文献情報
文献番号
201024016A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫性神経疾患に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-016
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
楠 進(近畿大学 医学部(神経内科))
研究分担者(所属機関)
- 池田修一(信州大学医学部内科学・神経内科学)
- 出雲周二(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科附属難治ウイルス病態制御研究センター・神経内科学)
- 大原義朗(金沢医科大学微生物学・神経ウイルス学)
- 荻野美恵子(北里大学医学部神経内科・神経内科学)
- 梶 龍兒(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部神経情報医学分野(神経内科))
- 神田 隆(山口大学大学院医学系研究科脳神経病態学・神経内科学)
- 菊地誠志(独立行政法人国立病院機構北海道医療センター)
- 吉良潤一(九州大学大学院医学研究院神経内科学分野・神経内科学)
- 桑原 聡(千葉大学大学院医学研究院・神経内科学)
- 高 昌星(信州大学医学部保健学科・神経内科学、神経免疫学)
- 郡山達男(広島市立広島市民病院神経内科)
- 清水 潤(東京大学医学部附属病院神経内科・神経内科学)
- 清水優子(東京女子医科大学・神経内科・神経内科学 )
- 鈴木則宏(慶應義塾大学医学部神経内科・神経内科学)
- 錫村明生(名古屋大学環境医学研究所・神経免疫学)
- 園生雅弘(帝京大学医学部・神経内科学、神経筋電気診断学)
- 祖父江元(名古屋大学大学院医学系研究科脳神経病態制御学・神経内科学)
- 田中正美(国立病院機構宇多野病院・神経内科学)
- 中辻裕司(大阪大学医学系研究科神経内科学)
- 中村龍文(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座・神経内科学)
- 西澤正豊(新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学)
- 野村恭一(埼玉医科大学総合医療センター・神経内科学)
- 原 寿郎(九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野・小児科学)
- 藤井義敬(名古屋市立大学大学院医学研究科腫瘍・免疫外科学)
- 藤原一男(東北大学大学院医学系研究科多発性硬化症治療学寄付講座)
- 松井 真(金沢医科大学神経内科学)
- 松尾秀徳(国立病院機構長崎川棚医療センター・神経内科学)
- 水澤英洋(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科脳神経病態学)
- 本村政勝(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・制御学講座・神経内科学)
- 山村 隆(国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部)
- 吉川弘明(金沢大学保健管理センター・神経内科学)
- 渡邊 修(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科神経病学講座神経内科・老年病学・神経内科学・神経免疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
指定対象疾患8疾患、並びに関連のある免疫性神経疾患を対象とし、臨床疫学調査、病態の解明、診断・治療ガイドライン作成、新しい画期的な治療法の開発などを目的とする。
研究方法
上記の目的のため、該当する倫理指針を遵守し、倫理面には十分に配慮して研究を行った。
結果と考察
小児急性散在性脳脊髄炎・MS全国疫学調査により患者数を推計した。視神経脊髄炎(NMO)の病態は広範なアストロサイト障害でありAQP4抗体/補体が介在する細胞障害と二次性脱髄が関連する。また髄膜側から供給される細胞性免疫機構の関与もある。NMO病態にはIL-6が重要でありIL-6レセプター阻害療法が期待される。Baló病はNMOとは異なるAQP4抗体非依存性アストロサイトパチーである。血清Sema4A高値MSは重症でIFN-β治療抵抗性である。正常卵細胞胞体内に卵巣奇形腫と同様のNR2B抗原発現があり、卵巣奇形腫を伴わないNMDAR脳炎の発症に関与する。OX40陽性細胞はHAM病態に関与し、髄液中CXCL10やネオプテリンは疾患活動性の指標となる。新規自己抗体Lrp4抗体陽性MGを報告した。AChR MIR抗体価はMG治療反応性と相関する。またMG患者血清に小胞体ストレス蛋白GRP94に対する自己抗体が存在する。過形成胸腺の胚中心形成にハッサル小体が関与する。GBS発症には分子相同性を示す自己抗原の量より質の方が重要である。ビッカースタッフ型脳幹脳炎でのGQ1b抗体はGQ1bそのものに対する特異性が高い。片側上肢に限局した神経原性筋萎縮症にIVIg有効の患者群が存在する。MMN全国疫学調査より発生率は約100万人に対し0.5-0.7人であると推定された。CIDPの遺伝子発現解析では免疫応答を背景とした脱髄がresponderの主病態である。IL-12はPOEMS症候群における脱髄性ニューロパチーのKey moleculeである。SRP抗体価は治療反応マーカーとして期待される。封入体筋炎において深指屈筋を被検筋に選べば容易に筋原性と診断できる。
結論
小児MS、ADEM、MMNの全国疫学調査により疾患の基本情報が得られた。MS/NMOの特徴、および病態を引き起こすメカニズムが明らかになった。MGの新たな抗体が報告された。GBSやCIDPのより詳細な病態が明らかになった。その他関連疾患の特徴や病態が明らかになった。
公開日・更新日
公開日
2011-12-27
更新日
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