文献情報
文献番号
202521005A
報告書区分
総括
研究課題名
患者のケア移行に伴う薬剤師間の情報連携の現状課題の把握とその解決に向けた調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24IA1002
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
寺田 智祐(京都大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 松尾 裕彰(広島大学病院 薬剤部)
- 藤原 久登(昭和大学藤が丘病院 薬剤部)
- 今井 志乃ぶ(鎌田 志乃ぶ)(昭和大学 薬学部薬剤疫学部門)
- 中川 俊作(京都大学 医学部附属病院薬剤部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
5,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
現代の医療における治療・療養の場の移行は多様化し、患者の連続的な治療と安全を確保するためには、医療従事者間での情報共有が重要となる。特に使用薬剤の管理と情報共有は、患者の安全と治療の質の向上に直結する。しかし、薬剤師間(病院・病院間、病院・薬局間)の適切な情報共有も、マンパワーやモチベーションなどの課題から、道半ばである。地域包括ケアシステムの更なる進化のためには、多様化する患者のケア移行時において薬剤師間の情報共有について現状課題の抽出、論点整理が必要となる。 そこで本研究は、各ケア移行場面における患者の薬剤師間の情報共有・連携の現状を明確にし、効果的な連携体制を提案することを目的とした。疫学的な観点では、薬剤情報共有の推進の効果を可視化するための臨床指標(クオリティーインディケーター:QI)の開発を行うことを目的とした。
研究方法
薬剤情報連携の実施状況および課題を明らかにするため、各医療機関の薬剤師ならびに医師、看護師を対象にアンケート調査を実施し、先進的な取り組みを行っている病院または医療施設の薬剤師を対象に、インタビュー調査を行った。更に、株式会社JMDCが保有する診療報酬請求書由来のデータベースを用いて、患者のケア移行に伴う薬剤情報連携に関する臨床指標の開発を行った。
結果と考察
(1)各ケア移行場面における患者の薬剤師間の情報共有・連携の現状把握を目的としたアンケート調査およびインタビュー調査
本調査より、薬剤情報連携の課題および促進要因が明らかとなった。具体的には、「時間不足」「ツールやシステムの未整備」「統一フォーマットの未整備」が各ケア移行場面で共通した課題であり、「DXを活用した薬剤情報連携ツールの開発および普及」「統一フォーマットの整備」「救急外来への薬剤師の常駐」「薬局薬剤師やケアマネジャー、医療ソーシャルワーカー等との顔の見える関係性の構築」「かかりつけ薬局が把握できる仕組み作り」が促進要因であることが明らかとなった。ケア移行全体としては、標準的な統一フォーマットの作成と、AIや医療DXを活用したツールの普及が求められる。急性期医療においては、迅速で正確な薬剤情報連携が求められるため、病院内での共通した薬剤情報連携ツールの整備や救急外来への薬剤師の配置が必要である。長期的な薬物療法が必要な患者に対しては、薬剤師だけでなく医療ソーシャルワーカーを含めた地域全体での薬剤情報共有体制構築も、患者アウトカムの向上につながると考える。薬剤情報連携が円滑な施設では、病院薬剤師と薬局薬剤師、あるいはケアマネジャー等の多職種が日頃からコミュニケーションを図り、信頼関係を築いていることが明らかとなった。従って、定期的な研修会などを開催し、顔の見える関係性を構築することが薬剤情報連携の促進要因であると考える。
(2)薬剤情報共有の推進の効果を可視化するための臨床指標(クオリティーインディケーター:QI)の開発
診療報酬の算定項目から、21項目の臨床指標候補が抽出された。そのうち12項目が薬剤師の関与が高い薬剤情報連携の指標であるとの合意が得られた。しかし、最も合意割合が高かった臨床指標においても、2020年度から2023年度における推移は約2.3~2.4%と低い結果を示した。臨床の専門家からの合意割合が比較的高かった項目は、診療報酬の算定項目に、薬剤師の関与が明記されているものが多かったが、実際の算定割合はとても低い数値を示していた。この結果から、ケア移行時において、薬剤師の関与が今後より一層求められると考えられるが、算定要件が臨床の特徴上算定につながらない事例もあることが明らかとなった。そのため、本研究で抽出された臨床指標について啓発活動を行うとともに、より実臨床に即した診療報酬の項目の提案および評価指標の更新が必要であると考える。また、プロセス指標だけでは、薬剤情報連携の効果を直接評価することは困難である。そのため、アウトカム指標の開発も引き続き行っていく。
本調査より、薬剤情報連携の課題および促進要因が明らかとなった。具体的には、「時間不足」「ツールやシステムの未整備」「統一フォーマットの未整備」が各ケア移行場面で共通した課題であり、「DXを活用した薬剤情報連携ツールの開発および普及」「統一フォーマットの整備」「救急外来への薬剤師の常駐」「薬局薬剤師やケアマネジャー、医療ソーシャルワーカー等との顔の見える関係性の構築」「かかりつけ薬局が把握できる仕組み作り」が促進要因であることが明らかとなった。ケア移行全体としては、標準的な統一フォーマットの作成と、AIや医療DXを活用したツールの普及が求められる。急性期医療においては、迅速で正確な薬剤情報連携が求められるため、病院内での共通した薬剤情報連携ツールの整備や救急外来への薬剤師の配置が必要である。長期的な薬物療法が必要な患者に対しては、薬剤師だけでなく医療ソーシャルワーカーを含めた地域全体での薬剤情報共有体制構築も、患者アウトカムの向上につながると考える。薬剤情報連携が円滑な施設では、病院薬剤師と薬局薬剤師、あるいはケアマネジャー等の多職種が日頃からコミュニケーションを図り、信頼関係を築いていることが明らかとなった。従って、定期的な研修会などを開催し、顔の見える関係性を構築することが薬剤情報連携の促進要因であると考える。
(2)薬剤情報共有の推進の効果を可視化するための臨床指標(クオリティーインディケーター:QI)の開発
診療報酬の算定項目から、21項目の臨床指標候補が抽出された。そのうち12項目が薬剤師の関与が高い薬剤情報連携の指標であるとの合意が得られた。しかし、最も合意割合が高かった臨床指標においても、2020年度から2023年度における推移は約2.3~2.4%と低い結果を示した。臨床の専門家からの合意割合が比較的高かった項目は、診療報酬の算定項目に、薬剤師の関与が明記されているものが多かったが、実際の算定割合はとても低い数値を示していた。この結果から、ケア移行時において、薬剤師の関与が今後より一層求められると考えられるが、算定要件が臨床の特徴上算定につながらない事例もあることが明らかとなった。そのため、本研究で抽出された臨床指標について啓発活動を行うとともに、より実臨床に即した診療報酬の項目の提案および評価指標の更新が必要であると考える。また、プロセス指標だけでは、薬剤情報連携の効果を直接評価することは困難である。そのため、アウトカム指標の開発も引き続き行っていく。
結論
各ケア移行場面を対象としたアンケート調査およびインタビュー調査から、薬剤情報連携を行う上での課題及び促進要因が明らかとなった。明らかとなった問題点から、ベストプラクティス事例を啓発できるよう、統一フォーマットやツール等の情報収集を更に行っていく。そして本研究班で明らかになった薬剤情報連携体制を提言としてまとめていく予定である。
また、疫学的観点から明らかとなった臨床指標については、臨床指標として活用できる場面や令和8年度の診療報酬改定の内容も踏まえた啓発を行っていく予定である。
また、疫学的観点から明らかとなった臨床指標については、臨床指標として活用できる場面や令和8年度の診療報酬改定の内容も踏まえた啓発を行っていく予定である。
公開日・更新日
公開日
2026-05-29
更新日
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