肥厚性硬膜炎の診断基準作成とそれに基づいた臨床疫学調査の実施ならびに診療指針の確立

文献情報

文献番号
201024086A
報告書区分
総括
研究課題名
肥厚性硬膜炎の診断基準作成とそれに基づいた臨床疫学調査の実施ならびに診療指針の確立
課題番号
H22-難治・一般-030
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
吉良 潤一(九州大学大学院医学研究院 脳神経病研究施設神経内科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 藤井 清孝(北里大学医学部脳神経外科学)
  • 楠 進(近畿大学医学部神経内科)
  • 吉田 眞理(愛知医科大学加齢医学研究所神経病理部門)
  • 坂田 清美(岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学)
  • 松下 拓也(九州大学大学院医学研究院臨床神経免疫学寄附講座)
  • 立石 貴久(九州大学病院神経内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)肥厚性硬膜炎の全国臨床疫学調査を実施し、有病率、合併症、予後、治療の実態を明らかにする。2)本調査結果に基づき、肥厚性硬膜炎の診療指針を作成する。3)各種膠原病、線維症、HTLV-1感染等の合併を調査することで、肥厚性硬膜炎の発症に寄与する因子を同定する。4)髄液IgG4や各種サイトカインの動態解析と生検硬膜の免疫組織化学的検討により、肥厚性硬膜炎がIgG4関連疾患であるか否か、IgG4産生と線維化の関連、そのプロセスに関与するサイトカインは何かを解明することを目的とする。
研究方法
臨床所見とMRI 画像所見をもとに診断基準を作成し、低髄圧症候群をはじめとする除外すべき疾患、基礎疾患あるいは合併症となり得る調査疾患、検査所見をリストアップし、一次、二次調査票を作成、全国の神経内科、脳神経外科、耳鼻咽喉科、小児科、内科(膠原病内科)、眼科を標榜する病院を病床数ごとに階層化して調査表を送付した。該当患者が存在するとの回答が得られた施設を対象に二次調査票の発送を行った。回収作業終了後は一次調査結果に基づいて疫学的手法により肥厚性硬膜炎の有病率を算出、二次調査結果に基づいて臨床像、画像所見、検査所見、治療の実態と各種治療法の効果、予後、合併症等の解析を行い、診断・検査の流れ、治療ガイドラインを作成する。また当科で診断された肥厚性硬膜炎患者のうち、脳脊髄液が利用可能であった6例を対象に蛍光ビーズサスペンションアレイ法により、27種のサイトカイン/ケモカインを同時測定した。
結果と考察
平成22年5月16日に第一回班会議を開催し肥厚性硬膜炎の診断基準を作成、また調査すべき診療情報を決定した。これらに基づいて全国調査に使用する一次調査票、二次調査票を作成、九州大学倫理委員会の承認を得、九州大学神経内科ホームページ上に肥厚性硬膜炎に関する疫学研究についての情報を掲示した上で一次調査票を5477施設に発送。一次調査により症例が確認された施設には二次調査票を送付した。肥厚性硬膜炎患者6例の髄液中サイトカインを測定し、38例の対照群(非炎症性末梢神経疾患)と比較して炎症性サイトカインIL-8が高値であることを見出した。2011年度に疫学的解析を進めるとともに、病理的評価も行う。
結論
肥厚性硬膜炎についての診断基準の策定から一次、二次調査票の送付と回収、および6例の肥厚性硬膜炎患者の髄液中サイトカイン/ケモカインの測定を行った。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-02-15
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201024086C

成果

専門的・学術的観点からの成果
疫学的情報の報告がない肥厚性硬膜炎についてその診断基準を作成し、初めて全国調査を行った。一次調査により全数を把握し、個々の症例についての詳細な臨床情報について現在二次調査を行い、情報を回収・解析中である。また6例の肥厚性硬膜炎患者の髄液中サイトカイン/ケモカインの測定を行い、対照群と比較して肥厚性硬膜炎群でIL-8が有意に高いことが明らかとなった。
臨床的観点からの成果
肥厚性硬膜炎の診断についての一定の規定を定め、全国での症例数の確認を行った。今後二次調査票の収集と解析を行い、有用な診断のための指標を同定し、治療方針の指針を確立する。
ガイドライン等の開発
一次調査に当たって肥厚性硬膜炎の診断基準を第一回班会議(平成22年5月16日)において作成した。肥厚性硬膜炎の疾患概念としては脳または脊髄硬膜の慢性炎症を伴う肥厚性変化を起こす疾患とし、診断基準として1) MRIにて硬膜肥厚を認める。ただし低髄液圧症候群、腫瘍性を除外できること。2)硬膜生検により炎症細胞浸潤を伴う硬膜の線維性肥厚を認める。ただし、腫瘍性は含めない。以上のいずれかを満たすものと定義した。
その他行政的観点からの成果
二次調査票の回収が行われている段階であり、現段階での成果はない。今後の解析により有病率等の疫学情報、予後について情報が確定され、医療政策への提言も可能と考える。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-22
更新日
2016-06-20

収支報告書

文献番号
201024086Z