医師養成過程を通じた医師偏在対策の検証のための研究

文献情報

文献番号
202521015A
報告書区分
総括
研究課題名
医師養成過程を通じた医師偏在対策の検証のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24IA1015
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
小池 創一(自治医科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 今中 雄一(京都大学 大学院医学研究科)
  • 松本 正俊(広島大学医学部)
  • 山本 祐(自治医科大学 地域医療学センター総合診療部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
1,458,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 医師の偏在是正に向けては、医学部定員・地域枠、臨床研修、専門研修等、医師養成過程を通じた偏在対策が中心となってきた。これは、医師の診療科選択の時期や、医師の地理的な移動はキャリアの初期段階においてより多く発生するといった、医師のキャリアパスに着目した施策であり、その評価は引き続き重要な政策課題であると考えられる。
 一方、我が国の人口構成をみると、地域ごとに急激に変化する中で、将来にわたり地域で必要な医療提供体制を確保し、適切な医療サービスを提供するためにはこれまで以上に実効性のある総合的な医師偏在対策の推進が求められていると考えられる。このため国は令和6年12月25日に「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」を公表し、医師確保計画の実効性の確保、地域偏在対策における経済的インセンティブ、地域の医療機関の支えあいの仕組み等も含めた総合的な対策パッケージを提示するなど、対策を本格化している。
 本研究の目的は、医師養成過程および関連する偏在対策に焦点を当て、その効果や運用状況について分析を行い、今後の医師偏在対策の検討に活用できる知見を得ることにある。
研究方法
 本研究では、医師養成過程を通じた偏在対策の検証のための研究、手術に要する外科医数と時間で調整した手術負荷量指標の開発:日本における横断的な地域研究、早期キャリアにおける医師少数区域での研修の期間およびタイミングとその後の従事に関する研究、臨床研修修了者アンケートを用いた美容外科進路希望の関連要因の検討を実施した。
結果と考察
(1)医師養成過程を通じた偏在対策の検証のための研究
若手医師の出身大学別診療科選択状況、卒業大学別勤務都道府県及び都道府県別の勤務医師数、開業した医師の診療科構成の変化及び開業都道府県の特性等を明らかにした。本研究を通じ、医師の診療科別・地域別偏在の是正に向け、大学別の特性の分析や、医師養成の初期段階のみならず、開業といった医師のキャリアの中の大きな転換点に着目した対策の必要性を示唆する情報を得られた。
(2)手術に要する外科医数と時間で調整した手術負荷量指標の開発:日本における横断的な地域研究
時間調整手術量は、非大都市部が高く、大都市部が低い傾向を示していること、外科医減による時間調整手術量の増加は非都市部で著しく、非大都市部では外科医が一人減ることで、残った外科医の負担がより大きく増加する可能性を明らかにした。新規の指標である時間調整手術量は単なる件数ではなく、手術に要する時間と外科医人数を考慮したもので、外科医一人当たりの手術の負荷を表す指標として、より妥当な地域間比較が可能となったと考えられる。
(3)早期キャリアにおける医師少数区域での研修の期間およびタイミングとその後の従事に関する研究
医師少数区域での研修累積年数が多いほど、医籍登録後8年目に医師少数区域で従事する割合は高まる傾向があること等を明らかにするとともに、より後期に医師少数区域で研修する方がその後の医師少数区域従事と強い関連を認めた。これらの結果から、医師偏在対策において、医師少数区域での研修の期間およびそのタイミングを考慮したアプローチが有用である可能性が示唆された。
(4) 臨床研修修了者アンケートを用いた美容外科進路希望の関連要因の検討
臨床研修修了時点での将来の美容外科希望が、給与動機、学位取得希望の低さ、形成外科/美容外科ローテーション期間の長さと関連することを示した。これら関連は、臨床研修修了直後であるか専門研修後であるかを問わず、将来美容外科を希望する者が共通の動機・属性プロファイルを有することが示唆された。一方、地域枠採用の効果は経路により異なっていた。今後は、追跡調査による進路希望と実際の選択との一致度の検証、および本研究で測定されなかった社会経済学的要因の探索が課題であると考えられた。
結論
 本年度実施した医師養成過程を通じた偏在対策の検証のための研究、手術に要する外科医数と時間で調整した手術負荷量指標の開発:日本における横断的な地域研究、早期キャリアにおける医師少数区域での研修の期間およびタイミングとその後の従事に関する研究、臨床研修修了者アンケートを用いた美容外科進路希望の関連要因の検討から、今後の医師偏在対策の検討に活用できる可能性があるさまざまな知見を得ることができたと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2026-06-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-06-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
202521015Z