医療安全対策の普及と実装に向けた研究

文献情報

文献番号
202521006A
報告書区分
総括
研究課題名
医療安全対策の普及と実装に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24IA1005
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
長尾 能雅(国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学医学部附属病院 患者安全推進部)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 和美(群馬大学 大学院医学系研究科 医療の質・安全学)
  • 志水 太郎(獨協医科大学 総合診療医学)
  • 寺井 美峰子(公益財団法人田附興風会 医学研究所 保険・健康研究部)
  • 舟越 亮寛(亀田医療大学 総合研究所)
  • 近本 亮(熊本大学 医療の質・安全管理部)
  • 菊地 龍明(横浜市立大学 附属病院 医療安全管理部)
  • 大野 和子(京都医療科学大学 医療科学部)
  • 藤谷 茂樹(聖マリアンナ医科大学 医学部 救急医学)
  • 荒井 有美(北里大学病院 医療安全推進室)
  • 松村 泰志(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
  • 松村 由美(京都大学医学部附属病院  医療安全管理部)
  • 梅村 朋(名古屋大学 医学部附属病院)
  • 植村 政和(名古屋大学医学部附属病院 患者安全推進部)
  • 青木 拓也(東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 臨床疫学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,247,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 20世紀末以降、患者安全の確保は世界的課題となり、多くの対策が提唱されてきた。しかし、日本では医療事故情報収集等事業や医療事故調査制度等から多数の提言が発信されているにもかかわらず、その実装状況や有効性は十分に把握されていない。また、重点的に取り組むべき安全対策の明確化や、それらを推進する専門的人材の育成も課題となっている。
 本研究では、全国の医療機関における科学的根拠に基づく安全対策の実装を推進することを目的として、①医療安全対策の実施率測定と具体的な実装戦略の策定、②医療安全対策の実装を担う人材養成プログラムの改良と教育、の2項目に取り組んだ。
研究方法
 患者安全対策の実装状況を把握するため、全国の病院を対象としたアンケート調査を実施した。各国政府機関および第三者認証機関が推奨する安全対策を整理し、優先度の高い対策について実装状況を評価した。また、調査結果や専門家の議論を基に、日本において優先的に推進すべき安全対策を整理し、日本版患者安全目標(Japan Patient Safety Goals:JPSG)を策定した。
 さらに、過去の厚生労働科学研究で実施してきた医師・歯科医師を対象とする最高質安全責任者(Chief Quality and Safety Officer:CQSO)養成プログラムを改良し、医療安全対策の実装を担う医師の育成を行った。
結果と考察
 全国病院アンケートでは、全病院を対象として調査を実施し、20.6%の病院から回答を得た。推奨される方法による実装率は、患者確認対策35.4%、手術安全対策54.5%、投薬安全対策22.9%、転倒転落対策87.3%であった。これらの結果から、推奨される安全対策と実際の実装状況との間に大きな乖離が存在することが明らかとなった。
 また、各国の推奨事項や専門家の意見を踏まえ、日本初の患者安全目標としてJPSGを策定した。JPSGは、①患者誤認防止、②パニック値伝達、③ハイアラート薬管理、④手術開始前の安全確保、の4領域で構成され、今後の重点的な安全対策推進の指針となることが期待される。
 人材育成では、改良したCQSOプログラムにより第6期生5名を養成し、第7期生10名の養成を開始した。医師の安全管理者の育成は、医療機関における患者安全体制の維持・向上に不可欠であり、本事業は専門人材育成に加え、修了生同士のネットワーク形成や継続的な学習機会の提供という点でも重要な意義を有する。
結論
 本研究により、全国の医療機関における患者安全対策の実装状況を定量的に把握し、安全対策の実装と実践の間に課題が存在することを明らかにした。また、その結果を踏まえ、日本初の患者安全目標(JPSG)を策定した。さらに、CQSO養成プログラムの改良と継続的な人材育成を実施し、患者安全を推進する基盤整備を進めた。今後は、JPSGの普及・定着と、実装を支える高度専門人材の育成を一体的かつ戦略的に推進し、患者安全のさらなる向上を目指す必要がある。

公開日・更新日

公開日
2026-06-30
更新日
2026-09-01

文献情報

文献番号
202521006B
報告書区分
総合
研究課題名
医療安全対策の普及と実装に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24IA1005
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
長尾 能雅(国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学医学部附属病院 患者安全推進部)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
202521006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究により、全国の医療機関における患者安全対策の実装状況を定量的に把握し、安全対策の実装と実践の間に課題が存在することを明らかにした。また、その結果を踏まえ、日本初の患者安全目標(JPSGs)を策定した。さらに、最高質安全責任者(CQSO)養成プログラムの改良と継続的な医師人材育成を実施し、医療安全対策を推進する基盤整備を進めた。
臨床的観点からの成果
日本で患者安全が始まって25年が経過したが、実際の臨床現場において、本来実践されるべき基本的患者安全方略が十分機能していない現状が把握された。それらの中から、まずは重点的に取り組むべき主要項目(JPSGs)が提示されたことは、今後の患者安全臨床において、極めて重要な意味を持つ成果となる。また、それらを可能とするための医師人材養成事業が順調に遂行され、ネットワーク化が促進されていることにも、大きな意義がある、
ガイドライン等の開発
各国の推奨事項や専門家の意見を踏まえ、日本患者安全目標としてJPSGsを策定した。日本で初めて策定されたJPSGsは、①患者誤認防止、②パニック値伝達、③ハイアラート薬管理、④手術開始前の安全確保、の4領域で構成され、今後の重点的な患者安全対策推進の指針となることが期待される。
その他行政的観点からの成果
令和8年、厚生労働省は、回避可能、かつ重大な結果を招く事象群を類型化し、リストとして提示した(A類型)。本研究が提示したJPSGsはこれらの回避可能な事象群を防止する上で、重要な基本確認行動となる。また、これらの実践状況について、均てん化された行政上の監査、指導、モニタリングが可能となる。
その他のインパクト
医療現場において、患者安全対策の実装と実践に乖離が生じないよう、正しい理解の下、正しい方略を教育、普及、浸透させるには、それを具現化できる人材養成と配置が求められる。2年間で、15名のCQSOを養成し、その修了生(7年間で57名)がすでに有機的なネットワークを形成していることは、今後の患者安全の底上げにおいて、大きなインパクトとなる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
13件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
日本患者安全目標(JPSG)4項目の策定
その他成果(普及・啓発活動)
1件
日本初となる日本患者安全目標(JPSG:4項目)の策定

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

収支報告書

文献番号
202521006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,009,000円
(2)補助金確定額
7,009,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 37,811円
人件費・謝金 772,100円
旅費 519,060円
その他 4,917,959円
間接経費 762,000円
合計 7,008,930円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2026-06-30
更新日
-