医師確保計画の効果的な推進に向けた政策研究

文献情報

文献番号
202521007A
報告書区分
総括
研究課題名
医師確保計画の効果的な推進に向けた政策研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24IA1007
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
小池 創一(自治医科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 正俊(広島大学医学部)
  • 片岡 仁美(臼井 仁美)(京都大学医学研究科医学教育・国際化推進センター)
  • 岡崎 研太郎(国立大学法人九州大学・大学院医学研究院地域医療教育ユニット)
  • 小谷 和彦(自治医科大学 地域医療学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
1,330,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医師確保計画は、地域・診療科における医師の偏在対策として、平成30年に成立した「医療法及び医師法の一部を改正する法律」に基づき、各都道府県が医療計画の一部として策定するものである。各都道府県は、現在、医師確保計画としては2期目となる第8次(前期)医師確保計画に基づき、三次医療圏間及び二次医療圏間の偏在是正に向けた取組を進めている。本研究の目的は、都道府県における医師確保計画の現状と課題を明らかにすることにある。
研究方法
 本年度は、都道府県における医師確保計画の現状と課題を明らかにするために、昨年度実施した医師確保計画の効果的な推進に関する調査の詳細な分析を行うとともに、追加ヒアリングを実施した。また、無医地区の設定状況との比較に着目して第8次医療計画における医師少数スポットの検討を行った。
結果と考察
(1)医師確保計画の効果的な推進に関する調査
 令和7(2025)年5月31日までに得られた38都道府県(回収率 38/47=80.1%) )に関する質問紙調査の集計結果及び令和7年度に実施したヒアリング調査によって得られた所見から、各都道府県が実施している医師確保に向けた取組、地域枠等医師の進路選択の状況、地域枠等医師の配置調整について、医師確保計画策定ガイドラインの改定の影響について、 医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージについて、都道府県の現状と課題を把握することができた。本研究は、都道府県の医師確保計画担当部署を対象とした質問紙調査であり、ある程度の主観が入る可能性がある点がある。また、すべての都道府県から回答が得られたわけでないため、回答に偏りがある可能性が否定できない。しかしながら、これらの限界を踏まえつつ、結果の解釈を行うことは、医師確保計画の現状や都道府県のとらえ方について明らかにする上で有意義であると考えらえる。
(2) 第8次医療計画における医師少数スポットの検討:無医地区の設定状況との比較
 医師少数スポットと無医地区の基本属性および両者の関係(地理的重なり)とその遷移を調査した。両者の基本属性(人口、面積、人口密度、都道府県庁からの道路距離)は異なっており、両者は制度上異なる目的と役割を有する概念であることを確認した。医師少数スポットと無医地区との関係においては、両者が異なる地域に設定されている割合(パターンD)が最も多かった。無医地区に対しては、へき地医療拠点病院による巡回診療などの支援が行われる一方で、医師少数スポットに対しては、地域枠医師の派遣や医師多数地域からの医師派遣といった施策が講じられているおり、地域特性に応じた医療提供体制の構築が図られていると考えられる。一方、第7次医療計画時と比較して、第8次医療計画では、医師少数スポットが無医地区を包含する分類(パターンA)が有意に増加していた。医師確保計画策定ガイドラインの変更により、第8次医療計画では市区町村単位で医師少数スポットを設定することが推奨された影響が考えられる。実際に、市区町村単位で設定された医師少数スポットは、107地区(第7次医療計画)から132地区(第8次医療計画)へと増加しており、新たに医師少数スポットに指定された市区町村(平均面積216km2)内に、従来から存在していた無医地区 (平均面積:50.3km2)が内包された可能性がある。このような場合には、都道府県と市区町村との対話が進み、例えば、従来の医療機関(へき地医療拠点病院など)の機能強化を図ることなどにより、地域の医療ニーズに対応できるようになる可能性もある。その実態についてフォローしてゆくことが重要と考えられる。
結論
本研究を通じて、一定の限界はあるにしても、医師確保計画の現状や都道府県が抱える課題を明らかにすることができたと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2026-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-06-23
更新日
-

文献情報

文献番号
202521007B
報告書区分
総合
研究課題名
医師確保計画の効果的な推進に向けた政策研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24IA1007
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
小池 創一(自治医科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 岡崎 研太郎(国立大学法人九州大学・大学院医学研究院地域医療教育ユニット)
  • 片岡 仁美(臼井 仁美)(京都大学医学研究科 医学教育・国際化推進センター)
  • 小谷 和彦(自治医科大学 地域医療学センター)
  • 松本 正俊(広島大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 医師偏在は、地域間・診療科間で課題として認識されながらも解消されていない重要な医療政策上の課題である。医師数の増加のみでは地域や診療科といったミクロでの医師不足の解消にはつながらないため、医師偏在是正のための対策が問題の解決に向けて重要となる。厚生労働省は、令和6年12月25日に「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」を公表するなど対策を強化してきている。
 本研究の目的は、都道府県が医療計画の一部として定める医師確保計画、医師確保計画の現状と都道府県の課題を明らかにし、令和9年度から始まる第3期(第8次(後期))医師確保計画策定ガイドラインの改定に向けた科学的根拠を提供することにある。
研究方法
 都道府県における医師確保計画の現状と課題を明らかにするため、都道府県への質問紙調査である医師確保計画の効果的な推進に関する調査(令和6年度)及びヒアリング(令和7年度)を実施するとともに、医師少数スポットに関して、医師確保計画にどのように記載されているかの分析(令和6年度)や無医地区の設定状況との比較に着目した検討(令和7年度)を行った。
結果と考察
(1)医師確保計画の効果的な推進に関する調査
 医師確保計画の効果的な推進に関する調査からは、医師確保において、都道府県からの情報提供への何らかの反応があれば、その後の道筋にある程度見通しが立つという結果が得られ、情報を適切な者に適切な形で届けることの重要性を示す所見の可能性が再確認された。また地域枠等卒業医師の派遣先調整において、県の意向より大学(医局)の意向が近年より強まっている可能性が示唆された。県と大学が地域医療提供体制について同じ方向を向くことが重要であり、新たな地域医療構想の議論や特定機能病院にあり方に関する議論の中で、大学と地域の連係強化を目指すことの重要性が改めて示唆されたと考えられる。医師偏在指標や医師少数スポットの定義が変更になった影響はそれほど大きなものではないが、医師偏在指標については様々な意見が出されており、国と都道府県のより丁寧な対話・意思疎通の必要性が示唆された。本研究にはいくつかの限界があるが、それらを踏まえつつ、結果の解釈を行うことは医師確保計画の現状や都道府県のとらえ方について明らかにする上で有意義であると考えられる。
(2)医師少数スポットに関する検討
 第8次医療計画では、第7次医療計画と比較し、設定された医師少数スポットならびにこれらを設定している都道府県も増加していた。これは医師少数スポットを医師確保策として活用する動きを表していると推察する。今後、どのような設定が医師確保策に有効か見守る必要がある。医師少数スポットと無医地区の基本属性(人口、面積、人口密度、都道府県庁からの道路距離)は異なり、両者は制度上異なる目的と役割を有する概念であることを確認した。各都道府県の医師少数スポットと無医地区は、互いに異なる地域に設定されている割合が最も多い。それぞれの特性に応じた支援策を講じるなど、従来の枠組みに基づく対応の維持・強化が重要である。一方で、医師少数スポットが無医地区を包含する分類の割合(パターンA)は第8次医療計画時に増加していた。医師少数スポットを市区町村単位で設定することが推奨されたことがその要因の一部として推察される。このような重複地域においては、統合した医療提供体制の協議が行われやすい可能性がある。
結論
 本研究を通じて、一定の限界はあるが、医師確保計画の現状や都道府県が抱える課題を明らかにすることができた。
 医師確保計画の効果的な推進に関する調査からは、地域枠卒業医師も今後、義務年限を終える者も増える中、医師確保と地域・診療科双方の偏在是正を進め、持続可能な地域医療提供体制を維持することができるような施策の展開が求められていることが明らかになった。
 医師少数スポットに関する検討からは、医師少数スポットを設定している都道府県数・少数スポット数のいずれも増加しており、都道府県が医師少数スポットを医師確保策として活用する動きを表していると推察された。医師少数スポットと無医地区は、互いに異なる地域に設定されている割合が最も多いことを明らかとし、それぞれの特性に応じた支援策を講じるなど、従来の枠組みに基づく対応の維持・強化が重要であること、医師少数スポットが無医地区を包含する地域においては、統合した医療提供体制の協議が行われやすい可能性もあり、実態をフォローすることの重要性を明らかにしたと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2026-06-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202521007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
都道府県が医療計画の一部として定める医師確保計画の現状や都道府県が抱える課題を行政資料の分析、質問紙調査、ヒアリングにより明らかにすることができたことは専門的・学術的な意義があったと考えらえる。
臨床的観点からの成果
特記事項無し
ガイドライン等の開発
今後、国が医師確保計画策定ガイドラインを改定する際に参考にされることが期待されている。
その他行政的観点からの成果
医師確保計画にとどまらず、地域における効率的な医療提供体制の構築に向けた基礎資料としての活用が期待される。
その他のインパクト
特記事項無し

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
中村 晃久,寺裏 寛之,小谷 和彦,小池 創一
第8次医療計画における医師少数スポットに関する研究–第7次計画との比較-
厚生の指標 , 73 (4) , 24-29  (2026)

公開日・更新日

公開日
2026-06-23
更新日
-

収支報告書

文献番号
202521007Z