ヒト関節リウマチ特異的CD4陽性細胞および血漿・関節液miRNAの同定と治療・診断への応用

文献情報

文献番号
201023050A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト関節リウマチ特異的CD4陽性細胞および血漿・関節液miRNAの同定と治療・診断への応用
課題番号
H22-免疫・若手-009
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
吉富 啓之(京都大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 孝志(京都大学 医学部附属病院 )
  • 伊藤 宣(京都大学 医学部附属病院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
動物モデルとヒト疾患は異なり患者検体での解析が必要である。本研究ではRA患者でのCD4陽性細胞の解析と疾患特異的マイクロRNA(miRNA)の同定を行う。
研究方法
1.Th17抑制的なIL-27の役割を、RA患者の線維芽細胞様滑膜細胞(FLS)や単核球を用い解析した。
2.RAとOA血漿・関節液miRNAを5種測定し、さらに網羅的検索を行った。
3.RA滑膜組織の免疫細胞を蛍光多重免疫染色した。さらに関節遊走CD4陽性細胞を末梢血と比較した。
結果と考察
1.血漿でRA、OA、健常人共に400pg/ml程度、RA関節液中で100pg/ml程度のIL-27を認めOA関節ではほとんど検出されなかった。
IL-27の産生はCD14陽性細胞のみに認められ、RA滑膜には多数浸潤するが、OA滑膜には認めなかった。TNFα又はIL-17によるFLSからのIL-6とCCL20産生はIL-27で抑制された。RA関節液で、IL-27とIFN-γは正の相関を示したがIL-27とIL-17は弱い負の相関を示し、RA関節でIL-27はTh1分化を促しTh17の分化や遊走を抑制していた。
2.関節液中にmiRNAは安定して存在し、滑膜組織が放出するものに酷似し関節の状態をより反映していた。血漿中miR132は健常人で高く83.8%の感度と80.7%の特異度でRAを区別した。血漿miR16、miR-146a、miR155、miR223と圧痛関節数、血漿miR16とDAS28が相関した。網羅的な解析を行ったところ、関節液で17種類がRAで増加していた。末梢血でRAのみ低下が17種類、RAとOAで低下が2種類、RAのみで増加が3種類得られた。
3. RA滑膜組織中のCD4陽性細胞はCCR5、CCR6、CD161の発現頻度が高く、IFN-γやIL-17陽性のT細胞は数%程度であった。IL-17はCD4細胞だけではなく、多核細胞からも産生されていた。関節浸潤CD4陽性細胞が発現するその他の分子を複数同定している。
結論
ヒト検体の研究でTh17を抑制するIL-27産生細胞がリウマチ滑膜組織に浸潤することが明らかとなった。機能強化による新治療が期待される。
関節浸潤CD4陽性細胞の遺伝子発現は末梢血と異なり、CD161を始めとする分子を発現した。
血漿・関節液miRNAはRAの有用なマーカーで、網羅的な解析で多数の特異的なmiRNAを同定した。より優れた感度・特異度・発症予測性・予後予測性を有する検査が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2011-09-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201023050Z