免疫吸着型血液透析を用いた尿毒症治療法の開発

文献情報

文献番号
199700806A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫吸着型血液透析を用いた尿毒症治療法の開発
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
藤里 俊哉(国立循環器病センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 先端的厚生科学研究分野 新興・再興感染症研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
O-157感染症による尿毒症で問題となっている血中遊離ヘモグロビンや遊離Vero毒素のように、血液透析のみによっては除去効率が悪い、あるいは除去不可能な毒性因子を血中から選択的に除去する免疫吸着法を、血液透析と同時に行い得る新規な透析膜の開発を目的とする。
研究方法
セルロースフィルムを塩酸で前処理した後、臭化シアン溶液に所定時間浸漬した。リン酸生理食塩水で洗浄した後、タンパク質溶液に浸漬した。固定化タンパク量をニンヒドリン法あるいはELISA法で定量した。小動物用透析器にロータリポンプで塩酸を循環させて前処理した後、同様に臭化シアン溶液、ヒトIgG溶液を循環させ、ホローファイバー上にヒトIgGを固定化した。この透析器にペルオキシダーゼ結合抗ヒトIgG(P-IgG)溶液を循環させ、P-IgG濃度を経時的に測定し、その除去能を評価した。
結果と考察
臭化シアンによるタンパク固定化では、臭化シアン溶液のpH、活性化時間、およびタンパク溶液への浸漬時間に影響される。本研究ではまず、BSAについて最適条件を検討したが、pHが11、活性化時間が10分、タンパク溶液浸漬時間が9時間が最も適した条件であった。これ以外の条件では固定化量が減少したり、セルロースフィルムが脆弱化した。固定化法としてはオゾン法など、他の方法も検討する必要もあると考えられる。動物用小型透析器のセルロースホローファイバーにヒトIgGを固定化し、その抗体であるP-IgGの除去能を検討したところ、1時間で約1/6にまで減少した。実際の血中毒素、たとえばミオグロビンの除去に有効な面積などについて、動物実験による検討が必要である。
結論
本法を用いて免疫吸着型血液透析膜の開発が可能であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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