疾患特異的iPS細胞を用いた難治性疾患の画期的診断・治療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201024052A
報告書区分
総括
研究課題名
疾患特異的iPS細胞を用いた難治性疾患の画期的診断・治療法の開発に関する研究
課題番号
H21-難治・一般-216
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
中畑 龍俊(京都大学 iPS細胞研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 斎藤 潤(京都大学 iPS細胞研究所 )
  • 高橋 和利(京都大学 iPS細胞研究所 )
  • 高橋 政代(理化学研究所 発生再生科学総合研究センター)
  • 高橋 淳(京都大学 再生医科学研究所)
  • 戸口田 淳也(京都大学 再生医科学研究所)
  • 高橋 良輔(京都大学大学院医学研究科 脳病態生理学講座)
  • 井上 治久(京都大学 iPS細胞研究所 )
  • 長船 健二(京都大学 iPS細胞研究所)
  • 平家 俊男(京都大学大学院医学研究科 発達小児科学)
  • 中西 淳(武田薬品工業医薬研究本部開拓研究所)
  • 浅香 勲(京都大学 iPS細胞研究所 )
  • 三嶋 理晃(京都大学大学院医学研究科 呼吸器内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
385,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性疾患克服研究事業の対象となっている疾患はいずれも患者数が少なく研究が進みにくいことから、新たな画期的な診断、治療法の開発が求められている。
2007年に研究分担者の高橋和利、山中伸弥により報告されたヒト多能性幹細胞(iPS細胞)は患者を含む特定の個人由来の多能性幹細胞として樹立できる点で画期的であり、患者から樹立されたiPS細胞(疾患特異的iPS細胞)を用いた難治性疾患の病態解析、創薬、治療法開発が期待される。
本研究の目的は、疾患特異的iPS細胞を用いて難治性疾患の病因、病態の解明、新たな治療の開発を目指すと共にiPS細胞から各疾患で傷害されている各臓器の細胞に分化させる方法を共有化して班員以外の研究者や企業に提供し、我が国における研究基盤を確立することである。
研究方法
おおよそ30-50疾患の200以上の疾患特異的iPS細胞株を用いた解析を目標とする。京都大学や他施設と連携して、疾患関連iPS細胞樹立に必要な患者由来組織を集積する。iPS細胞は標準化を行い、適切なクローンを選別する。種々の細胞への分化系は確立されているが、さらに効率及び安全性を向上させる。これら疾患特異的iPS細胞を用いて、病態解析・創薬スクリーニングなどを行う。製薬会社と連携して創薬へのiPS細胞の応用を進める。
結果と考察
<疾患iPS細胞作成>様々な難治性疾患患者80例以上から皮膚線維芽細胞を樹立し、iPS細胞のソースとした。
<分化系の構築>網膜色素上皮細胞、ドパミン神経細胞、運動ニューロン、骨格筋細胞、好中球、気道上皮細胞などの分化系・培養系の構築や最適化を行った。
<疾患解析>CINCA症候群、網膜色素変性症、ALS、多発性嚢胞腎などの患者由来のiPS細胞を用いて、分化した細胞の機能解析を行い、新たな生物学的・病理学的特徴を明らかにした。
<iPS細胞の標準化>自己の線維芽細胞をフィーダー細胞として利用する技術を確立した。
結論
本年度は、分担研究者がそれぞれ課題に取り組み、疾患患者80例以上から皮膚線維芽細胞を樹立し、iPS細胞のソースとした。来年度は、疾患解析・創薬に向けた研究を加速し、引き続き病気に苦しむ患者さんの診断・治療に貢献できる成果を求めてゆきたい。

公開日・更新日

公開日
2011-12-27
更新日
-

収支報告書

文献番号
201024052Z