脊髄性筋萎縮症の臨床実態の分析、遺伝子解析、治療法開発の研究

文献情報

文献番号
201024068A
報告書区分
総括
研究課題名
脊髄性筋萎縮症の臨床実態の分析、遺伝子解析、治療法開発の研究
課題番号
H22-難治・一般-012
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 加代子(東京女子医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中野 今治(自治医科大学 内科学講座 神経内科学部門)
  • 小牧 宏文(国立精神・神経医療研究センター 小児神経診療部)
  • 齊藤 利雄(国立病院機構刀根山病院 神経内科・小児神経内科)
  • 菅野 仁(東京女子医科大学 医学部)
  • 近藤 恵里(飯田 恵里)(東京女子医科大学 医学部)
  • 伊藤 万由里(東京女子医科大学 医学部)
  • 松尾 真理(東京女子医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脊髄性筋萎縮症(SMA)の臨床実態、病態、疾患の発生機序を明らかにして、治療法の開発の基盤を確立する。
研究方法
(1)臨床実態分析
(2)遺伝子解析
(3)装着型ロボット(HAL)の臨床応用
(4)根本治療法の開発
結果と考察
(1)臨床実態分析:データベースにより4都道府県の臨床調査個人票104件を集計した。発症年齢はI型<6カ月、II型<1歳6か月、III型<20歳、IV型≧20歳であった。92%は進行性、75%が緩徐進行性であった。遺伝子検査実施は33例(31%)だった。齊藤利雄班員は平成13-21年の長期入院130例で、平均年齢の上昇、呼吸・栄養管理の重症化を見出した。86施設、14例の脊椎外科治療アンケート調査により適応検討した。小牧宏文班員は骨格筋MRI解析でI,II型にSTIR像の著明な高信号を見出し、急激な脱神経による特異変化として診断的価値、治療効果判定に有用とした。中野今治班員・手塚修一研究協力者は、ALSまたはNMD302例でSMA診断基準を満たす94例を検討し、64例はALS、11例(12%)がSMAとして遺伝子解析を含む今後の解析対象とした。
(2) 遺伝子解析:斎藤加代子班員はMLPA法でSMN変異とコピー数解析を行い、患者、保因者の診断法を確立した。SMNコピー数の減少は複合ヘテロ接合を示唆した。齊藤利雄班員・西尾久英研究協力者はHigh-Resolution Melting解析(HRMA)による欠失、微小変異の同定法を確立した。
(3) HALの臨床応用:中島孝研究協力者はIII型男性でHAL装着、表面筋電図測定による効果評価システムを開発した。
(4)根本治療法の開発:齊藤利雄班員はバルプロ酸投与のSMN転写、スプライシングへの効果を認め、臨床効果評価法の必要性を確認した。野本明男研究協力者はポリオウイルスベクターを開発し遺伝子治療研究を開始した。秋澤叔香研究協力者は胎盤羊膜細胞が筋分化し、萎縮筋の再生医療ソースの検討をし、MYOD1導入により筋分化増強を明らかにした。
結論
SMAの臨床実態分析、遺伝子解析、HALの臨床応用、根本治療法開発としてバルプロ酸投与例の検討、ポリオウイルスベクター開発、胎盤羊膜細胞を用いた萎縮筋線維の再生治療可能性の検討を行い、成果を挙げた。次年度より新規遺伝子を次世代シークエンサーで解析、疾患モデルとしてiPS細胞作製を開始する。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024068Z