地域生活支援拠点等における地域移行を進めるための役割及び緊急時の対応における役割の明確化のための研究

文献情報

文献番号
202517015A
報告書区分
総括
研究課題名
地域生活支援拠点等における地域移行を進めるための役割及び緊急時の対応における役割の明確化のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24GC1005
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 直樹(学校法人日本社会事業大学 大学院福祉マネジメント研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 須江 泰子(日本社会事業大学 大学院福祉マネジメント研究科)
  • 北川 進(日本社会事業大学 福祉マネジメント研究科)
  • 大村 美保(筑波大学人間系)
  • 贄川 信幸(日本社会事業大学 社会事業研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究費
6,129,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和4年度障害者総合支援法等の見直しにおいて、地域生活支援拠点等を障害者総合支援法に位置づけるとともに、その整備に関する市町村の努力義務等が設けられた。また、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定により、拠点コーディネーターの人件費が個別給付の加算創設により対応された。
地域生活支援拠点等においては「緊急時」と「平時」についての定義や支援の実態について明確でないとの指摘もある。本研究では、地域生活支援拠点等に求められている機能である、「平時」からの支援ニーズの把握、「緊急時」の対応、地域移行に向けて入所施設や病院等との連携や支援内容、その標準的な支援内容の確立を目的とする。また、厚生労働科学研究「地域生活支援拠点等におけるコーディネーターに求められる役割や業務等の明確化のための研究(令和5年度)」において作成されたガイドブックを踏まえ、地域生活支援拠点等のコーディネーターに求められる知識や技能についての評価・分析を行った上で拠点コーディネーター研修プログラム試案を作成し、人材育成に向けた基礎資料等を取りまとめることを目的とする。
研究方法
1年目において、拠点コーディネーターが未整備の自治体では人材不足や制度理解の課題があり、行政主導での体制強化が求められていることが明らかとなった。そのため、拠点コーディネーターの養成のみならず、拠点コーディネーター配置の財源確保に必要な拠点機能強化加算を取得するための拠点機能強化事業所としての要件を満たすための方策について追加した。また、相談支援事業所の複数事業所による一体的管理運営を行うための要点や、加算算定による報酬の増加による人材確保の可能性、そのための行政の役割についても言及し、拠点コーディネーターが配置可能な具体的な方策について研修プログラム案に盛り込むこととした。
研修プログラムは、事前の知識研修用動画視聴と参集型の研修で構成した。事前視聴の知識研修用動画は、講義パワーポイント資料を作成した上で、字幕も挿入し情報アクセシビリティにも配慮した。参集型の研修においては、拠点コーディネーターとして先進的な実践を行っている3名により、実践の要点をテーマにした対談形式の講義と参加者によるグループワークで構成した。効率的な研修実施と、事前の動画視聴の知識と参集型研修で得た気づきを研修参加者が実践現場で応用できるようにすることの両立ができることを考慮した。
研修プログラム案については、デルファイ法による信頼度調査を行い、令和8年2月に試行的研修を開催した上でプログラム評価を行い、人材育成に向けた基礎資料をとりまとめた。
結果と考察
2年目の研究では、令和5年度研究で作成された「地域生活支援拠点等コーディネーターガイドブック」を基に、拠点コーディネーター研修プログラム試案の作成及び試行的研修を実施した。研究班で多機関を調整する役割を持つコーディネーターに求められる知識や技能についての評価・分析を行った結果、令和5年度のガイドブックの内容を研修プログラム試案の基礎とすることについての妥当性が確認された。
一方、拠点コーディネーター未整備自治体では人材不足や制度理解の課題が明らかとなり、拠点機能強化加算を取得するための事業所要件や、複数相談支援事業所の一体的運営、加算による人材確保、行政の役割など、配置を可能にする具体策を研修内容に追加した。
また、研修参加者の時間的制約を踏まえ、知識習得は事前動画視聴とし、字幕や資料提供によりアクセシビリティにも配慮した。さらに、動画のみでは配置促進に不十分であるため、先進的実践者の講義や参加者同士の意見交換を含む対面研修を組み合わせ、受講後に高いモチベーションで拠点運営に取り組める構成とした。
動画には「拠点コーディネーターがいてよかった」という実践者・家族・住民の語りも挿入し、研修効果を高めた。
研修の評価では、事前学習から対談・グループワーク・共有までの流れが理解と実践意欲を高め、他地域との比較や交流が心理的安心感を生んだことが確認され、研修項目の必要度に専門家間の高い合意が得られ、プログラム試案の妥当性が確認された。アンケート調査の自由記述からは役割の曖昧さや運用差が研修ニーズの背景にあり、参加型研修や自治体間の知見共有、関係者全体での共通理解の重要性が明らかとなった。
結論
研究により得られた成果の今後の活用・提供:コーディネーターに求められる知識や技能を習得するための研修プログラム試案に、拠点コーディネーター配置の財源確保に必要な拠点機能強化加算を取得するための拠点機能強化事業所としての要件を満たすための方策について追加したことにより、今後の地域生活支援拠点等のコーディネーター配置及び人材の養成にとって、より実践的な研修プログラムを作成することができた。

公開日・更新日

公開日
2026-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
202517015B
報告書区分
総合
研究課題名
地域生活支援拠点等における地域移行を進めるための役割及び緊急時の対応における役割の明確化のための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
24GC1005
研究年度
令和7(2025)年度
研究代表者(所属機関)
曽根 直樹(学校法人日本社会事業大学 大学院福祉マネジメント研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 須江 泰子(日本社会事業大学 大学院福祉マネジメント研究科)
  • 北川 進(日本社会事業大学 福祉マネジメント研究科)
  • 大村 美保(筑波大学人間系)
  • 贄川 信幸(日本社会事業大学 社会事業研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和6(2024)年度
研究終了予定年度
令和7(2025)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和4年度障害者総合支援法等の見直しにおいて、地域生活支援拠点等を障害者総合支援法に位置づけるとともに、その整備に関する市町村の努力義務等が設けられた。また、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定により、拠点コーディネーターの人件費が個別給付の加算創設により対応された。
地域生活支援拠点等においては「緊急時」と「平時」についての定義や支援の実態について明確でないとの指摘もある。本研究では、地域生活支援拠点等に求められている機能である、「平時」からの支援ニーズの把握、「緊急時」の対応、地域移行に向けて入所施設や病院等との連携や支援内容、その標準的な支援内容の確立を目的とする。また、厚生労働科学研究「地域生活支援拠点等におけるコーディネーターに求められる役割や業務等の明確化のための研究(令和5年度)」において作成が進められているガイドブックを踏まえ、地域生活支援拠点等のコーディネーターに求められる知識や技能についての評価・分析を行った上で拠点コーディネーター研修プログラム試案を作成し、人材育成に向けた基礎資料等を取りまとめることを目的とする。
研究方法
1年目は、地域生活支援拠点等における「緊急時」「平時」の定義や支援内容、対応事例、課題を把握するためのインタビュー調査と、入所施設・精神科病院からの地域移行の実態および拠点との連携状況を把握するアンケート調査を実施した。
2年目は、コーディネーターに求められる知識・技能の評価を行い、1年目の調査結果を踏まえて研修プログラム試案を開発した。特に、未整備自治体での人材不足や制度理解の課題を踏まえ、拠点機能強化加算の取得に必要な事業所要件や、複数相談支援事業所の一体的運営、行政の役割など、配置に向けた具体策を研修内容に盛り込んだ。
研修プログラムは、事前動画学習と参集型研修の二段構成とし、参集型研修では、先進的実践を行う3名による対談形式の講義とグループワークを組み合わせ、知識と実践の接続を図った。さらに、デルファイ法による信頼度調査を行い、令和8年2月に試行研修を実施して、プログラム評価による効果測定を行い、人材育成に向けた基礎資料を取りまとめた。
結果と考察
1年目の研究では、インタビュー調査から、緊急時支援は「一人で家にいられない状態」を中心に、家族の急病、虐待、住居喪失など多様な事例が存在することが明らかになった。平時には潜在的な要支援者の把握、支援体制整備、人材育成が重要であり、基幹相談支援センターと拠点コーディネーターの役割分担が進む自治体では連携が支援の質向上に寄与していた。島しょ部では即時対応が難しいため、島内資源を活用し、全住民を対象とした平時からの支援体制づくりが工夫されていた。一方、拠点コーディネーター未整備の自治体では人材不足や制度理解の不足が課題であり、行政主導の体制構築や加算の活用が必要とされた。
入所施設の地域移行調査では、拠点整備率は高いものの、自治体の関与やコーディネーター配置は限定的で、制度理解や活用に課題があった。地域移行者が「0人」の施設が多く、意向確認担当者の未選任も多いなど、制度と実践の乖離が顕著であった。自由記述からは、関係機関連携、定着支援、緊急対応、人材育成など、拠点とコーディネーターへの幅広い期待が示され、制度機能の明確化と運用体制整備の必要性が示唆された。精神科病院に関する検討では、地域移行・定着支援プログラムの構築可能性が示される一方、病院側にもコーディネーター配置が必要であり、新規入院者への早期支援やサービス利用計画の検討が重要と整理された。
2年目の研究では、前年度に作成したガイドブックを基に研修プログラム試案を作成し、試行的研修を実施した。評価の結果、ガイドブック内容を基礎とする妥当性が確認された。また、未整備自治体の課題を踏まえ、加算取得要件、複数事業所の一体的運営、人材確保、行政の役割など、配置促進に必要な具体策を研修内容に追加した。研修は事前動画学習と対面研修を組み合わせ、アクセシビリティにも配慮した構成とした。動画には実践者や家族の語りを挿入し、研修効果を高めた。評価では、事前学習から対面での対話・共有までの流れが理解と実践意欲を高め、他地域との交流が心理的安心感を生んだことが確認された。自由記述からは、役割の曖昧さや自治体間の運用差が研修ニーズの背景にあり、参加型研修や関係者間の共通理解の重要性が示された。
結論
令和8年度障害者総合福祉推進事業では、「地域生活支援拠点等における機能の評価指標及び拠点コーディネーターの養成に係る調査研究」が指定課題に盛り込まれ、本研究の成果を活用し、モデル研修を実施することが示された。
 令和8年度以降、全国の地域生活支援拠点等コーディネーターの養成研修として活用されることが見込まれる。

公開日・更新日

公開日
2026-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2026-06-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
202517015C

成果

専門的・学術的観点からの成果
地域生活支援拠点等の「緊急時」「平時」の支援実態と、入所施設・精神科病院との地域移行支援の連携状況を把握した。緊急時は「一人で家にいられない状態」を中心に多様な事例が確認され、平時には要支援者把握、体制整備、人材育成が重要とされた。島しょ部では即時対応が難しく、地域資源を活用した独自の体制づくりが進んでいた。一方、拠点コーディネーター未整備自治体では人材不足や制度理解の課題があり、行政主導の体制強化が必要とされていることが明らかとなった。
臨床的観点からの成果
拠点整備は進むものの、自治体の地域移行支援への関与やコーディネーター配置は限定的で、制度と実践の乖離が明らかとなった。精神科病院に関する検討では、地域移行支援プログラムの構築可能性が示される一方、病院側にもコーディネーター配置が必要であることが確認され、今後の実態調査設計に反映すべき課題として整理された。
ガイドライン等の開発
令和5年度厚生労働科学研究による拠点コーディネーターガイドブックの成果を基に、拠点コーディネーターに必要な知識・技能を評価・分析し、研修プログラム試案を作成した。
拠点コーディネーター未配置自治体では、行政主導の体制整備が不可欠と判明したため、拠点機能強化加算の取得に必要な要件整備、複数相談支援事業所の一体的運営、人材確保に向けた加算活用、行政の役割など、拠点コーディネーター配置を可能にする具体策を研修内容に追加した。
その他行政的観点からの成果
令和8年度障害者総合福祉推進事業では、「地域生活支援拠点等における機能の評価指標及び拠点コーディネーターの養成に係る調査研究」が指定課題に盛り込まれ、本研究の成果をもとに研修カリキュラムやシラバス、教材等の案を作成し、モデル研修を実施して教材を完成させることが示された。
 令和8年度以降、全国の地域生活支援拠点等コーディネーターの養成研修として活用されることが見込まれる。
その他のインパクト
本研究により開発した拠点コーディネーター養成研修によって、拠点コーディネーターの配置が進み、実践の質が向上することが期待される。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
地域生活支援拠点等コーディネーター養成研修カリキュラムと教材の開発1件
その他成果(普及・啓発活動)
4件
講演4

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2026-06-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
202517015Z