医療関係職種の養成教育における課題解決に資する研究

文献情報

文献番号
202521016A
報告書区分
総括
研究課題名
医療関係職種の養成教育における課題解決に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24IA1016
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
板橋 匠美(東京医療保健大学 総合研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
1,458,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療関係職種の養成教育の質は、将来提供される医療の安全性、信頼性および均てん性を支える基盤である。一方、現行の質保証制度では、大学における機関別認証評価、専修学校等における自己点検・評価や指定規則等の枠組みが存在するものの、各資格養成課程に固有の専門教育、臨床実習体制、教育改善の実効性等を十分に評価する仕組みは職種や養成区分により差がある。本研究では、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床検査技師、診療放射線技師、臨床工学技士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師を対象として、養成教育における質保証制度の実態を職種横断的に把握し、評価制度の法的位置付け、受審状況、評価内容、制度間の重複および未評価領域を明らかにすることを目的とした。
研究方法
各職種の代表者を調査担当者とし、機関別認証評価、分野別評価、第三者評価、関係法令、指定規則、ガイドライン等の一次資料を収集・整理した。総括研究において全職種共通の統一調査フォーマットを作成し、養成経路、評価制度の名称・実施機関・法的根拠、受審義務、評価周期、評価対象、結果公表、不適合時の対応、他制度との重複、未評価領域、受審負担等を整理した。さらに、リハビリテーション教育評価機構および柔道整復教育評価機構の資料も参照し、既存の第三者評価制度の実態を踏まえながら、職種横断的な定性的比較分析を行った。
結果と考察
現行制度には、大学と専修学校等の養成区分の違いに起因する質保証構造の非対称性、大学教育における専門教育評価の空白、任意の分野別評価導入時に生じる評価項目の重複、ならびに任意制度に依拠することによる受審回避と実効性の限界が認められた。大学では機関別認証評価が義務付けられているものの、その主眼は大学全体の組織運営、財務、内部質保証等に置かれ、臨床実習体制や指定規則相当の専門的教育要件を十分に評価しにくいことが示唆された。一方、専修学校等では指定規則やガイドラインが直接適用されるものの、第三者評価は努力義務または任意にとどまる場合があり、教育改善を要する施設ほど評価の枠組みから外れる可能性がある。また、専門教育の空白を補うために分野別評価を導入した場合でも、機関別認証評価と教育理念、教員組織、施設設備、内部質保証等の評価項目が重複し、受審負担の増加につながる構造が確認された。他方、リハビリテーション関連職種および柔道整復師養成教育の分野では、評価対象、評価基準、評価方法、結果公表または自己点検支援資料を備えた第三者評価の枠組みが整備されており、専門教育の質を可視化し、自己点検・自己評価と外部評価を接続する先行事例として位置付けられた。
結論
医療関係職種養成教育の質保証を実効的なものとするためには、既存制度を単に追加的に積み重ねるのではなく、大学全体の統治・運営を対象とする評価と、専門職養成としての教育内容・方法・成果を対象とする評価の役割分担を整理する必要がある。また、法令適合性の確認と教育の質向上支援との関係を明確にし、評価基準の策定、評価者養成、事務局運営等を含む持続可能な運営基盤を視野に入れた制度設計が求められる。本研究は、医療関係職種に共通する質保証上の論点を可視化し、今後の制度設計、関係法令の見直し、養成教育の質向上に向けた議論の基礎資料を提示した。

公開日・更新日

公開日
2026-06-18
更新日
-

文献情報

文献番号
202521016B
報告書区分
総合
研究課題名
医療関係職種の養成教育における課題解決に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24IA1016
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
板橋 匠美(東京医療保健大学 総合研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療関係職種の養成教育は、将来提供される医療の安全性、信頼性及び均てん性を支える基盤である。近年、医療需要の変化、チーム医療の推進、医療技術の高度化等を背景として、各職種に求められる知識・技能及び役割は変化しており、養成教育においても時代に即した教育方法と質保証の在り方が求められている。特に、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として遠隔授業が急速に導入された一方、医療関係職種では実技・実習、人体に触れる技術、装置操作、臨床判断等を含む教育が重要であり、遠隔授業を一律に導入することは教育の質の低下につながるおそれがある。また、教育の質保証についても、大学、短期大学、専修学校等の養成区分により適用される評価制度が異なり、専門教育の内容や臨床実習体制等を十分に評価する仕組みには課題が残されている。そこで本研究では、医療関係職種の養成教育に共通する課題である遠隔授業の在り方及び第三者評価を含む教育の質保証の在り方について、職種ごとの教育特性を踏まえつつ職種横断的に整理し、今後の制度検討に資する基礎資料を得ることを目的とした。
研究方法
令和6年度は、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師、診療放射線技師、臨床検査技師及び臨床工学技士の養成教育を対象として、遠隔授業の実施状況、授業形態、教育効果、課題、学習成果の評価方法、継続意向及び好事例等を把握するための実態調査を実施した。総括研究において共通調査票を作成し、各職種の分担研究において情報収集、集計、整理を行ったうえで、職種横断的に共通する内容と職種固有の内容を分析した。令和7年度は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、臨床検査技師、診療放射線技師、臨床工学技士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師を対象として、機関別認証評価、分野別評価、第三者評価、指定規則、ガイドライン等の関係を整理した。各職種の代表者が一次資料を収集し、統一調査フォーマットに基づき、評価制度の法的位置付け、受審状況、評価内容、制度間の重複、未評価領域等を比較分析した。
結果と考察
令和6年度の調査では、遠隔授業は講義系科目、基礎知識の定着、復習、反復学習、補講、他施設との講義共有等において一定の有効性を有することが示された。一方で、実技・実習、人体に触れる技術、装置操作、臨床判断、態度形成等を十分に代替するものではなく、職種ごとの教育内容や実技・実習の比重に応じ、対面教育を補完する手法として活用する必要があることが明らかとなった。したがって、遠隔授業は対面授業の単純な代替ではなく、教育内容、到達目標、学修評価の方法を踏まえて戦略的に組み合わせることが重要であると考えられた。
令和7年度の調査では、質保証制度に関して、大学と専修学校等の養成区分による制度構造の差異、大学教育における職種固有の専門教育評価の空白、機関別認証評価と分野別評価等との評価項目の重複、任意制度に依拠することによる受審回避と実効性の限界が確認された。特に、既存制度を単純に積み重ねるだけでは、受審負担の増大や評価の重複を招く一方、真に評価すべき専門教育の内容が十分に担保されない可能性がある。そのため、制度間の役割分担を明確化し、法令適合性の確認と教育の質向上支援を両立させる仕組みが必要であると考えられた。
結論
本研究により、医療関係職種の養成教育において、遠隔授業は教育内容に応じて補完的・戦略的に活用することで有効性を発揮し得る一方、実技・実習や臨床的判断、態度形成等を伴う教育については対面教育を基本とする必要があることが示された。また、教育の質保証については、機関別認証評価、分野別評価、第三者評価、指定規則及びガイドライン等の関係を整理し、職種固有の専門教育を適切に評価できる仕組みを整備する必要がある。今後は、各職種の教育特性を踏まえつつ、評価制度間の重複を避け、実効性と持続可能性を備えた質保証体系を構築することが求められる。本研究の成果は、医療関係職種養成教育の教育方法の改善、質保証制度の実効性向上及び今後の厚生労働行政における施策検討に資する基礎資料となるものである。

公開日・更新日

公開日
2026-06-18
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-06-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202521016C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医療関係職種の養成教育に共通する課題として、遠隔授業の適切な活用と第三者評価を含む質保証制度を職種横断的に整理した。教育内容・実技実習の比重に応じた遠隔授業の位置付け、養成区分による評価制度の差異、専門教育評価の空白等を明らかにし、職種固有性と共通課題を同時に捉える医療職養成教育研究の基礎的知見を提示した。
臨床的観点からの成果
本研究は直接の診断・治療技術を対象とするものではないが、医療関係職種の養成教育の質向上を通じ、将来の医療安全、専門職の実践能力、臨床実習の質の確保に資する成果である。遠隔授業で補完可能な教育と対面を要する教育を整理したことにより、臨床現場で必要な知識・技能・態度を備えた人材養成と、医療提供体制の信頼性向上への貢献が期待される。
ガイドライン等の開発
本研究では、直接の診療ガイドラインは作成していないが、令和7年度成果として「医療関係職種養成教育における質保証の在り方と向上に関する提言」を作成した。審議会等での具体的な活用実績は現時点ではないが、今後、指定規則、ガイドライン、第三者評価制度等の見直しを検討する際の参考資料となることが期待される。
その他行政的観点からの成果
本研究により、遠隔授業の活用範囲、教育の質保証制度、機関別認証評価・分野別評価・第三者評価の役割分担に関する課題を整理した。成果は、厚生労働省が所管する医療関係職種の養成教育に係る制度見直し、通知・ガイドライン改正、第三者評価の制度設計等を検討する際の基礎資料として活用可能であり、教育の質向上に資する。
その他のインパクト
本研究に関する特許、実用新案等の出願・取得はない。研究成果は総合研究報告書、令和6年度及び令和7年度報告書として取りまとめ、関係団体、養成施設、行政関係者が参照可能な形で整理した。また、一部成果は柔道整復接骨医学等の学術論文として公表されており、医療関係職種養成教育における質保証の議論への波及が期待される。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2026-06-18
更新日
-

収支報告書

文献番号
202521016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,881,000円
(2)補助金確定額
1,541,124円
差引額 [(1)-(2)]
339,876円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 584,421円
人件費・謝金 10,000円
旅費 341,934円
その他 181,769円
間接経費 423,000円
合計 1,541,124円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2026-06-18
更新日
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