重症拡張型心筋症へのbridge-to-transplantation/recoveryを目指した新規治療法の開発と実践

文献情報

文献番号
201024055A
報告書区分
総括
研究課題名
重症拡張型心筋症へのbridge-to-transplantation/recoveryを目指した新規治療法の開発と実践
課題番号
H21-難治・一般-219
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
澤 芳樹(大阪大学 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 宮川 繁(大阪大学 医学系研究科)
  • 市川 肇(国立循環器病研究センター 小児心臓外科)
  • 松山 晃文(大阪大学 医学部附属病院)
  • 川真田 伸(先端医療振興財団 再生医療基盤研究グループ)
  • 大門 貴志(兵庫医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
430,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 難治性の拡張型心筋症の治療において、これまでの補助人工心臓(LVAD)より心臓移植への橋渡し治療のみでは、限界があるのが現状である。この限界を克服するために、本研究では、筋芽細胞シートの臨床応用の継続を行い、最終的には、その効果の検討と、保険医療化を目的とする。
研究方法
植え込み型定常流LVADを装着した拡張型心筋症患者、および装着していない患者に対して、筋芽細胞シート移植を行い、細胞シートによるLVADよりの"Bridge to Recovery"を目指す。  筋芽細胞シートの次世代移植法の開発を行った。ヒト脂肪組織由来間葉系幹細胞を採取し、DMSOにて心筋系細胞への分化誘導を行い、これらの細胞をシート状にして、ブタ慢性期心筋梗塞モデルに移植し、その臨床的効果を検討した。本心筋芽細胞移植の臨床研究にむけ、大量・安全・安定的なGMP対応細胞培養技術を開発し、その品質の解析を行った。安全性及び有効性評価の観点からの心筋芽細胞移植研究における目標症例数の根拠づけ、及び安全性の観点からの最適移植手順又は最適移植細胞数のBayes流逐次推定法の開発を行う。
結果と考察
筋芽細胞シートを4名のLVAD装着患者に安全に移植した。全例において、安全に、有害事象を認めず、筋芽細胞シート移植が可能であった。移植した4例のうち、3例において、心機能の向上効果を認め、うち2例は完全に人工心臓より離脱し、現在、自宅療養中である。LVADを装着していない心不全患者6例に対して、筋芽細胞シートを移植し、様々な臨床効果を認めた。
前臨床試験として、脂肪由来間葉系幹細胞より分化誘導された心筋芽細胞を用いて、心筋芽細胞シートを作成し、ブタ慢性期梗塞モデルに移植した。本細胞シートは梗塞心に生着し、超音波にて機能を解析したところ、コントロール群と比較し、心機能向上を認めた。
臨床現場で筋芽細胞シートもしくは心筋芽細胞移植を行った際のデータ管理の基盤を整備するとともに,実施可能性,安全性,有効性に関する適切な生物統計学的評価のための方法論を開発した.
結論
本プロジェクトにより、細胞シート治療の安全性、可能性が示されるとともに、新しい植え込み型定常流LVADと細胞シートを用いた新しい心不全治療の可能性が示された。今後、心筋芽細胞シートの臨床応用を目指し、さらに治療効果を高める方法を模索する予定であり、品質を担保された心筋芽細胞の臨床応用も今後検討する予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024055Z