重症多形滲出性紅斑に関する調査研究

文献情報

文献番号
201024059A
報告書区分
総括
研究課題名
重症多形滲出性紅斑に関する調査研究
課題番号
H22-難治・一般-003
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
塩原 哲夫(杏林大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 橋本 公二(愛媛大学 大学院医学系研究科)
  • 飯島 正文(昭和大学 医学部)
  • 池澤 善郎(横浜市立大学 大学院医学研究科)
  • 森田 栄伸(島根大学 医学部)
  • 浅田 秀夫(奈良県立医科大学 医学部)
  • 椛島 健治(京都大学 大学院医学系研究科)
  • 小豆澤 宏明(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 橋爪 秀夫(浜松医科大学 医学部)
  • 永尾 圭介(慶應義塾大学 医学部)
  • 黒沢 美智子(順天堂大学 医学部)
  • 外園 千恵(京都府立医科大学 大学院医学系研究科)
  • 坪田 一男(慶應義塾大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
55,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重症多形滲出性紅斑は初期診断が難しいことから、早期に適切な治療がなされないために、経過中に臓器障害や回復後に後遺症をもたらす症例が多い。このような実態から病態の把握、診断基準の整備、治療法確立が必須である。本研究では1) 疫学実態調査の評価、2) Stevens-Johnson症候群(SJS)や中毒性表皮壊死症(TEN)、薬剤性過敏症症候群(DIHS)の診断基準再評価・臨床調査個人票の検討・治療指針の作成、3) 眼後遺症・多臓器障害の検索、4) 病態解明として遺伝的素因の解析・T細胞・形質細胞様樹状細胞の検討・ウイルス再活性化の検索、5) 本研究成果の諸外国への発信を目的とした。
研究方法
患者数の推定、原因薬の種類と頻度、眼病変と薬剤の関係、施行されている治療の問題点、死亡の誘因などの検索、SJS・TENの臨床調査個人票の再評価を2005-2007年間の疫学調査結果を用いて行った。多臓器障害については糖尿病学会と連携し劇症1型糖尿病の調査を進めた。病態の研究では遺伝子多型解析によるHLAの検索、SJS・TEN、DIHSにおける浸潤T細胞の解析、real-time PCRを用いたウイルス再活性化の検索を施行した。諸外国へ成果の発信を目的に、海外の研究者を招いた会議を主催した。
結果と考察
疫学調査によりSJSとTENの発症頻度が算出され、患者背景、原因薬剤の傾向、後遺症の実態などについて情報を得た。今後は、重篤化の因子の特定や治療の評価を行う。遺伝的背景に関するHLAの検索では、日本人の特定HLAと薬疹の関連を解明した。この結果は薬疹リスク保有者の発症回避へ直結すると考えられる。病態の研究では、病型の相違はウイルス感染やサイトカイン産生に起因すること、制御性T細胞・樹状細胞のウイルス再活性化への役割などが明らかになった。
結論
本研究の疫学調査で明確になった患者推計数・原因薬剤・後遺症などの実態は、早期に的確な治療の開始や眼科受診を推進する必要性があることを示唆している。遺伝学的研究で特定薬剤と薬疹発症の関係が解明され、この結果を薬疹回避への実際的な運用へ発展させる必要がある。ウイルス潜伏感染やサイトカイン産生、制御性T細胞・樹状細胞の研究結果は、重症薬疹への抗TNF-α製剤治療の可能性や創薬に直接に貢献すると考えられる。加えて、海外研究者との交流は、本研究成果の国際化への一歩を築いたといえる。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2012-02-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024059Z