文献情報
文献番号
202517027A
報告書区分
総括
研究課題名
良質かつ適切な精神科医療の推進に向けて精神科リハビリテーションの現況と有効性を調査しその機能分化について検討する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
25GC1001
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
根本 隆洋(東邦大学 医学部精神神経医学講座)
研究分担者(所属機関)
- 藤井 千代(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
- 池田 望(札幌医科大学 保健医療学部作業療法学科)
- 内野 敬(東邦大学 医学部社会実装精神医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和7(2025)年度
研究終了予定年度
令和8(2026)年度
研究費
7,024,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国の精神保健医療福祉において、現在「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築が推進されており、精神科医療機関からの地域移行・地域定着のみならず、精神障害を有する者等が安心して暮らせるための支援が求められている。精神疾患の治療目標として近年は「リカバリー」が重視され、リハビリテーションを通じた機能障害の改善や社会参加の促進が欠かせない。精神科リハビリテーションは、その患者数や機能障害の重症度ゆえに統合失調症を主な対象として実施され、精神科作業療法など多職種協働とともに発展してきた経緯がある。しかし、近年はその対象となる疾患や病期は多様となりつつある。しかし、これまで精神科リハビリテーションに関して、疾患や病期の違い、さらには多職種連携の方法などを考慮に入れた詳細な検討は不十分である。本研究は、精神科リハビリテーションの目指すべき方向性について検討する。
研究方法
1.国内・海外の文献等に基づく精神科リハビリテーションに関する詳細なシステマティックレビュー、2.精神科医療機関などを対象とした実施状況に関する調査と好事例収集を行い、3.既存の制度・内容の整理と関連職種の専門性を活かした機能分化の検討を行う。
結果と考察
1.システマティックレビュー
スコーピングレビューを採用し、令和7年度は現代の地域精神保健システムにおける精神科デイケアの対象者、支援内容、および期待される効果を明らかにすることを目的として、2000年以降の国内外の量的研究をレビューした。4つのデータベースを用いて検索を実施し、1次スクリーニングにより得られた文献リストに対し、2名の独立したレビューワーによるスクリーニングを実施した。最終的に、選択基準を満たす76報の論文を本レビューに組み入れた。76報の出版年別の内訳は、2000~2005年が15報、2006~2010年が10報、2011~2015年が15報であり、2016~2020年および2021~2025年はそれぞれ18報であった。また、国別の報告数(最多出版国)については、米国が13報と最も多く、次いでオランダ(12報)、日本(7報)の順であった。
2.現況調査と好事例の収集
現況調査の対象は、全国の医療機関のうち、精神科リハビリテーションとして、精神科デイケア等、外来における精神科作業療法、通院集団精神療法を実施している施設とし、精神科・心療内科を標榜する計2,952施設(精神科リハビリテーションを実施していない施設も含む)へ、郵送にて回答依頼を行った。令和8年3月9日から令和8年3月31日までに、390施設(13.2%)からの回答を得た。このうち、精神科デイケア等、外来における精神科作業療法、通院集団精神療法のいずれも実施していないと回答した117施設を除き、273施設(9.2%)を有効な回答とした。273施設のうち、実施していた精神科リハビリテーションの内容は、精神科デイケア253施設、外来における精神科作業療法92施設、通院集団精神療法38施設であった。なお、同一施設内で、目的や機能の異なる精神科デイケアを複数単位実施している場合は1単位毎の回答とし、計343単位のデイケアから回答を得た。
好事例収集は、研究班全体での質的検討により、わが国の精神科リハビリテーションが目指す方向性に示唆を有すると考えられる施設の候補を抽出した。当該施設に直接依頼を行い、許可を得られた施設へ、視察を行った。好事例に共通する要素として、(1)施設基準を超えた多職種配置と職種間連携の強化、(2)通過型といつでも「寄れる場」の二層設計、(3)就労支援・若者支援・学校連携・高齢者対応など地域ニーズに応じた機能分化、(4)定期的個別面談を軸としたケースマネジメント、(5)当事者中心・リカバリー志向の組織文化の醸成、が抽出された。他方、制度面や経済面、人材面での課題も抽出された。
3.機能分化の検討
①リハビリテーションの定義や制度・内容、②第10回医科診療行為算定数とその分析を行った。第10回NDBオープンデータ(令和5年度/2023年度)の解析結果からは。現行の精神科リハビリテーション医療において、(a)入院作業療法と通所型(デイケア等)の比重が依然として大きいこと、(b)訪問・アウトリーチ型支援は拡大しつつも職種間に偏りがあり、要件上の制約も残ること、(c)長期利用者の存在と新規利用者の流入のバランス、退院・在宅支援の制度的評価の不足、が課題として示唆された。
スコーピングレビューを採用し、令和7年度は現代の地域精神保健システムにおける精神科デイケアの対象者、支援内容、および期待される効果を明らかにすることを目的として、2000年以降の国内外の量的研究をレビューした。4つのデータベースを用いて検索を実施し、1次スクリーニングにより得られた文献リストに対し、2名の独立したレビューワーによるスクリーニングを実施した。最終的に、選択基準を満たす76報の論文を本レビューに組み入れた。76報の出版年別の内訳は、2000~2005年が15報、2006~2010年が10報、2011~2015年が15報であり、2016~2020年および2021~2025年はそれぞれ18報であった。また、国別の報告数(最多出版国)については、米国が13報と最も多く、次いでオランダ(12報)、日本(7報)の順であった。
2.現況調査と好事例の収集
現況調査の対象は、全国の医療機関のうち、精神科リハビリテーションとして、精神科デイケア等、外来における精神科作業療法、通院集団精神療法を実施している施設とし、精神科・心療内科を標榜する計2,952施設(精神科リハビリテーションを実施していない施設も含む)へ、郵送にて回答依頼を行った。令和8年3月9日から令和8年3月31日までに、390施設(13.2%)からの回答を得た。このうち、精神科デイケア等、外来における精神科作業療法、通院集団精神療法のいずれも実施していないと回答した117施設を除き、273施設(9.2%)を有効な回答とした。273施設のうち、実施していた精神科リハビリテーションの内容は、精神科デイケア253施設、外来における精神科作業療法92施設、通院集団精神療法38施設であった。なお、同一施設内で、目的や機能の異なる精神科デイケアを複数単位実施している場合は1単位毎の回答とし、計343単位のデイケアから回答を得た。
好事例収集は、研究班全体での質的検討により、わが国の精神科リハビリテーションが目指す方向性に示唆を有すると考えられる施設の候補を抽出した。当該施設に直接依頼を行い、許可を得られた施設へ、視察を行った。好事例に共通する要素として、(1)施設基準を超えた多職種配置と職種間連携の強化、(2)通過型といつでも「寄れる場」の二層設計、(3)就労支援・若者支援・学校連携・高齢者対応など地域ニーズに応じた機能分化、(4)定期的個別面談を軸としたケースマネジメント、(5)当事者中心・リカバリー志向の組織文化の醸成、が抽出された。他方、制度面や経済面、人材面での課題も抽出された。
3.機能分化の検討
①リハビリテーションの定義や制度・内容、②第10回医科診療行為算定数とその分析を行った。第10回NDBオープンデータ(令和5年度/2023年度)の解析結果からは。現行の精神科リハビリテーション医療において、(a)入院作業療法と通所型(デイケア等)の比重が依然として大きいこと、(b)訪問・アウトリーチ型支援は拡大しつつも職種間に偏りがあり、要件上の制約も残ること、(c)長期利用者の存在と新規利用者の流入のバランス、退院・在宅支援の制度的評価の不足、が課題として示唆された。
結論
令和8年度は引き続き研究を進め、これらを取りまとめることで、平成26年厚生労働省告示「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」におけるリハビリテーションの位置づけの見直し等、精神科リハビリテーションに関連する政策提言に資する基礎資料を作成する。
公開日・更新日
公開日
2026-06-17
更新日
-