文献情報
文献番号
202522013A
報告書区分
総括
研究課題名
個人事業者等の健康管理に関する実態把握に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25JA1002
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
横山 和仁(国際医療福祉大学 大学院医学研究科公衆衛生学専攻)
研究分担者(所属機関)
- 武藤 剛(北里大学 医学部衛生学)
- 中田 光紀(産業医科大学 医学部公衆衛生学)
- 和田 裕雄(順天堂大学 大学院医学研究科)
- 井村 真己(追手門学院大学 法学部)
- 津野 香奈美(神奈川県立保健福祉大学 大学院ヘルスイノベーション研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
8,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
個人事業者等の健康管理に関する実態把握に資するために以下の目的で研究1~6を実施した。
研究1:「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」を踏まえ、個人事業者等の健康管理の実態およびガイドラインの周知・実施状況を明らかにする。
研究2:ガイドラインの周知状況について、今後の普及策を検討する。
研究3:Employee Assistance Program(EAP)事業者・健診事業者等を対象に、「令和6年ガイドライン」の認知や措置、特に個人事業者等の健康管理の実施状況を把握する。
研究4:個人事業者等に業務を発注する注文者等による労働衛生管理の実態に着目し、個人事業者等(労働者を使用しない事業者および中小企業の事業主・役員)の健康管理の実態を明らかにする。
研究5:個人事業者等が健康的に就業を継続するための基盤となる睡眠、メンタルヘルス、生活習慣に着目し、健康状態や健康リスクの特徴について検討する。
研究6:日本の労働安全衛生法(安衛法)による個人事業者の健康管理に関する規制の現在水準を明らかにする。
研究1:「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」を踏まえ、個人事業者等の健康管理の実態およびガイドラインの周知・実施状況を明らかにする。
研究2:ガイドラインの周知状況について、今後の普及策を検討する。
研究3:Employee Assistance Program(EAP)事業者・健診事業者等を対象に、「令和6年ガイドライン」の認知や措置、特に個人事業者等の健康管理の実施状況を把握する。
研究4:個人事業者等に業務を発注する注文者等による労働衛生管理の実態に着目し、個人事業者等(労働者を使用しない事業者および中小企業の事業主・役員)の健康管理の実態を明らかにする。
研究5:個人事業者等が健康的に就業を継続するための基盤となる睡眠、メンタルヘルス、生活習慣に着目し、健康状態や健康リスクの特徴について検討する。
研究6:日本の労働安全衛生法(安衛法)による個人事業者の健康管理に関する規制の現在水準を明らかにする。
研究方法
研究1:全国の個人事業者等3,058名を対象とした調査を実施し、回答をまとめた。
研究2:個人事業者等が多く所属する団体や協会、注文・仲介に関わるプラットフォーム企業に対して質問紙パイロット調査を実施し、回答をまとめた。
研究3:EAP事業者・健診事業者等を対象に調査を実施し、回答をまとめた。
研究4:注文者等(全業種を概ね網羅する形で1,000社)を対象とした質問紙調査を実施。
研究5:個人事業者等に関する先行研究の文献レビューを実施。
研究6:文献調査を中心に実施。
研究2:個人事業者等が多く所属する団体や協会、注文・仲介に関わるプラットフォーム企業に対して質問紙パイロット調査を実施し、回答をまとめた。
研究3:EAP事業者・健診事業者等を対象に調査を実施し、回答をまとめた。
研究4:注文者等(全業種を概ね網羅する形で1,000社)を対象とした質問紙調査を実施。
研究5:個人事業者等に関する先行研究の文献レビューを実施。
研究6:文献調査を中心に実施。
結果と考察
研究1:ガイドラインの認知や支援利用は限定的で、健康管理は主に個人に依存していた。リスク認知や教育、健診受診率も低く、情報不足や時間・費用制約が背景にあった。注文者の関与も力関係により限定的で、契約状況に応じた格差が見られ、公的支援の関与も不十分であった。
研究2:23団体の調査では、ガイドラインの認知は5割程度にとどまり、周知は不十分であった。個人事業者への支援は項目によりばらつきがあり、安全衛生教育は2割と低水準であった。注文者側の取組も限定的で、不利益事案もみられ、普及と実効性確保が課題と考えられた。
研究3:ガイドラインの認知は「知っている」「少し知っている」で約半数にとどまり、内容については理解している者は25%と低水準であった。また、ガイドラインの内容を個人事業者等に周知・紹介している事業者はみられず、策定から1年以上が経過してもなお認知・普及が不十分であり、実務への反映も進んでいない実態が示唆された。
研究4:調査は現在回収作業が進行中であり、注文者等による労働衛生管理の実態把握に向けた基礎データの収集中である。
研究5:個人事業主では就業時間や休日の不規則化、夜間作業や複数業務の増加、収入不安による過重就業がみられ、生活習慣の乱れや概日リズムの変調につながることが示唆された。これらは生活習慣病やメンタルヘルス不調のリスクと関連していた。
研究6:従来、日本の労働安全衛生制度は労働者を中心に整備され、個人事業者は保護の枠外に置かれてきた。判例を契機に一部保護は拡大したが、健康管理はガイドラインに依存し実効性が不透明である。契約形態の多様性も影響し、現行制度の限界が示唆された。
研究2:23団体の調査では、ガイドラインの認知は5割程度にとどまり、周知は不十分であった。個人事業者への支援は項目によりばらつきがあり、安全衛生教育は2割と低水準であった。注文者側の取組も限定的で、不利益事案もみられ、普及と実効性確保が課題と考えられた。
研究3:ガイドラインの認知は「知っている」「少し知っている」で約半数にとどまり、内容については理解している者は25%と低水準であった。また、ガイドラインの内容を個人事業者等に周知・紹介している事業者はみられず、策定から1年以上が経過してもなお認知・普及が不十分であり、実務への反映も進んでいない実態が示唆された。
研究4:調査は現在回収作業が進行中であり、注文者等による労働衛生管理の実態把握に向けた基礎データの収集中である。
研究5:個人事業主では就業時間や休日の不規則化、夜間作業や複数業務の増加、収入不安による過重就業がみられ、生活習慣の乱れや概日リズムの変調につながることが示唆された。これらは生活習慣病やメンタルヘルス不調のリスクと関連していた。
研究6:従来、日本の労働安全衛生制度は労働者を中心に整備され、個人事業者は保護の枠外に置かれてきた。判例を契機に一部保護は拡大したが、健康管理はガイドラインに依存し実効性が不透明である。契約形態の多様性も影響し、現行制度の限界が示唆された。
結論
個人事業者等の健康管理は依然として本人の自己責任に大きく依存しており、関連ガイドラインの認知・普及および実施はいずれも十分とは言えない状況が明らかとなった。また、発注関係に起因する構造的制約により注文者側の関与は限定的であり、支援内容や対応にもばらつきが存在している。このような課題を踏まえ、今後はガイドラインの周知・普及の一層の強化が喫緊の課題であるとともに、実効性および実装可能性を担保した健康支援体制の整備が不可欠である。特に、公的機関や中間支援主体を含む多層的な支援枠組みの構築を通じて、個人事業者を取り巻く支援基盤を強化する必要がある。さらに、健康管理の内容については、従来の疾病予防にとどまらず、睡眠・休養の確保、生活習慣の改善、メンタルヘルス対策を含む包括的な取り組みへと拡張することが求められる。加えて制度的側面においては、他者の労務提供から利益を得る事業者に対し、リスク創出者管理責任原則に基づく一定の責任を位置づけるとともに、従来の労働者概念を超えた法体系の再構築を視野に入れる必要がある。以上より、個人事業者等の健康管理の向上に向けては、ガイドラインの普及と実効化を軸に、支援体制の強化、健康対策の包括化、ならびに制度的枠組みの再設計を統合的に推進していくことが重要である。あわせて、ヘルステックの活用促進や個人の選択の尊重といった観点を適切に組み込みつつ、実効性の高い政策展開を図ることが今後の課題である。
公開日・更新日
公開日
2026-10-23
更新日
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