文献情報
文献番号
202521018A
報告書区分
総括
研究課題名
HL7 FHIRを用いた汎用性の高い情報利活用の方法論の確立と実装に向けた課題整理と対応策の検討に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24IA1018
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 美保子(一般社団法人医療データ活用基盤整備機構)
研究分担者(所属機関)
- 上野 悟(国立保健医療科学院 保健医療情報政策研究センター)
- 込山 悠介(国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系)
- 讃岐 徹治(公立大学法人名古屋市立大学 大学院医学研究科 耳鼻咽喉・頭頸部外科)
- 池原 由美(琉球大学病院 臨床研究教育管理センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
4,150,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
HL7 FHIRの導入が、なかなか進まないことについては、技術的課題もあるが、我が国における病院情報システムの発展の経緯に伴うデータ利活用性の課題がある。あわせて医療情報標準に関してはこれまでも指摘されているとおり、医療機関への普及は極めて限定的であり、FHIR活用においてネックとなっている。
HL7 FHIRを採用することで様々な問題が解決されるわけではないことは明らかである。本研究では、医療機関および医療機関の間において効果的・効率的な医療データの利活用を可能にする仕組み等を構築するためには、どのような課題があり、どのようなアプローチが可能であるのか、汎用性の高い情報利活用の方法論の確立と実装に向けて、課題整理と対応策を検討することを目的とする。
HL7 FHIRを採用することで様々な問題が解決されるわけではないことは明らかである。本研究では、医療機関および医療機関の間において効果的・効率的な医療データの利活用を可能にする仕組み等を構築するためには、どのような課題があり、どのようなアプローチが可能であるのか、汎用性の高い情報利活用の方法論の確立と実装に向けて、課題整理と対応策を検討することを目的とする。
研究方法
1. 世界にみるHL7 FHIRの利用状況
海外の動向と日本の状況を比較として、HL7 Internationalによるアンケート調査報告を参考として検討した。
2. 共有すべき診療情報
米国相互運用性コアデータ(USCDI)を例として様々な目的に共通する臨床現場で必要な診療情報項目について考察する。
3. 診断病名と保険病名の課題と対応策
長年指摘されている我が国の「診断病名」と「保険病名」の乖離について米国との比較、FHIRで記述する場合のアブローチを検討する。
4. 臨床試験におけるCDISC標準の活用とFHIR
診療データを臨床研究に活用するための方法としてCDISCおよびFHIRとCDISCの関係を整理し、効率的、効果的なデータプロセスの方法を考察する。
5. 臨床データ二次利用のためのスキーマ間マッピング
スキーマ間のマッピングによるHL7 FHIRと臨床データ二次利用について考察する。
6. 臨床応用HL7 FHIR技術仕様の維持管理
診療情報活用のためのHL7 FHIR技術仕様(FHIR IG)の維持管理に係る方法について検討する。
7. 診療情報・標準・AI
医療データ利活用における「診療情報・標準・AI」のフレームワークを提案する。
海外の動向と日本の状況を比較として、HL7 Internationalによるアンケート調査報告を参考として検討した。
2. 共有すべき診療情報
米国相互運用性コアデータ(USCDI)を例として様々な目的に共通する臨床現場で必要な診療情報項目について考察する。
3. 診断病名と保険病名の課題と対応策
長年指摘されている我が国の「診断病名」と「保険病名」の乖離について米国との比較、FHIRで記述する場合のアブローチを検討する。
4. 臨床試験におけるCDISC標準の活用とFHIR
診療データを臨床研究に活用するための方法としてCDISCおよびFHIRとCDISCの関係を整理し、効率的、効果的なデータプロセスの方法を考察する。
5. 臨床データ二次利用のためのスキーマ間マッピング
スキーマ間のマッピングによるHL7 FHIRと臨床データ二次利用について考察する。
6. 臨床応用HL7 FHIR技術仕様の維持管理
診療情報活用のためのHL7 FHIR技術仕様(FHIR IG)の維持管理に係る方法について検討する。
7. 診療情報・標準・AI
医療データ利活用における「診療情報・標準・AI」のフレームワークを提案する。
結果と考察
HL7 Internationalによるアンケート調査結果(一部)にみるケアワークフローやヘルスケアアウトカムという切り口のFHIRのベネフィットは本質的である。FHIR採用に補助金などのインセンティブが働くとしても、本来の医療目的からくる動機がないならは医療の質向上につながる標準とは言い難い。医療動機に目を向ける必要がある。
米国の診療情報コア項目セットUSCDIの調査結果として重要なのは、USCDIは診療情報の共有が目的であって、HL7 FHIRは、その手段であることが明確な点である。本研究班では臨床家により国内における共通的に必要な診療情報ならびに、それを共有する方法を検討した。提案した結果は、診療効率や医療安全を損なうことなく研究利用可能な高品質データ取得を実現できる可能性が示唆された。また、診断病名と保険病名については、米国との比較検討のもと、掘り下げた分析・考察を行い、論点整理を行った。提示した今後の方向性は、時間をかけてでも日本が取り組くべきと考える。
臨床研究の観点からは、CDISCとFHIRのマッピングの方法ならびにRWDと臨床研究データの標準基盤連携は、研究データの長期的利活用を可能とする研究インフラ整備に直接的に繋がることを示した。
HL7 FHIRの医療応用では標準は必ず見直し更新が必要になる。臨床応用のFHIR記述仕様について維持更新のための管理方法・方針を提示した。新たに開発する場合に参考となれば幸いである。
医療情報の標準化は生成AIの力で、相当部分が進むと考えられる。そのことは標準が不要になるという意味ではない。AIによるデータ活用を行う上で標準が必要なのである。本研究の結果として診療記録へのAI応用、FHIRによる診療情報表現、標準用語・コードによる意味の記述について、フレームワークを纏めた。標準とAIは医療データ活用基盤の両輪である。
米国の診療情報コア項目セットUSCDIの調査結果として重要なのは、USCDIは診療情報の共有が目的であって、HL7 FHIRは、その手段であることが明確な点である。本研究班では臨床家により国内における共通的に必要な診療情報ならびに、それを共有する方法を検討した。提案した結果は、診療効率や医療安全を損なうことなく研究利用可能な高品質データ取得を実現できる可能性が示唆された。また、診断病名と保険病名については、米国との比較検討のもと、掘り下げた分析・考察を行い、論点整理を行った。提示した今後の方向性は、時間をかけてでも日本が取り組くべきと考える。
臨床研究の観点からは、CDISCとFHIRのマッピングの方法ならびにRWDと臨床研究データの標準基盤連携は、研究データの長期的利活用を可能とする研究インフラ整備に直接的に繋がることを示した。
HL7 FHIRの医療応用では標準は必ず見直し更新が必要になる。臨床応用のFHIR記述仕様について維持更新のための管理方法・方針を提示した。新たに開発する場合に参考となれば幸いである。
医療情報の標準化は生成AIの力で、相当部分が進むと考えられる。そのことは標準が不要になるという意味ではない。AIによるデータ活用を行う上で標準が必要なのである。本研究の結果として診療記録へのAI応用、FHIRによる診療情報表現、標準用語・コードによる意味の記述について、フレームワークを纏めた。標準とAIは医療データ活用基盤の両輪である。
結論
HL7 FHIRを用いた診療情報利活用に係る課題の整理と、対応策について、取り組んだ。海外と比較として、そもそものFHIR活用の医療現場の動機が、我が国では不明確である。臨床現場で求められる診療情報項目についてFHIRと関連も交えて提案した。継続的更新を前提に、大きな枠組みでの取り組みが必要である。共有が必須の診療情報で、我が国における「保険病名」と「診断病名」の乖離については臨床とFHIRの観点から掘り下げた分析を行い、具体的な方策を示した。また臨床応用のFHIR記述仕様は臨床ニーズに適うよう、更新・維持管理の一つの方法を提案した。最後に診療情報とFHIR、AIについてのフレームワークを提示した。
「臨床とFHIRと標準」という全体を要素分解してアプローチすることで、研究目的を達し得たと考える。
「臨床とFHIRと標準」という全体を要素分解してアプローチすることで、研究目的を達し得たと考える。
公開日・更新日
公開日
2026-06-15
更新日
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