より安全で良質な同種骨を供給するための社会基盤整備

文献情報

文献番号
201023042A
報告書区分
総括
研究課題名
より安全で良質な同種骨を供給するための社会基盤整備
課題番号
H22-免疫・一般-011
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
糸満 盛憲(北里大学 北里大学)
研究分担者(所属機関)
  • 水田 博志(熊本大学 医学部整形外科)
  • 長谷川 幸治(名古屋大学 医学部整形外科)
  • 神宮司 誠也(独立行政法人労働者健康福祉機構 九州労災病院整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
人工関節置換術や脊椎手術で同種骨移植に対する需要が増加しているが、施設内骨バンクにおける同種骨の安全管理が適切に行われているは明らかではない。より安全で良質な同種骨を全国的に供給するシステムを構築することが喫緊の課題であるとの考えから、同種骨移植の現状を調査し、その結果に基づいて安全な同種骨を全国的に公平に供給するシステムを構築する際の問題点を明らかにすることである。
研究方法
日本整形外科学会が5年毎に行っている整形外科移植に関する全国調査結果の分析、同種骨移植を行っている施設への感染症伝播に対する対策の調査結果の分析から、移植医療で特に問題となる感染症に対する取組みの現状を明らかにする。手術時採取した大腿骨頭をセンターに集積してバーコード管理することで安全性を高めている地域のネットワークの取り組みを調査から、感染症に対する安全性の向上に対する効果を検討する。さらに先進医療で同種骨移植を行っている2施設の取り組みを調査し、その結果を踏まえて医療保険を適用する際の問題点を明らかにする。
結果と考察
全国調査の結果、同種骨移植は経年的に増加し、2005年の調査結果から人工関節置換術に対する適応が最多となった(それ以前は脊椎手術が最多)。人工関節再置換術の増加に伴って切除大腿骨頭を保存・利用する施設内骨バンクが210施設存在するが、感染症の検査、倫理委員会の審査など必ずしも適切に行われていない。今回の調査の結果、採取組織の細菌検査を行っている施設は61%に過ぎず、16%の施設で移植手術後に感染症の経験があるが、その追跡調査も適切に行われていないなど施設内骨バンクの安全性に問題があることが明らかになった。一方、切除大腿骨頭を地域のセンターに集積し、情報をバーコード管理することで安全性を向上させている組織の取り組みは参考になる。日本組織移植学会の認定バンク2施設では先進医療を行っている。両施設で行われた同種骨移植は331例で、移植骨のサイズにかかわらず同額が先進医療として請求された。また同期間に他施設に供給された597骨について、骨バンクでは算定できないなどの問題が明らかになった。
結論
安全な同種移植骨安定的に公平に供給するためには、全国的に骨採取チームを配置して採取量を増やし、拠点バンクで適切に処理・保存して全国的に供給するネットワークを構築する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2011-09-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201023042Z