文献情報
文献番号
201024030A
報告書区分
総括
研究課題名
混合性結合組織病の病態解明と治療法の確立に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H20-難治・一般-030
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
三森 経世(京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学)
研究分担者(所属機関)
- 藤井 隆夫(京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学)
- 澤井 高志(岩手医科大学 病理学第一講座)
- 川口 鎮司(東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センター)
- 高崎 芳成(順天堂大学 医学部 膠原病内科)
- 川畑 仁人(東京大学 医学部附属病院 アレルギー・リウマチ内科)
- 田中 廣壽(東京大学 医科学研究所 先端医療研究センター)
- 桑名 正隆(慶應義塾大学 医学部 内科)
- 岡田 純(北里大学 健康管理センター)
- 吉田 俊治(藤田保健衛生大学 リウマチ感染症内科)
- 三森 明夫(独立行政法人国立国際医療センター)
- 京谷 晋吾(独立行政法人国立循環器病センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
33,413,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
混合性結合組織病(MCTD)は本邦に多い疾患であり、独自の病像と自然歴を有し、肺高血圧症(PH)を主な死因とする。しかし、MCTDの病態形成機序はなお不明であり、予後不良のPHの治療法についてもなお多くの問題がある。MCTDの病態解明と治療法確立のため、抗U1RNP抗体や他の液性因子の病因的意義、MCTDに合併するPHの病態解明と治療、MCTDの診断の手引の検証と改訂、を重点研究課題とした。
研究方法
中枢神経症状における髄液中抗U1RNP抗体と液性因子の相関、抗血管内皮細胞抗体の対応抗原の追及、ヌードマウスへのT細胞移入による抗U1RNP抗体産機序の解析、血管運動性に関与する液性因子や転写因子によるMCTD-PHの病態形成機序の追及、PHの診断法の検討、 PHへの血管拡張療法の適応と有用性の検討、MCTD-PHの診断基準の改訂、MCTD生体試料バンク構築とGWAS解析による疾患感受性遺伝子の追求、システマティックレビューによる診療ガイドラインの作成(改訂)を行なった。
結果と考察
1)中枢神経症状を呈する髄液抗U1RNP抗体陽性例では髄液中フラクタルカインとMCP-1が高値を示した。2)肺動脈血管内皮細胞に対する自己抗体の対応抗原候補を同定した。3)T細胞のヌードマウス移入モデルで移入細胞が濾胞性ヘルパーT細胞に分化し抗U1RNP抗体を産生することを示した。4)PHに関わる因子として、NO合成酵素NOS2遺伝子多型、血管平滑筋増殖を抑制するHEXIM1、LIGHTが解析され、PHの新たな診断と治療への方向性が示唆された。5)ACE2に対する自己抗体を同定しMCTD血管病変への関与を示唆した。6)末梢血単球が遊走や接着能亢進を介して肺動脈のリモデリングに関わる可能性を示唆した。7)MCTD-PHのスクリーニング法としてCTスキャン上の右肺動脈径と上行大動脈径計測が有用である。8)膠原病PHにおけるタダラフィルの有効性を明らかにした。9)MCTD-PHの診断基準を全面改訂し心エコー上のePAP値を36mmHgとした。10)MCTD生体試料を用いGWASによる疾患関連遺伝子探索を開始した。11)エビデンスレベルを考慮した診療ガイドラインを策定した。
結論
MCTDの病態解明と治療法確立のため、自己抗体の病因的意義、MCTD-PHの病態の解明と治療法の確立などを重点研究課題とし、新たな成果を得た。
公開日・更新日
公開日
2011-12-27
更新日
-