別定量可能な測定条件を検討した。また、ハーブ・スパイス類を対象とした分析法を開発し、性能評価を行った。さらに国内で流通するハーブ・スパイス製品を対象とした予備的な調査を実施した。
「汎用性の高い植物性自然毒(きのこ)の分析法・同定法の確立」では、分析法として、実際の食中毒残品における調理残品を想定して、毒きのこの実試料を含む模擬試料を作製し、標準添加法による値付けと均質性試験を行った上で参加機関に配布し、分析法2の室間共同試験を実施した。同定法では、これまでに見出したドクツルタケ特異的遺伝子配列を基に開発したリアルタイムPCR法による遺伝子検査法の性能評価として、増幅効率・検出限界・特異性を検討した。またテングタケ属きのこであり食中毒事例の多いイボテングタケについて、独自開発した種特異的DNA配列探索ツールBLAST_TSNにより特異的遺伝子配列の探索を実施すると共に、全ゲノムシークエンスおよびde novoアセンブリを実施した。
「自然毒等のリスク管理のための研究(21KA1005)」で整理した知見を踏まえた最新情報をもとに、自然毒のリスクプロファイルの更新作業に取り組んだ。
結果と考察
天然ふぐの水揚げ地で雑種ふぐの混獲率と流通状況を調査し、しらす混入ふぐの種判別と毒性試験を行った。調査の結果、雑種混獲率は地域により0~14.77%であった。しらす混入ふぐ7,025個体の解析では10種が確認され、約96%がシロサバフグであった。シロサバフグ仔稚魚332検体についてTTX分析を行い、一部はマウス毒性試験も実施し、食品衛生上のリスク評価に資する基礎データを得た。
二枚貝に 含まれるM-toxin 類、M1、M3、M5-HA、M9、M10 の精製、M2・M4 の不斉合成、M8 の誘導合成、qNMR による濃度決定、Na⁺チャネル阻害活性評価、毒化貝の M-toxin 含有量調査を実施した。結果として、一部 M-toxin に弱い阻害活性が確認され、含有量や蓄積部位が貝種・時期で異なることが明らかとなった。北日本のホタテおよび西日本のマガキの調査では、麻痺性貝毒とTTXに相関はなく、異なる毒化原因生物の存在が示唆された。メタバーコーディング解析では微細藻類や動物プランクトンが検出されたが、既報のTTX保有生物は確認されなかった。
海外で汚染事例が多いピロリジジンアルカロイド(PAs)について、汚染実態調査に向けた分析法を開発した。超臨界流体クロマトグラフィーを用い、3-ヒドロキシフェニルカラムとギ酸アンモニウム含有メタノールを用いた条件で40種のPAsを良好に分離できた。性能評価でも良好な直線性・精度が得られ、ハーブ・スパイス中のPAs調査に有用であることが示された。予備調査では国内流通品からも比較的高濃度のPAsが検出され、広範な調査の必要性が示唆された。
既存の毒きのこ中毒原因物質の一斉分析法を改良し、15機関による室間共同試験でムスカリン、イボテン酸、ムシモールの正確な同定と良好な再現性を確認した。遺伝子検査では、ドクツルタケ特異的リアルタイムPCR法の性能評価を行い、さらにイボテングタケのITS解析とドラフトゲノム構築を実施した。
「自然毒リスクプロファイルの更新」では、新知見を反映した更新作業を進めた。
二枚貝に 含まれるM-toxin 類、M1、M3、M5-HA、M9、M10 の精製、M2・M4 の不斉合成、M8 の誘導合成、qNMR による濃度決定、Na⁺チャネル阻害活性評価、毒化貝の M-toxin 含有量調査を実施した。結果として、一部 M-toxin に弱い阻害活性が確認され、含有量や蓄積部位が貝種・時期で異なることが明らかとなった。北日本のホタテおよび西日本のマガキの調査では、麻痺性貝毒とTTXに相関はなく、異なる毒化原因生物の存在が示唆された。メタバーコーディング解析では微細藻類や動物プランクトンが検出されたが、既報のTTX保有生物は確認されなかった。
海外で汚染事例が多いピロリジジンアルカロイド(PAs)について、汚染実態調査に向けた分析法を開発した。超臨界流体クロマトグラフィーを用い、3-ヒドロキシフェニルカラムとギ酸アンモニウム含有メタノールを用いた条件で40種のPAsを良好に分離できた。性能評価でも良好な直線性・精度が得られ、ハーブ・スパイス中のPAs調査に有用であることが示された。予備調査では国内流通品からも比較的高濃度のPAsが検出され、広範な調査の必要性が示唆された。
既存の毒きのこ中毒原因物質の一斉分析法を改良し、15機関による室間共同試験でムスカリン、イボテン酸、ムシモールの正確な同定と良好な再現性を確認した。遺伝子検査では、ドクツルタケ特異的リアルタイムPCR法の性能評価を行い、さらにイボテングタケのITS解析とドラフトゲノム構築を実施した。
「自然毒リスクプロファイルの更新」では、新知見を反映した更新作業を進めた。
結論
計画通り進捗した。
公開日・更新日
公開日
2026-08-13
更新日
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