文献情報
文献番号
201024076A
報告書区分
総括
研究課題名
高カルシウム尿症と腎石灰化を伴う家族性低マグネシウム血症(FHHNC)の全国実態調査と診断指針作成
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-難治・一般-020
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
棚橋 祐典(旭川医科大学 医学部小児科)
研究分担者(所属機関)
- 田島 敏広(北海道大学大学院 医学研究科小児科)
- 佐々木 聡(北海道大学病院 小児科)
- 野々村 克也(北海道大学院 医学研究科腎泌尿器外科学 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本邦におけるはじめての高カルシウム尿症と腎石灰化を伴う家族性マグネシウム血症(FHHNC)に対する遺伝子解析を含めた全国規模の調査を行うことにある。
FHHNCは、腎尿細管(Henle上行脚)のマグネシウムおよびカルシウム再吸収障害により、腎石灰化を伴い、腎機能障害、末期腎不全に進行する難病である。本症はHenle上行脚のtight junctionにおけるCLDN16およびCLDN19蛋白の異常であることが明らかになっているが、気付かれず放置され、進行して腎石灰化、腎不全となり初めて診断されることが多い。本邦におけるFHHNCの実態が明らかにすることを目的とする。
FHHNCは、腎尿細管(Henle上行脚)のマグネシウムおよびカルシウム再吸収障害により、腎石灰化を伴い、腎機能障害、末期腎不全に進行する難病である。本症はHenle上行脚のtight junctionにおけるCLDN16およびCLDN19蛋白の異常であることが明らかになっているが、気付かれず放置され、進行して腎石灰化、腎不全となり初めて診断されることが多い。本邦におけるFHHNCの実態が明らかにすることを目的とする。
研究方法
全国の小児内分泌科専門医および小児腎臓病専門医、そして腎不全患者に関わっている小児泌尿器科医を対象として、一次調査表を送付した。計2,756名に一次調査票を送付し、FHHNCの診断症例あるいは疑診症例の把握を行った。症例に対して、臨床経過を調査する二次調査票を送付した。特に低マグネシウム血症の検索の有無、高カルシウム尿症、腎石灰化、腎機能障害の進行などについて検討する項目が含まれる。同時に症例および家族内の遺伝子変異の検索の有無を調査した。
結果と考察
一次調査は小児内分泌学会員(1,120名)、小児腎臓病学会員(1,022名)および小児泌尿器科学会員(614名)に送付した。その中で、現在までのところ、FHHNC症例として12例(家族発症例を含む)把握した。確定診断には至らない疑診例として報告されているものは17例(家族発症例を含む)あった。
FHHNC症例に対して、遺伝子解析が既になされている例は少なく、遺伝子解析対象はCLDN16のみであった。疑診例も少なくないことから症例の遺伝子解析はきわめて重要な意義を持つと考えられる。CLDN16のみならず、網羅的な病因遺伝子の探索が必要となると思われる。臨床データベースとの関連をみることにより、早期発見と早期治療に着手することが可能となるであろう。
FHHNC症例に対して、遺伝子解析が既になされている例は少なく、遺伝子解析対象はCLDN16のみであった。疑診例も少なくないことから症例の遺伝子解析はきわめて重要な意義を持つと考えられる。CLDN16のみならず、網羅的な病因遺伝子の探索が必要となると思われる。臨床データベースとの関連をみることにより、早期発見と早期治療に着手することが可能となるであろう。
結論
高カルシウム尿症と腎石灰化を伴う家族性マグネシウム血症(FHHNC)に対する本邦初の全国実態調査を行い、全国で20数例のFHHNC症例を見いだした。早期診断、治療指針を確立するためには、FHHNCの病型、予後を的確に把握するための遺伝子診断が重要である。
公開日・更新日
公開日
2011-12-27
更新日
-