筋萎縮性側索硬化症の分子病態解明と新規治療法創出に関する研究

文献情報

文献番号
201024063A
報告書区分
総括
研究課題名
筋萎縮性側索硬化症の分子病態解明と新規治療法創出に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-007
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 成人((財)東京都医学研究機構 東京都精神医学総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 野中 隆((財)東京都医学研究機構 東京都精神医学総合研究所)
  • 亀谷 富由樹((財)東京都医学研究機構 東京都精神医学総合研究所)
  • 秋山 治彦((財)東京都医学研究機構 東京都精神医学総合研究所)
  • 新井 哲明( 筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
  • 細川 雅人((財)東京都医学研究機構 東京都精神医学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
筋萎縮性側索硬化症 (ALS) 及び前頭側頭葉変性症 (FTLD)患者脳に認められるタウ陰性ユビキチン陽性封入体の主要構成成分としてTDP-43が同定され、ALS患者に発症と連鎖するTDP-43の遺伝子変異が多数発見されている。本研究班では、ALS患者剖検脳脊髄に蓄積するTDP-43の詳細な解析から、TDP-43異常蓄積の分子機構に関する情報を得ると共に、患者脳脊髄の病態を再現する試験管内、細胞、動物モデルを構築し、ALSにおける分子病態形成機構と運動ニューロン変性機構を明らかにし、異常TDP-43を標的とした新しいALSの予防、診断、治療法を創出することを目標とする。
研究方法
ALS患者の中心前回、および脊髄、FTLD-U (type 1)患者の大脳皮質からサルコシル不溶性画分を調製し、pS409/410抗体にてイムノブロット解析を行った。蓄積TDP-43のプロテアーゼ耐性バンドを比較した。ヒト神経細胞株SH-SY5Yに、全長TDP-43、様々な部分欠損TDP-43を発現し、凝集体形成を観察すると共に、BrdU取り込み能を測定することにより細胞増殖能を評価した。種々の低分子化合物を添加し、TDP-43の凝集抑制を観察した。野生型、及び変異型TDP-43を発現するトランスジェニックマウスの作製を行った。
結果と考察
ALSとFTLD-U(type 1)例のイムノブロット解析から、C末端断片のバンドのパターンが疾患により異なることを確認した。またALSの3症例の剖検試料のリン酸化TDP-43のC末端断片のバンドパターンはいずれもtype 2のパターンを示し、脳と脊髄においてバンドパターンに違いは認められなかった。TDP-43C末断片を発現させ、凝集体形成を誘導した細胞において、BrdUの取り込み阻害が観察された。TDP-43の凝集を40~50%程度阻害する化合物を複数認めた。ヒトTDP-43野生型、及びG298S、M337V変異体を発現するトランスジェニックマウスの系統が樹立された。
結論
患者脳に蓄積するTDP-43の解析から、ALSとFTLD-Uにはそれぞれ特徴的な異常TDP-43が蓄積することが示された。培養細胞でTDP-43の凝集を再現するモデルが構築され、そのモデルを用いてTDP-43の凝集を抑制する低分子化合物の探索を行った。ヒトTDP-43を発現するトランスジェニックマウスが構築された。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024063Z