文献情報
文献番号
202521023A
報告書区分
総括
研究課題名
地域の人口構造、医療需要、医療資源と医療機関機能・病床機能等を踏まえた、アクセス可能・持続可能な医療提供体制構築のための政策研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25IA1002
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
今中 雄一(京都大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 猪飼 宏(京都府立医科大学 附属病院)
- 廣瀬 昌博(神戸大学 大学院医学研究科)
- 佐々木 典子(京都大学 大学院医学研究科)
- 國澤 進(京都大学 大学院医学研究科)
- 高田 大輔(同志社女子大学 生活科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
5,577,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
当研究は、国の「新たな地域医療構想」の策定と具現化に資するため、地域の人口構造、医療需要、および医療資源(人的資源・病床機能等)を多角的に把握し、アクセス可能かつ持続可能な医療提供体制を構築するための手法を提示することを目的とする。申請者らがこれまで培ってきたNDBやDPCデータなどの大規模データ解析の実績を基盤とし、GIS(地理情報システム)や統計的アプローチを活用することで、客観的指標ならびに「新たな地域医療構想策定ガイドライン」に直ちに実装可能な分析ツール・データセットを開発する。
研究方法
本研究は、以下の4項目を柱として実施した。
1. 分析指標および医療機関機能報告案の策定:従来の病床機能報告では不足している人的資源や救急・在宅対応力等を網羅するため、6カテゴリ(医療機能基盤、救急、在宅、機能別役割、人材確保、ICT・DX)からなる機能評価の項目案を策定した。
2. DPCデータ等を用いた疾患別実態分析:高齢者救急の代表的疾患(誤嚥性肺炎や尿路感染症等)に着目し、DPCデータを用いて病院群別の受入実態のばらつきを定量的に解析した。
3. GISを用いた医療アクセシビリティの可視化:京都府をモデルとし、国勢調査のグリッドデータと医療機関の位置情報を結合させ、自動車での到達時間距離に基づく医療アクセシビリティ(急性期医療、がんハイボリュームセンター等)を可視化・評価した。
4. 各種データによる地域医療の可視化:自治体のレセプトデータやDPCデータを用い、患者の居住地域に基づく入院医療の自己完結率や、臨床指標(脳梗塞の早期リハビリテーション実施割合等)の地域差を可視化した。ならびに社会経済要因や診療報酬改定、医師の働き方改革、学術活動が地域医療体制や診療の質に及ぼす影響の分析を行った。
1. 分析指標および医療機関機能報告案の策定:従来の病床機能報告では不足している人的資源や救急・在宅対応力等を網羅するため、6カテゴリ(医療機能基盤、救急、在宅、機能別役割、人材確保、ICT・DX)からなる機能評価の項目案を策定した。
2. DPCデータ等を用いた疾患別実態分析:高齢者救急の代表的疾患(誤嚥性肺炎や尿路感染症等)に着目し、DPCデータを用いて病院群別の受入実態のばらつきを定量的に解析した。
3. GISを用いた医療アクセシビリティの可視化:京都府をモデルとし、国勢調査のグリッドデータと医療機関の位置情報を結合させ、自動車での到達時間距離に基づく医療アクセシビリティ(急性期医療、がんハイボリュームセンター等)を可視化・評価した。
4. 各種データによる地域医療の可視化:自治体のレセプトデータやDPCデータを用い、患者の居住地域に基づく入院医療の自己完結率や、臨床指標(脳梗塞の早期リハビリテーション実施割合等)の地域差を可視化した。ならびに社会経済要因や診療報酬改定、医師の働き方改革、学術活動が地域医療体制や診療の質に及ぼす影響の分析を行った。
結果と考察
(1)医療機関機能の多角的な評価の必要性
新たな機能報告として6カテゴリの項目案を提示した。DPCデータ分析では、同一のDPC病院群内であっても誤嚥性肺炎の受入割合(MDC04内)が10%台から80%と極めて大きくばらつき、特定機能病院でも40%近い施設があることが判明した。これは、従来の病院群区分だけでは各医療機関の実際の役割(高齢者救急の受け皿としての機能等)を精緻に捉えきれないことを示唆しており、新たな指標による多角的評価の必要性を裏付けている。
(2)アクセシビリティに基づく資源配置の検討
京都府におけるGIS解析の結果、急性期病院への30分以内アクセスはおおむね確保されている一方、がん手術のハイボリュームセンターへは北部を中心に自動車で60〜120分を要する地域が存在することが特定された。高度専門医療へのアクセス格差が定量的に示されたことで、新たな地域医療構想においては、単なる病床数だけでなく「地理的な時間距離」を考慮したアクセスの公平性を議論することが重要である。
(3)EBPM(証拠に基づく政策立案)の推進に向けた可視化
患者住所に基づく疾患別の自己完結率をレーダーチャート等で示し、臨床指標の地域差を可視化することに成功した。これらと、提案した6カテゴリの指標案やGIS解析手法は、自治体が科学的根拠に基づいた地域医療計画を策定する際の具体的なツールとして有効であり、次年度以降の汎用化・実装への道筋が立った。
新たな機能報告として6カテゴリの項目案を提示した。DPCデータ分析では、同一のDPC病院群内であっても誤嚥性肺炎の受入割合(MDC04内)が10%台から80%と極めて大きくばらつき、特定機能病院でも40%近い施設があることが判明した。これは、従来の病院群区分だけでは各医療機関の実際の役割(高齢者救急の受け皿としての機能等)を精緻に捉えきれないことを示唆しており、新たな指標による多角的評価の必要性を裏付けている。
(2)アクセシビリティに基づく資源配置の検討
京都府におけるGIS解析の結果、急性期病院への30分以内アクセスはおおむね確保されている一方、がん手術のハイボリュームセンターへは北部を中心に自動車で60〜120分を要する地域が存在することが特定された。高度専門医療へのアクセス格差が定量的に示されたことで、新たな地域医療構想においては、単なる病床数だけでなく「地理的な時間距離」を考慮したアクセスの公平性を議論することが重要である。
(3)EBPM(証拠に基づく政策立案)の推進に向けた可視化
患者住所に基づく疾患別の自己完結率をレーダーチャート等で示し、臨床指標の地域差を可視化することに成功した。これらと、提案した6カテゴリの指標案やGIS解析手法は、自治体が科学的根拠に基づいた地域医療計画を策定する際の具体的なツールとして有効であり、次年度以降の汎用化・実装への道筋が立った。
結論
本研究により、医療機関機能の新たな評価枠組み(6カテゴリ案)を提示するとともに、高齢者救急の受入実態や高度医療へのアクセシビリティにおける顕著な地域差および施設差を定量的に明らかにした。また、各地域の医療完結率や臨床指標の地域差を可視化する手法を構築した。これらの成果は、厚生労働省が進める「新たな地域医療構想策定ガイドライン」において、地域の実情に応じた持続可能な医療提供体制を構築するための、極めて実効性の高いデータセットおよび解析手法として活用されるポテンシャルを有している。
公開日・更新日
公開日
2026-05-29
更新日
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