アレルギー疾患感受性遺伝子であるヒスタミンH1受容体遺伝子の発現抑制作用を持つ天然物を用いる治療戦略

文献情報

文献番号
201023036A
報告書区分
総括
研究課題名
アレルギー疾患感受性遺伝子であるヒスタミンH1受容体遺伝子の発現抑制作用を持つ天然物を用いる治療戦略
課題番号
H22-免疫・一般-005
研究年度
平成22(2010)年度
研究代表者(所属機関)
福井 裕行(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 武田 憲昭(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 荻野 敏(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 水口 博之(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 柏田 良樹(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 根本 尚夫(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 斎藤 博久(国立成育医療研究センター研究所)
  • 中山 勝文(東北大学 加齢医学研究所)
  • 有信 洋二郎(九州大学病院 遺伝子細胞療法部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
35,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 ヒスタミンH1受容体(H1R)は遺伝子発現亢進を介した受容体アップレギュレーション機構を持つことから、H1R遺伝子のアレルギー疾患感受性遺伝子としての臨床研究、H1R遺伝子発現亢進の分子機構、苦参由来H1R遺伝子発現亢進抑制物質の同定、苦参抽出物の急性喘息の病態に及ぼす影響、苦参の細菌感染性炎症抑制作用、苦参のアレルギー性炎症抑制作用、及び、苦参の骨髄球系細胞の分化抑制作用を明らかにする。
研究方法
 1.花粉症患者ボランティアの症状スコアと鼻粘膜H1R mRNAの相関性、2.培養細胞のIL-4 mRNAレベル上昇抑制を指標にした苦参由来活性成分の同定、3.苦参由来IL-4 mRNA上昇抑制物質の有機合成、4.苦参由来IL-4 mRNA上昇抑制物質の薬理機構の検討、5.苦参の急性喘息モデルマウスの症状改善とH1R mRNA上昇抑制活性、6.苦参のLPS刺激マウス骨髄由来マクロファージの炎症性サイトカイン産生抑制活性、7.苦参の黄色ブドウ球菌感染性皮膚炎モデルマウスの抗炎症作用、8.苦参の喘息モデルマウスの症状改善と血球に対する影響、を検討した。
結果と考察
 1.花粉症患者の症状スコアと鼻粘膜H1R mRNAの相関性が証明された。2.苦参のIL-4遺伝子発現抑制物質として(-)マーキアインが同定された。3.(±)マーキアインの有機合成に成功した。4.マーキアインはPKCδのリン酸化を抑制し、H1R遺伝子発現を抑制した。5.苦参は急性喘息モデルマウスの気道抵抗値、BALF好酸球浸潤、IL-4 レベル上昇を抑制し、Th2細胞の分化や機能を選択的に抑制すると考えられた。6.苦参はLPS刺激マクロファージのIL-6、及び、TNF-a上昇をほゞ完全に抑制した。7.苦参は黄色ブドウ球菌感染による皮膚炎モデルマウスの炎症開始を抑制した。8.苦参は喘息モデルマウスのBALF中好酸球浸潤を著明に抑制した。肺の好酸球性炎症抑制による、EoP・成熟好酸球の遊走、及び、分化・生存・増殖への影響が考えられた。
結論
 苦参にはPKCδ抑制作用によるH1R/IL-4遺伝子発現抑制物質として(-)マーキアインが含有される。喘息モデルマウスのTh2細胞が関与する好酸球性炎症に対して、苦参は抑制作用を示した。更に、苦参はIL-6とTNF-aの産生抑制、及び、黄色ブドウ球菌誘発皮膚炎モデルマウスの発症遅延作用が示した。

公開日・更新日

公開日
2011-09-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201023036Z