文献情報
文献番号
202517049A
報告書区分
総括
研究課題名
見えづらさを来す様々な疾患の障害認定・支援の確立に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25GC2003
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 彰英(京都府立医科大学(大学院医学研究科 視覚機能再生外科学))
研究分担者(所属機関)
- 原 直人(国際医療福祉大学 保健医療学部 視機能療法学科)
- 秋山 久尚(聖マリアンナ医科大学 脳神経内科学)
- 村上 晶(順天堂大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働行政推進調査事業費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和9(2027)年度
研究費
9,233,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
見えづらさを来す様々な疾患として義眼装用者及び羞明・眼痛患者を主な対象とし、将来的な障害認定・支援の確立に向けて以下の3つのテーマで実施する。
① 義眼等補装具装用支援の現状把握と将来の必要性に係る研究
② 羞明・眼痛の診療の手引き作成および普及・啓発の研究と病態解明・客観的診断方法の確立に向けた研究
③ 認定基準研究についてFVS導入と現行の基準の課題の検討
① 義眼等補装具装用支援の現状把握と将来の必要性に係る研究
② 羞明・眼痛の診療の手引き作成および普及・啓発の研究と病態解明・客観的診断方法の確立に向けた研究
③ 認定基準研究についてFVS導入と現行の基準の課題の検討
研究方法
テーマ1:義眼装用患者データ、義眼装用患者へのアンケート調査、義眼装用者の医療機関受診状況、医療機関へのアンケート調査の項目を決定した。義眼関連手術レセプトベースの手術件数を京都府データベースにて調査した。
テーマ2:(1)羞明・眼痛を主症状とする眼球使用困難症候群における生活の質(QoL)および自律神経機能の特徴を検討した。(2)生理的研究・自律神経動態の可視化:心拍変動(HRV)解析を行った。
テーマ3:(1)視覚障害者手帳の申請を目的としてGPおよびAPによる検査を受けた患者の後ろ向き解析を行った。
(2)後ろ向きの先行研究対象についてICD-10単眼盲を持つ受診者について調査を行なった。
テーマ2:(1)羞明・眼痛を主症状とする眼球使用困難症候群における生活の質(QoL)および自律神経機能の特徴を検討した。(2)生理的研究・自律神経動態の可視化:心拍変動(HRV)解析を行った。
テーマ3:(1)視覚障害者手帳の申請を目的としてGPおよびAPによる検査を受けた患者の後ろ向き解析を行った。
(2)後ろ向きの先行研究対象についてICD-10単眼盲を持つ受診者について調査を行なった。
結果と考察
テーマ1:義眼関連手術の調査の結果、NDBにおける2023年の手術件数は、眼球内容除去術293件、眼球摘出術149件、義眼台包埋術47件、眼球摘出及び組織又は義眼台充填術68件であった。京都府レセプトデータにおける2013年から2023年における義眼関連手術は、眼球内容除去術30件、眼球摘出術19件、義眼台包埋術13件、眼球摘出及び組織又は義眼台充填術12件であり、原疾患は、眼内炎、眼球破裂、眼腫瘍、眼球癆の順に多かった。腫瘍では眼球摘出術が実施されており、また同時手術として実施されていた。眼球破裂、眼球勞では眼球内容除去術を施行されていることが多かった。以上の結果より、年間の全国的な義眼装用が必要な人数を把握することができた。
テーマ2:(1)健康状態と視機能の困難:68.7%が健康状態について「良くない」と回答している。81.9%が「眼鏡をしても見えにくいといった苦労がある」と回答し、従来の矯正手段では解決できない困難が示された。日常生活への影響:掃除、洗濯、買い物などの家事項目において、一人で遂行することに高い困難を感じている。回答者の約55%(83名中46名)が仕事をしておらず、「部屋を暗くして過ごしている」といった深刻な実態も明らかになった。心理的側面とコミュニケーションの相関:GAD-7(不安指標)において、41.6%が「緊張や不安をほとんど毎日感じる」と回答した。重回帰分析の結果、「心配をコントロールできない」という心理状態に最も強い影響を与えていたのは、変数のなかで唯一「人とのコミュニケーション」の困難さであった。
(2)対象19例(平均年齢46.9歳)心拍変動(HRV)解析により、羞明患者に特有の自律神経応答パターンが同定された。
本研究により、羞明・眼痛を主症状とする眼球使用困難症候群は、単なる視覚不快の問題にとどまらず、身体・心理・社会の多層的影響を伴う病態であることが示された。
テーマ3:(1)FVS研究
パイロット研究により、FVSによる手帳等級の予測精度はκ係数0.67(95%信頼区間:0.59–0.76)と高い一致度を示した。FVSに基づく日本の手帳等級とAMA classの比較では、FVSの範囲はAMAでは0~100点までカバーしている一方、日本の等級幅は0~70点程度しかカバーされていないことが示された。
(2)ICD-10 単眼盲を有する視覚障害者の調査
単眼盲(H54.4)に相当する受診者は、79名(初診患者の2.1%)であった。
本パイロットスタディにより、FVSが日本の視覚障害者手帳等級の予測に一定の信頼性を持つことが示された。また、FVSに基づく評価は、現行制度よりも視覚機能の実態をより広い範囲で捉える可能性があることが示唆された。
テーマ2:(1)健康状態と視機能の困難:68.7%が健康状態について「良くない」と回答している。81.9%が「眼鏡をしても見えにくいといった苦労がある」と回答し、従来の矯正手段では解決できない困難が示された。日常生活への影響:掃除、洗濯、買い物などの家事項目において、一人で遂行することに高い困難を感じている。回答者の約55%(83名中46名)が仕事をしておらず、「部屋を暗くして過ごしている」といった深刻な実態も明らかになった。心理的側面とコミュニケーションの相関:GAD-7(不安指標)において、41.6%が「緊張や不安をほとんど毎日感じる」と回答した。重回帰分析の結果、「心配をコントロールできない」という心理状態に最も強い影響を与えていたのは、変数のなかで唯一「人とのコミュニケーション」の困難さであった。
(2)対象19例(平均年齢46.9歳)心拍変動(HRV)解析により、羞明患者に特有の自律神経応答パターンが同定された。
本研究により、羞明・眼痛を主症状とする眼球使用困難症候群は、単なる視覚不快の問題にとどまらず、身体・心理・社会の多層的影響を伴う病態であることが示された。
テーマ3:(1)FVS研究
パイロット研究により、FVSによる手帳等級の予測精度はκ係数0.67(95%信頼区間:0.59–0.76)と高い一致度を示した。FVSに基づく日本の手帳等級とAMA classの比較では、FVSの範囲はAMAでは0~100点までカバーしている一方、日本の等級幅は0~70点程度しかカバーされていないことが示された。
(2)ICD-10 単眼盲を有する視覚障害者の調査
単眼盲(H54.4)に相当する受診者は、79名(初診患者の2.1%)であった。
本パイロットスタディにより、FVSが日本の視覚障害者手帳等級の予測に一定の信頼性を持つことが示された。また、FVSに基づく評価は、現行制度よりも視覚機能の実態をより広い範囲で捉える可能性があることが示唆された。
結論
テーマ1:
義眼装用が新たに必要となる患者は本邦において年間約500-600人と考えられる。義眼装用開始に伴う患者の精神的、金銭的負担を軽減し、社会復帰を促すためにも、将来的な支援の拡大が必要である。
テーマ2:
本研究により、羞明・眼痛を主症状とする眼球使用困難症候群は、視機能の使用制限にとどまらず、心理的負担および社会的孤立を伴う多面的な障害であることが明らかとなった。障害認定を「生活のしづらさ」に着目した包括的な認定制度へ改正することが、社会的孤立を防ぐ解決策であろう。また本症候群は自律神経機能異常を基盤とする感覚過敏症候群として位置づけられ、HRVを用いた客観的評価は診断および重症度判定に有用である可能性がある。
テーマ3:
来年度実施予定の多施設研究により、FVSの妥当性検証と制度的応用に向けた科学的根拠の構築が期待される。
義眼装用が新たに必要となる患者は本邦において年間約500-600人と考えられる。義眼装用開始に伴う患者の精神的、金銭的負担を軽減し、社会復帰を促すためにも、将来的な支援の拡大が必要である。
テーマ2:
本研究により、羞明・眼痛を主症状とする眼球使用困難症候群は、視機能の使用制限にとどまらず、心理的負担および社会的孤立を伴う多面的な障害であることが明らかとなった。障害認定を「生活のしづらさ」に着目した包括的な認定制度へ改正することが、社会的孤立を防ぐ解決策であろう。また本症候群は自律神経機能異常を基盤とする感覚過敏症候群として位置づけられ、HRVを用いた客観的評価は診断および重症度判定に有用である可能性がある。
テーマ3:
来年度実施予定の多施設研究により、FVSの妥当性検証と制度的応用に向けた科学的根拠の構築が期待される。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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