ライソゾーム病(ファブリ病含む)に関する調査研究

文献情報

文献番号
201024058A
報告書区分
総括
研究課題名
ライソゾーム病(ファブリ病含む)に関する調査研究
課題番号
H22-難治・一般-002
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
衛藤 義勝(東京慈恵会医科大学 遺伝病研究講座)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 義之(国際医療福祉大学神経遺伝学)
  • 芳野 信(久留米大学医学部小児科学)
  • 田中 あけみ(大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学)
  • 島田 隆(日本医科大学生化学分子生物学講座)
  • 酒井 規夫(大阪大学大学院医学研究科小児科学)
  • 高橋 勉(秋田大学医学部生殖発達医学講座)
  • 高柳 正樹(千葉県こども病院小児科学)
  • 大野 耕策(鳥取大学医学部脳神経小児科学)
  • 辻 省次(東京大学大学院医学系研究科脳神経内科学)
  • 難波 栄二(鳥取大学生命機能研究支援センター)
  • 鈴木 康之(岐阜大学医学部医学教育開発研究センター)
  • 桜庭 均(明治薬科大学臨床遺伝学講座)
  • 北川 照男(財団法人東京都予防医学協会)
  • 奥山 虎之(国立成育医療センター臨床検査部)
  • 坪井 一哉(名古屋セントラル病院血液内科学)
  • 松田 純子(東海大学糖鎖科学研究所)
  • 加藤 俊一(東海大学医学部基盤診療学系再生医療科学)
  • 遠藤 文夫(熊本大学大学院生命科学研究部)
  • 下澤 伸行(岐阜大学生命科学総合研究支援センターゲノム分野)
  • 今中 常雄(富山大学大学院医学薬学研究部分子細胞機能学)
  • 小林 博司(東京慈恵会医科大学DNA医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
57,472,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の最終目的はライソゾーム病患者の予後、ADL(Activity of Daily Life)、QOL(quality of life)の改善にあり、この目的のため(1)病態把握のため実態調査(2)病態解析(3)新規治療開発を柱として相互関連的に研究を進める。
研究方法
(1)病態把握のため実態調査では血液ろ紙を用いた生化学的マススクリーニング、ポンペ病ADL調査が行われた。(2)病態解析ではGal-C, Sap-CダブルKOマウス作成、ペルオキシゾーム膜に局在するPex3pと分子シャペロンpex19pの解析、ペルオキシゾーム病の正確な確定診断法開発、ファブリ―病バイオマーカー、日本人ムコリピドーシスの分子病態などが検討された。(3)新規治療法開発では遺伝子治療、イソフラボン効果、シャペロン療法、骨髄移植成績の解析、iPSモデル細胞の作成が行われた。
結果と考察
(1)病態把握のため実態調査: ポンペ病ADL 調査では臨床的特徴として呼吸不全、筋力低下がADL低下の原因と考えられた。ポンペ病、ムコ多糖症I、II型のスクリーニングでいずれも正常、患者群の鑑別が容易であった。 (2)病態解析: Gal-C, Sap-CダブルKOマウスではGal-C単独欠損マウスよりも早期に死亡し脳に領域特異的な神経細胞死などが明らかになった。Pex3pとpex19pとの相互作用などが明らかにされ、ペルオキシゾーム病の正確な確定診断法としてガスクロマトグラフィの有用性、更にファブリ―病の有用なバイオマーカーとしてグロボトリアシルスフィンゴシン、日本人ムコリピドーシスのM6pレセプタの細胞内動向などが報告された。 (3)新規治療開発: 異染性白質変性、Krabbe病の遺伝子治療ではAAV、レンチウイルスベクターによりin vivoで効果が見られた。ムコ多糖III型に対するイソフラボン服用効果が得られ、シャペロンNOEV療法でも患者検体を用いて有意な結果が得られた。骨髄移植症例は2006年から登録を統合し一元管理する委員会が設置され遺伝性疾患ワーキンググループ内に先天代謝異常疾患の研究班が形成された。
結論
ライソゾーム病に対する臨床的予後、QOL/ADLの改善を目指して様々な研究が行われ、よりよい治療法の開発に繋がる重要な報告も多い。今後ますます精力的な調査・研究が必要と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024058Z