ベスレムミオパチーとその類縁疾患の実態調査

文献情報

文献番号
201024080A
報告書区分
総括
研究課題名
ベスレムミオパチーとその類縁疾患の実態調査
課題番号
H22-難治・一般-024
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
西野 一三(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 林 由起子(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第一部 )
  • 樋口 逸郎(鹿児島大学医学部歯学部附属病院 )
  • 小牧 宏文(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 病院小児神経科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Collagen VI異常によるベスレムミオパチーおよびウルリッヒ病の診断基準作成、患者実態把握、病態解明
研究方法
(1)診断基準の作成 (2)患者実態把握(全国の専門医療機関および専門医を対象とするアンケート調査、筋病理診断実績および遺伝子診断実績に基づく患者頻度の推定)(3)病態解明研究
結果と考察
1. 診断基準作成
臨床的特徴および病理学的特徴に加えて、COL6A1, COL6A2, COL6A3遺伝子変異に関する遺伝学的情報を重視する診断基準を作成した。

2. 患者実態把握
(1) アンケート調査
1,881通の返信があり、うち43通で該当症例があった。二次調査で詳細画か組んできたベスレムミオパチー13例(うち死亡2例)、ウルリッヒ病21例(うち死亡1例)と、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)病院に通院または入院歴のあるウルリッヒ病の患者22例も加えて、臨床症状、免疫染色、COL6遺伝子解析結果、自然歴に関するデータを得た。

(2) 筋病理診断実績および遺伝子診断実績に基づく患者頻度の推定
1978年から2004年までにNCNPにおいてウルリッヒ病と診断された例は34例、同期間に福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)は178例であった。このことは、ウルリッヒ病の頻度はFCMDの約1/5であることを示している。FCMDは、推計本邦有病率10万人当たり2-4人であるため、本邦におけるウルリッヒ病の有病率は、100万人当たり4-8人程度であることが明らかとなった。ベスレムミオパチーに関しては疑い例が4家系あったものの診断確定は1例のみで、頻度の推計値を算出できなかった。

(3) 病態解明研究
NCNPでは、新たに20例のcollagen VI異常症疑い例を見いだし、うち4例にCOL6A1遺伝子変異を見いだした。残り16例について、COL6A2およびCOL6A3遺伝子の解析を順次行っている。鹿児島大学では、collagen VI異常症2例でCOL6A3遺伝子変異を見いだした。
結論
全国調査の結果1881通の回答を得た。ウルリッヒ病の有病率は、100万人当たり4-8人程度であろうと推計された。ベスレムミオパチーはウルリッヒ病に比べてきわめて希と考えられた。今後は、確定診断例をさらに増加させるべく、collagen VI遺伝子診断サービスを定常的に提供していく必要性がある。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201024080C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ベスレムミオパチーは本邦では数例があるのみであり、極めて希であることが明らかとなった。類縁疾患のウルリッヒ病は希少疾病ではあるものの、先天性の筋疾患としては比較的頻度が高く、福山型先天性筋ジストロフィーの1/5程度の有病率であることが初めて明らかとなった。
臨床的観点からの成果
何れも希少疾病であり、疾患自体が知られていなかったが、今回の全国調査ならびに診断基準作成により、専門医に対する啓蒙効果があったと考えられる。特に、ウルリッヒ病が先天性の筋疾患としては比較的頻度が高く、福山型先天性筋ジストロフィーの1/5程度の有病率であることが初めて明らかとなったことは、当該疾患の患者を診る臨床医にとっても有益な情報である。
ガイドライン等の開発
これまで診断基準がなかったベスレムミオパチーならびにその類縁疾患であるウルリッヒ病について、診断基準を初めて作成した。臨床的特徴および病理学的特徴に加えて、COL6A1, COL6A2, COL6A3遺伝子変異に関する遺伝学的情報を重視するものとした。
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
5件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Mitsuhashi S, Ohkuma A, Talim B, et al.
A congenital muscular dystrophy with mitochondrial structural abnormalities caused by defective de novo phosphatidylcholine biosynthesis.
Am J Hum Genet. , 88 (6) , 845-851  (2011)
10.1016/j.ajhg.2011.05.010.
原著論文2
Fujita M, Mitsuhashi H, Isogai S, et al.
Filamin C plays an essential role in the maintenance of the structural integrity of cardiac and skeletal muscles, revealed by the medaka mutant zacro.
Dev Biol. , 361 (1) , 79-89  (2012)
10.1016/j.ydbio.2011.10.008.
原著論文3
Hattori A, Komaki H, Kawatani M, et al.
A novel mutation in the LMNA gene causes congenital muscular dystrophy with dropped head and brain involvement.
Neuromuscul Disord. , 22 (2) , 149-151  (2012)
10.1016/j.nmd.2011.08.009.
原著論文4
Keduka E, Hayashi YK, Shalaby S, et al.
In Vivo Characterization of Mutant Myotilins.
Am J Pathol. , 180 (4) , 1570-1580  (2012)
10.1016/j.ajpath.2011.12.040.
原著論文5
Yonekawa T, Komaki H, Okada M, et al.
Rapidly progressive scoliosis and repiratory deterioration in Ullrich congenital muscular dystrophy.
J Neurol Neurosurg Psychiatry. , 84 (9) , 982-988  (2012)
10.1136/jnnp-2012-304710

公開日・更新日

公開日
2014-05-22
更新日
2017-06-06

収支報告書

文献番号
201024080Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
19,500,000円
(2)補助金確定額
19,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 0円
間接経費 0円
合計 0円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
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