文献情報
文献番号
202517033A
報告書区分
総括
研究課題名
思春期以降の発達障害者や家族の多様なニーズに対する専門的な相談やプログラム開発に向けた研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25GC1007
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 進昌(公益財団法人神経研究所 東京発達障害者支援センター成人部門 (おとなTOSCA))
研究分担者(所属機関)
- 来住 由樹(岡山県精神科医療センター)
- 太田 晴久(昭和医科大学 発達障害医療研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和9(2027)年度
研究費
6,735,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、思春期以降の発達障害者や家族の多様なニーズに対応するため、発達障害者支援センター等における専門的な相談支援の内容や実践上の工夫を整理するとともに、地域の実情に応じて活用可能なプログラムの開発に向けた基礎的知見を得ることを目的とした。令和6年度障害者総合福祉推進事業では、成人期の発達障害者支援において、就労、生活、対人関係、家族支援等、多様な支援ニーズが存在することが示された。一方、こうした多様なニーズに対応するため、専門的相談支援においてどのような視点で本人理解や支援方針の形成が行われているのか、また、その専門性をどのように支援プログラムや地域支援へ反映していくかについて整理することが課題であった。そこで、専門的相談支援における見立てやアセスメント、支援方法について整理するとともに、それらの視点を踏まえた集団支援プログラムの開発や、地域支援機関で活用する際の課題について検討を行った。
研究方法
発達障害者支援センター(以下、センター)における専門的相談支援に関する研究では、全国のセンターを対象としたアンケート調査およびヒアリング調査を実施し、相談支援の実施状況、見立てやアセスメント、関係機関連携、人材育成、集団支援プログラム等について整理した。集団支援プログラム開発に関する研究では、思春期以降の発達障害者や家族を対象とした既存プログラムや支援内容について整理するとともに、地域支援機関で活用するための実施方法や課題について検討した。また、地域における専門的相談支援やプログラムに関する研究では、センター等と関係機関との連携状況や、地域で支援を展開する際の課題について整理した。
結果と考察
センターを対象とした調査では、運営体制や地域特性に違いがある中でも、三つ組や氷山モデル、学習スタイル、連続性の確認等、発達障害支援における基本的視点が共通して用いられていた。これらの視点は、生育歴、生活状況、環境要因等を踏まえながら本人理解を深め、支援方針を形成するために活用されていた。また、相談支援では、本人の特性や理解スタイルに応じた説明方法の工夫や、本人と支援者が困りごとや背景理解を共有するための関わりが行われていた。こうした専門的視点は、事例検討、OJT、スーパービジョン等の日常的な実践や経験共有を通して継承されている一方、人員不足や人事異動等を踏まえると、支援視点を共有可能な形に整理していくことが継続的な課題として示された。多機関連携においては、関係機関ごとに本人理解やアセスメントの視点が異なることが、支援方針のずれや連携上の難しさにつながっていた。そのため、相談支援で整理された本人理解や支援方針を関係機関と共有し、同じ方向性で支援を行うための方法を検討していく必要性が示された。集団支援プログラムに関しては、思春期以降の発達障害者や家族への支援として活用されているプログラムや実践内容について整理した。その結果、集団支援プログラムは単独で提供されるものではなく、相談支援を通して把握された本人の特性、生活状況、支援ニーズ等を踏まえながら活用していくことが重要であることが示唆された。また、地域支援機関で実施可能な形として普及していくためには、プログラム内容や手順だけではなく、支援者が共通した視点で対象者を理解し、支援を進められるよう整理することが求められる。さらに、人員体制や予算、地域資源等にはセンター間で違いがあり、集団支援プログラムの必要性を認識していても、独自に開発・継続実施することが難しい場合もある。そのため、専門機関等で開発された既存プログラムについて、実施手順や支援者養成の方法等を整理し、限られた体制の中でも継続的に提供できる仕組みについて検討していくことが重要である。地域での活用に関しては、専門的相談支援や集団支援プログラムを地域支援機関へ展開する際の課題について整理した。地域によって支援資源や実施体制には違いがあることから、専門機関で実施されている支援をそのまま導入するのではなく、それぞれの地域の状況に応じて活用可能な形に調整していく必要性が示された。また、その際には、センター等が有する本人理解や支援方針形成の視点を共有しながら、地域の支援者が活用できる方法として整理していくことが重要である。
結論
本年度の研究では、思春期以降の発達障害者や家族への支援において、専門的相談支援を構成する見立てや本人理解の視点、ならびに支援プログラムを地域で活用する際の課題について整理を行った。今後は、センター間で共通してみられた見立てやアセスメントの視点をもとに、支援者間で共有可能な相談支援ツールや研修資料等の作成につなげていく。また、専門的相談支援の視点を基盤としたプログラムの開発を進め、地域の実情に応じて支援機関で活用可能な形で提供していくことを目指す。
公開日・更新日
公開日
2026-06-01
更新日
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