文献情報
文献番号
201024024A
報告書区分
総括
研究課題名
呼吸不全に関する調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H20-難治・一般-024
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
三嶋 理晃(京都大学大学院医学研究科 呼吸器内科学)
研究分担者(所属機関)
- 西村 正治(北海道大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野)
- 中田 光(新潟大学医歯学総合病院生命科学医療センター)
- 海老名 雅仁(東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座呼吸器病態学分野)
- 巽 浩一郎(千葉大学大学院医学研究院加齢呼吸器病態制御学)
- 瀬山 邦明(順天堂大学医学部呼吸器内科)
- 赤柴 恒人(日本大学医学部内科学系 睡眠学分野)
- 浅野 浩一郎(慶應義塾大学医学部 呼吸器内科学)
- 長瀬 隆英(東京大学大学院医学系研究科 呼吸器内科学)
- 永井 厚志(東京女子医科大学 第一内科学講座)
- 久保 惠嗣(信州大学医学部 内科学第一講座)
- 谷口 博之(公立陶生病院呼吸器・アレルギー内科)
- 伊達 洋至(京都大学大学院医学研究科器官外科学講座 呼吸器外科学)
- 陳 和夫(京都大学大学院医学研究科呼吸 管理睡眠制御学)
- 中西 宣文(国立循環器病センター心臓血管内科・肺循環)
- 井上 義一(国立病院機構近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター)
- 裏出 良博(財団法人大阪バイオサイエンス研究所分子行動生物学部門)
- 木村 弘(奈良県立医科大学内科学第二講座)
- 相澤 久道(久留米大学医学部内科学講座呼吸器・神経・膠原病内科部門)
- 星野 友昭(久留米大学医学部内科学講座呼吸器・神経・膠原病内科部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
49,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
呼吸不全を来たす難治性呼吸器疾患である7つの疾患群(若年発症肺気腫(若年発症COPD)、リンパ脈管筋腫症(LAM)、ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)、肥満低換気症候群(OHS)、肺胞低換気症候群(PAHS)、肺動脈性肺高血圧症(PAH)、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH))を横軸とし、疫学・病態解析・診断・原疾患治療を縦軸とする2次元的発想で、呼吸不全の予防と治療の標準化を目指す。
研究方法
疫学、生理学、病理学、分子生物学、遺伝子学的な多面的アプローチから臨床および基礎研究を実施した。
結果と考察
対象7疾患に対する包括的疫学調査として、インターネット経由の症例登録を継続した。また日本呼吸器学会と共同して、在宅呼吸ケアの実情調査結果を「在宅呼吸ケア白書2010」として刊行した。若年発症重症COPDに関しては、 症例検討会を開催し,43例の症例が集積され,症状、経過など本疾患の多彩な病態が明らかとなった。さらに、病態研究として、肺胞細胞のDNA障害、HIF-1αや、mTOR 阻害因子など発症機序に関する検討をはじめ、増悪に関する研究、全身性疾患の観点から骨代謝との関係や、病態と遺伝子多型との関係、カルボシステインやスタチンなどの治療に関する研究などを行った。LAMに関しては、合併症である下肢リンパ浮腫の研究や血清VEGF-D の経時的測定の意義に関する検討を行った。特に、治療に関しては,免疫抑制剤シロリムスの第Ⅲ相国際共同臨床治験(MILES trial) により,シロリムス1年間内服の有効性が示され、本薬剤の適応や投与法などを今後確立していくことが待たれる。本年度も引き続き、患者会と共同で勉強会を開催し、LAMに関する情報提供と共に、相互交流をなし得た。LCHに関しては、症例により予後は異なり,多臓器型は単臓器型に比べ年令が若く,予後も不良例が多いことが明らかとなった。OHSでは、CPAP治療でも改善しない症例があり、単なる閉塞型睡眠時無呼吸の重症型とは異なる病態が示唆された。肺高血圧症に対しては、CTを用いた非侵襲的な評価法の開発、病理学的・遺伝子的検討に加え、末梢型CTEPHに対する新たなカテーテル治療の試行を行った。
結論
呼吸不全関連7疾患の発症機序、病態、予後との関連などの一端が明らかとなり、新たな治療法への可能性が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2011-12-27
更新日
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